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第3話『夜の一幕。』
「俺、風呂に入るからのぞくな」
「おかまいなく」
「会話不成立!」
絆奈は、俺が用意したホット茶を手にし、テレビをぼーっと眺めていた。
自分以外の人間が家にいるという違和感!
(帰れとは言ったもののどうしっかな~。あの感じ帰らねぇゾ。それにいつものパターンならババアが勝手に学校の手続き済ましてるはずや)
ため息が漏れる。
女との共同生活は苦手だ。
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風呂からあがると、絆奈はソファーで寝ちゃってた。
「お疲れかよ」
毛布を持ってきて彼女の身体にぶっかけた。
風邪ひかれても困るし。
顔を近づける。
すぅ~すぅ~と、微弱な寝息。
さらさらの赤い髪を、手で掬う。
キレイにきらきらと光る。
久しぶりに間近で見る女。
ぷるぷると光る唇に、目がいく。
「・・・キスしたれ」
絆奈にキスして俺は部屋を出た。