竜の口その3
ステラと別れてから、カルはしばらく歩いている。しかし、まだ、何も見つけられない。
「あれ、本当にこっちで良かったのかな?」
ずっと一人でいたので、思わず声がでてしまう。もう、半刻も歩いているが、目指す場所は見つからない。
喉が渇き、少しお腹も空いて来た…
「つらいなぁ、でも、冒険しなくちゃ、得るものは無いんだ…」
自分に言い聞かせ、カルは歩いて行く。
…やっと入り口らしき場所が見えてきた。大きな部屋のように見える。歩く、歩く、歩く…
見えてるのに、全然近くならない…
でも近づいているのは確かだ。また歩く…
やっと辿り着いた。近づいてわかった事がある…
この部屋が大きすぎて、遠くからよく見えていたのだ。
…遠近法おそるべし…。
やっとの思いで巨大な部屋に入ると、何故か見たことある人が…
「あ、カルちゃーん!待ってたわよ」
「え、ステラさん? どうしてここに!?もしかして、魔法ですか?」
「うん、そうよ。ほら、こっち見て。ここの扉開けて」
「は、はい…」
ガチャっと扉を開ける。
…………… そこは、さっきの二又の場所だった…。
「そう、さっき、左にって伝えちゃった事、寝てから思い出したのよー!だから起きて待ってたの、テヘペロ」
多分、ステラさんに悪気は無いんだろうな…
きっと、そう。そう思うことにしよう。
そうか、これは魔法なんだ…?
「ごめんね、カルちゃん。お詫びにこれあげる」
ステラは、そう言って液体の入った瓶をカルに渡す。
「これは何ですか?」
「これは、すごく貴重なものなのよ。いわゆる、神秘の霊薬って言うの。飲むと、疲れや空腹も、一瞬で無くなっちゃうの。さあさあ、どうぞ」
カルは、ちょっとだけ迷った後、一気に飲み干す。
みるみる体が元気になっていく。
「あ、ありがとうございます。ステラさん」
ペコリとお辞儀をして、カルは瓶を返した。
「許してくれる?」
「はい、気にしてません」
「ありがとうー」
ステラが抱きついて来た。カルの顔が、ステラの胸に埋まる。く、苦しい…
「本当に、ごめんねー」
さらにギュッと抱きつく。
カルはさらに苦しくなる、ステラの腕をタップする。
3回タップした時、ステラはやっと気付いてくれた。
「ぶっふぁーっ!ゼイゼイ…」
「やだ、カルちゃんごめんね…」
ステラさんって、もしかして…天然??
「ステラさん、危うく窒息するところでした…」
「やだ、もう大げさなんだから」
ステラはそう言って、カルをバシッと叩いた。カルは反対がわの壁まで飛ばされた。多分、神秘の霊薬を飲んでいなければ、大事になっていただろう…
ステラさんはやっぱり、天然なんだ。と確信した…。
「あれ、ごめんね、私力強いのよ」
「…いえ、大丈夫です。…多分」
すると、その場所に、威厳のある声が響いた
《騒がしい!何をしておるのか?ゆっくり寝ることも出来ん》
巨大な部屋に、ズシン、ズシンと足跡が響く…
遠くが少し輝いて見える。その輝きが、だんだんと、近づいてくる…
「あ、お嬢!ごめんなさい、起こしてしまったかしら?」
ステラがそう叫んだ。
ゆっくりと姿が見えて来た…
カルが、本当に大好きで、幼い頃から憧れていた存在の姿が見えて来た、ゆっくりとゆっくりと…