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ムラサメとカル




 カルはヨウの家の客間で布団に入っていた。隣にウーリが寝ている。今日もウーリは期待を裏切らず、食べに食べ、ヨウに怒られた…。


 カルは現状を考えてみる…。

東国の最大の目的である、精霊武器のヴルークは手に入れる事が出来た。

 そしてヨウの叔母の斎王を助け、父の仇の存在も知ることが出来た。

 今は「東方の魔王」と「食す者」をどうするのかが一番の課題だろう…。


 そんなことを考えていると、外から人が動く気配があった。カルは起きて外を見る。

 ムラサメが武術の稽古をしているのが見えた。


 見たことのない剣技の型だった。剣だけではなく、突きや蹴りも併せながら形を成している。


 カルはそっと外に出て、ムラサメの動きを見ていた。


 「おや、カル?眠れないのか?」

 「いえ、考え事をしていたら外から気配を感じたので」

 「ふむ、今やっているのは、遥か昔に儂が会得した武術じゃ…それに今はヤマトの武術を合わせたものを使っておる。事に刀に関して言えば、ヤマトの武術は世界一じゃろう」

 「なるほど、ずっと研鑽を続けているんですね」

 「そうじゃ、武術は日々の鍛錬が全てじゃからのう」

 「今はこういう刀技を鍛錬しておる」


 そう言って、ムラサメは刀の柄を握る。

少し腰を落とし、数メートル瞬時に移動する、一瞬刀を抜いた… しかし、移動後には刀は鞘に収まっていた。


 「どうじゃ?」

 「すごい…刀を抜くのが速すぎて見えませんでした」

 「この技の特徴は、相手にどう攻めるのかがわかり難い事じゃろうな…しかも、速さにより、相手が防御姿勢を取る前に攻撃出来るところじゃ」

 「なるほど」

 「全ては体の捌きにある…これができねば刀は抜けんからのう」

 「僕も最初に武術の修行をした時、突きだけ蹴りだけを何年もやらされました」

 「なんと?今見せてくれぬか?」

 「はい、それでは…」


 カルは腰を落とし、突きの構えをとる。

シュッと音が鳴る、やがて徐々に速度を上げる。

 一瞬で7回の突きを放つ。


 「…お主、その突きは常軌を逸しておるぞ?気づいておるか?」

 「えっ?そうなのてすか?」

 「一瞬で数発も突きを出すなど、常人には不可能じゃろう…」

 「しかし僕の武術の師匠は10回は出してました…」

 「その者は人か?…もしや龍か?」

 「いえ、神の血を受け継ぐ女戦士です」

 「そうか…お主の師匠は余程の者だったようじゃな」

 「僕達は皆彼女に武術や魔法を教わりました」

 「そうであったか、なるほどお主らの強さの秘密が良くわかったわい。良き師に教わったのじゃのう」

 「はい、実戦の相手もしてくれました」

 「ふむ、儂とやってみるか?」

 「えっ、いいんですか?」

 「素手か、それとも武器か?」

 「では、素手でお願いします!」

 「うむ」


 カルはムラサメと対峙する。


 構え、相手の動きを読み、まずは仕掛ける。


 カルの突き、

 ムラサメは平手で払い構える、

 カルは踏み込み、さらに突きを出す、

 ムラサメは体をずらし躱す、


 ムラサメが大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。


 ムラサメの構えが変わった…。大きな円を描くように動き、呼吸をゆっくりと続けている。


 カルは様子を見ながら先に攻める、

 突き、突き、蹴り、さらに突き、

 しかしムラサメには届かない。


 カルは突きと見せかけて蹴りを放つ、

 ムラサメが突きと思い避けるスキを狙う蹴りだった。


 しかし、ムラサメはくるりと体を移動させ、蹴りを躱す


 カルは何か不思議な感覚に陥る…


 攻撃が全て吸収される?無効化されてしまう…?


 ムラサメが攻める、

 突き、突き、懐に飛び込みタックル、

 しかしカルも寸前で体重を移動して威力を殺す、


 カルは距離をとり、素早くムラサメに向かう、

 渾身の突きを打つ、

 しかしその突きを捕まれ、体制を崩されたところをふわりと投げられる。


 カルの体が背中から落ちる


 「ウワッ…いたっ…」

 「フゥー…ははは、つい本気になってしまったわい」

 「今の技はいったい…何か全て無効にされていた気がします…」

 「ふむ、カルよ、お主の攻撃は直線的すぎるのじゃ…今まで闘気を用いて戦っておったじゃろう?」

 「はい、まさにその通りです」

 「儂はな、その直線的な動きを円の動きで反らしたのじゃ」

 「円の動き?」

 「儂の手を掴んでみよ」

 「はい…」


 カルはムラサメの左の手首を右手で掴む。


 「良いか?こう前や後に手を動かしても取れぬ…」


 ムラサメは自分の方に左手を引っ張ったり、カルの方に押したりする。しかしカルの手は握られたままだった。


 「しかし、こうに回すとどうじゃ?」


 ムラサメは自分の手をその場で円を描くように回す。

するとカルの手に力が入らず、スパッと離れてしまった。


 「もう一度持ってみよ」

 「はい…」


 カルはまた同じように掴む、今度はムラサメが体全体で円を描くように動かす、するとカルは気がついたら投げられていた。


 「いったい、何が起こったのてすか…?」

 「これが円の動きの本質じゃ」

 「すごい…」

 「簡単に言うとじゃ、平たい面と球体、どちらが一点を突きやすいかのう?」

 「それは、平たい面です」

 「つまり儂は、球体の動きでお主の攻撃を反らし、お主の動きを利用して投げたのじゃ…どうじゃ?こういう戦い方もあるのじゃ」

 「…勉強になりました」


 カルはその場で頭を深く下げる。


 「お主にその気があるなら、この円の動きを学んでみるか?」

 「はい!是非お願いします」


 そうして、カルはムラサメに新たな武術を学ぶことになった。


 今までの格闘術とはかなり違う動きだった。スピードとパワーを主体にしていたものから、水の流れる如きゆったりとした動きの変化に最初は戸惑ったが、不思議な事に、徐々に慣れると動きにムラや無駄がなくなって来るのがわかる。


 「ほほう、流石じゃ…お主は格闘の基礎がしっかりとしておるの。普通ならばこのゆっくりとした動きは、なかなか身につかんものじゃが」

 「不思議ですね、僕がやってきた気の集め方と全然違う方法なのですが、気が自然と集まってきます…」

 「そうじゃ、それは気を集める動きでもある」

 「すごいものですね」


 少し考えごとをしていたカルにとって、ムラサメとこういう形で師事を受け、体を動かすことは気分転換になった。


 「お主がこの動きをものにできたら、必ず力になるはずじゃ!」

 「はい!わかりました!」


 カルはステラとの修行を思い出していた。こうして汗をかくのが少し懐かしく感じた。


 外の声に反応したのか、ネネが起きて来た。眠い目をこすりながら大きなあくびをした。


ムラサメは武術の達人設定です!


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