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80話


『カハハハハ!見ろよノエミすげぇだろ!!』


アデルは終始そんな様子で、サイクロスの攻撃をヒラリヒラリと躱しながら魔法を打ち込んでいる。

火魔法、水魔法、雷魔法………。

大凡、思いつく限りの初級・・魔法がサイクロスに向かって放たれていた。


(う…うん……言いたい事は分かる気がするけど…それがそんな嬉しいんか?)


今現在、 ”初級魔法のくせにそんな威力が?!!!” なんて現象は起きていない。

初級魔法はどこまでも初級魔法で、火の玉が命中しても、多分サイクロスの産毛すらも燃やせていない。

もっと言えば、サイクロスが認識しているのかも怪しかった。


『解ってねぇな。これは俺様の足掛け5000年に及ぶ悲願だったんだぞ!』


魔力の所持量が膨大すぎたアデルは、消費の少ない魔法になればなるほど苦手としていた。

だから、それが使えるように成って嬉しい気持ちは分かるし、過剰な被害を出さずに敵を倒せるのは喜ばしいことなんだけど、下手をすればその辺の主婦が使えるような魔法ばかり延々見せられても答えに困る。


『オラオラオラオラ…』


そんな私の思いを無視して、尚もご機嫌ののアデルは、突き出された両掌から、次々と魔法を放っている。

よくよく見れば、少し威力が上がってて、どうやら中級魔法に切り替えたようだった。


それでもサイクロスにはダメージらしきものは入っていない。


(…もしかして……加減の度合いが分からへん?)


いつまでもこんな事されてても敵わないので、早く切り上げてもらおうと煽ってみた。


『は、はぁ?!そんな事あるわけねぇだろ!!』


すると、一瞬アデルが動揺してて、まさかの図星を突いてしまったようだった。


(えぇ…ほんならバシッと一発で倒すとこ見てみたいなぁ…)


からかい混じりに、そんな事を言ってみる。


『………しゃぁねぇな……よく見とけよ………』


アデルはそう言うと、突き出した両掌を並べて、サッカーボールくらいの電気をまとった球を作り出した。


(あ、何かそれずるい。)


『うるせぇ!』


言うと同時に、電気の球から太い一本の雷がサイクロスの胸に向かって放たれた。

雷が触れた瞬間、サイクロスは弾き飛ばされ、壁に強く叩きつけられる。

両足を投げ出して、座り込むサイクロスの身体は、未だビリビリと帯電していた。


『………へっ。どうだ、一撃で仕留めてやったぞ。』


アデルは少し不安げにしながらも、動く気配のないサイクロスを見て胸を張る。


(えぇ…感電ってなんか、加減の振り幅が広そうでズルくない?)


『ハッ!これだから素人が。よく見てみろ、火傷の痕も何も無いだろ。細胞を傷つけず、活動のみを止めるこの絶妙な力加減を、真似できるやつがいるなら連れてこい。』


「グアァァァァアアアア!!!」


アデルが、そんな言葉を見下した目で言い切った瞬間。再びサイクロスが雄叫びを上げた。


(ふ~ん……絶妙ねぇ……)


ココぞとばかりに、大したことないな とアデルを見下し返す。


『……………チッ』


アデルはその視線に気付きながらも、小さく逆ギレをしてごまかした。


「『大人しく死んでろ!!』」


声を荒げて、頭上に掲げた両手の先に、巨大な炎の杭を作り出す。

ブンッ と振り下ろされた両手の動きに合わせて、炎の杭はものすごい速さで、サイクロスの頭を目掛けて飛んでいった。


「ッギャァァァァァアア」と、悲鳴をあげるサイクロス。

炎の杭は、とっさに出されたサイクロスの両腕を、蒸発させ消えた。


(くあぁ!惜しい!!今のが顔に当たってたらなぁ)


煽る意図なく、本心から出た言葉だったが、


「『だぁぁぁ、くそったれ!やってられるか!!!!』」


煽りに聞こえたんだろうか、アデルは突如ブチ切れた。


(ちょっ!あんたそれ大丈夫なんか?!)


右掌に、無数の小さい光が収束される。小さな光の一つ一つは、バチリバチリとこれまた小さく爆ぜていて、膨大なエネルギーが凝縮されているように見えた。


「『1000の雷礫(らいてき)』」


小さな声でアデルが呟く。

それは何時だったか、ブラックワイバーンを跡形もなく消し去った魔法で、アンデットワイバーンが出たときには、城下に被害が出すぎるからと、アデル自身が自粛した魔法のはずだ。


掌から無数の光の粒が伸びていく。光が集まり、やがて帯となっていくが、以前と違って距離が近すぎるからだろうか?一瞬で視界が白く染まった。



ブクマ及び評価有難うございます。

まだまだ手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。


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