遠い過去のお話
昔々も大昔。その世界、アルトハイムで大きな災害があった。人類の天敵である魔王が現れたのだ。
魔王とは魔を統べる者で、世界中にいる魔に属するモノを配下に加え、意のままに操ることが出来る。本来魔のモノたちは複雑な思考ができないのだが、魔王と呼ばれる災害が現れると一転、言語を用いる知能を有し、本来持っている力も増すのだ。
統率のとれた強い魔のモノを前に、準備が不足した人類は脆弱すぎる。次々と村を潰され、街を占拠され、果てには小さな国が潰された。
もちろん人類が弱いわけではない。強化された魔物相手とでも互角上に渡り合える強い人間もいたのだ。しかし、魔王を中心として集団として成り立つ魔のモノたちと、浮き足だち個としての力しか発揮できない人類では、大局での戦果が違いすぎた。
一つ一つ、一人一人と潰され倒れていく人類の中で、平和を望む誰かが言った。
「誰か助けてくれ」
また、現状を憂う誰かが言った。
「もう嫌だ。なんとかしてください」
恨みの積もった多くの者が口を揃えた。
「アイツらを殺してくれ!!」
動けなかった…動かなかった彼らの祈り、あるいは《捻じれ歪んだ願い》は叶った。
本来の『優しい祈り』でさえ、他力本願な傲慢さを含んだ歪なものなのだ。それゆえの当然の帰結。されど歪みを受けたにしては最上とも言える帰結。
人類に7人の勇者が誕生した。一欠片の悪意を携えて。
勇者の力は絶大だった。集団とも言えぬ数人のあつまりで、魔のモノたちの軍勢を切り開いていったのだ。一つ二つと奪われた土地を取り戻し、果てには魔王の喉元にその刃を突きつけた。
辛くも魔王という存在を消し去ることは叶わなかったが、その脅威を永き時の間封じ込めることには成功した。そして彼らは、歓喜に湧く人々に向かって口々にこう言った。
「勇者が再び現れた時」
「それが魔王が蘇る時だ」
「その時の勇者は僕達とは違う」
「けど安心しろ」
「勇者はどこまでいっても勇者だ」
「結局迎えるのは幸福な結末です」
「それが誰にとってもものかはわからないがな」
彼の勇者たちは永き旅路を越えて、全てを悟っていた。しかし、疲弊した人類にとってそれはパンドラの箱。開ければその身を滅ぼす悪徳の箱。だから彼らは遠い未来に託すことにしたのだ。自分たちが越えた、そこに待ち受ける困難を知りながらも。
「気づけよ。勇者は一人では勇者たりえない。結局は特異点が全てを……決め……だ。所詮他の……は………道を……………い。それが特………………を…し、勇者としての力を
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