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81話

視界を埋め尽くしていた白い光は、徐々に光量を上げていき、目を逸らしたくなる程の一際強い光を放ったかと思うとパッと消えた。

急激な光の変化に目が眩んでしまい、慣れるまでに時間がかかつてしまう。


『チッ…なんだこの目は、もうちょっと真面目に鍛錬しろよ』


随分と理不尽なクレームだ。


(そんなもんどない鍛えろいうねんな…)


『フッ…』


無茶を言うなと訴える私に、アデルは小さく鼻で笑う。


そうこうしている間に目が慣れ始め、徐々に視界が開けて来きた。

洞窟の中にサイクロスの姿は跡形もない。代わりに、サイクロスが居た背後の壁には、先の見えない深い深い穴が空いていた。

穴の大きさは、サイクロスと同じくらいで、幅3メートル高さ6メートル位。

まるで羊羹をくり貫いたみたいに滑らかな断面の穴だった。


(………………)


その光景に言葉を失い息を呑む。


『少しやり過ぎちまったな……』


(チョットどころ………)

        ゴゴゴゴゴゴゴゴ……………


唸るような地鳴りと共に、足元が小刻みに震えだす。


『チッ………』


っと、アデルは再び舌打ちすると、身体を浮かせ、横穴目掛けて飛び立った。


「く、来るなグフォッ……」


再びくの字に折れ曲がった騎士を肩に担いで、そのまま狭い通路を飛んでいく。

猛スピードのまま通路の形に合わせ、右へ左へと畝るように飛ぶのはなかなか楽しく、ちょっと癖になりそうだ。

あっという間に、四角くくり抜かれたトンネルを抜けて、最初の洞窟にたどり着く。

アデルは速度を落とすと着陸し、探索魔法を発動させてサイクロスが居た広場の様子を探った。

横穴の中まで土砂が流れ込んでいて、広場は完全に埋まってしまっているようだったけど、こちら側迄は影響が無いようで一先ず安心する。


それにしても、前世では一度も乗ることが出来なかったジェットコースターの疑似体験をこんな所で出来るとは…

どんな理由をつけてまたやってもらおうか、チョット真面目に考えていると、それなりに満足したのか?

アデルは騎士に回復魔法をかけると、とっとと身体を明け渡した。


(アデル…あんたモテへんやろ…)


『あぁ?何だいきなり?』


「………ハァ…」


わざとらしい、大きめのため息を一つ付き、私は気を失ったままの騎士を担いで、トボトボと出口に向かって歩き始めた。






歩き続けること一時間。アデルは浮かびながら眠っている。一応障壁を張ってくれているので文句も言えない。


「それにしても…我ながらよくここまで成長したよね…」


薄暗い洞窟を歩きながら、そんな独り言を呟く。

カストの特訓のおかげで、それなり以上に筋力も体力も付いている自覚はあったが、自分より倍近い質量の有りそうな成人男性を肩に担いで歩き、たいした疲れも見せない自分に、驚き半分そんなものかと納得している私がいる。


(ってか、そうや。流石にこの格好誰かに見られたらドン引きやんね。せめて背中に背負っておくべきか。)


日頃の行いが功を奏したのか、そんな思いたちから騎士を背負い直すと直ぐに、前方から何人もの人の気配がやってきた。

チラリと片目を開けたアデルが、パチンと指を鳴らして障壁を消す。


「ノエラさん大丈夫でしたか?!!!」


全てのクラスの、引率の騎士と教員を引き連れて、若い騎士が駆け寄ってきた。


「た、隊長!大丈夫ですか?!!」


私の背中の騎士を見つけて、恐る恐る様子を伺う。

他の騎士達もそれに続くいて近づくと、ぐったりとした背中の騎士を見て、ゴクリと一斉に息を飲んだ。


「あ…一応気を失って居るだけなので、大丈夫です」


背中の騎士を若い騎士に引き渡しながら、そう言って笑い掛けると、ブハァ と、全員が一斉に息を吐いた。


「そうだ!サイクロプスはどうなりましたか?」


思い出したかの様な若い騎士の言葉。周りの騎士たちも一斉に緊張感を取り戻す。


「大丈夫です。しっかりと倒してくれました」


オオー! と、湧き上がる歓声。

こころなし、残念そうにしている人がいるのも面白い。


「そうですか、見たところ大丈夫そうですけど、ノエラさんは怪我などありませんか?」


「私は見ていただけなので大丈夫ですよ。」


クルリと回って無傷をアピールすると、オオー と再び歓声が起こった。


ブクマ及び評価有難うございます。

まだまだ手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。


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