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79話

(ねぇねぇ、アデルさん?あのサイクロス徐々に大きくなってる気がするねんけど…?私の目の錯覚やろか??)


『あぁ?錯覚じゃねぇか?』


私の問に、またもや興味なさげに答えると、アデルはそのまま大きく欠伸をした。


(あぁそうかぁ…錯覚やったらええんやけど………って錯覚なハズ有るかいな!!!!)


ベタベタのノリツッコミだ…脳内会話にも関わらず、私の手の甲はアデルの身体めがけて繰り出されていた。当然その手はアデルの額をすり抜けて、デコボコの岩肌を殴りつける……。

痛む左手を振りながら、再びサイクロスに視線を戻した。

サイクロスは、まるで光の戦士が変身するかの如く、体全体を巨大化させている。


巨大化が頭打ちになった所で、叫ぶのをやめたサイクロスはゆっくりと立ち上がる。

当初3メートル位だった身長は、ちょうど2倍ほどの大きさに成っていた。

同時に、潰されたはずの眼が元通りになっていて。騎士はその眼にギロリと睨まれて、思わず数歩後ずる。


ゴクリと唾を飲み込む騎士。

しかし、直ぐに「うをおぉぉぉぉおおおお!」と、己を鼓舞するように叫びながら、剣を振りかぶって走り出した。


(あ……これ、あかんやつや………)


短くとも濃い、アデカスと暮らした経験から、そんな直感が頭をよぎった。

己を鼓舞しなくては足が出ないという状況は、恐らく騎士自体が感じ取った力量差の表れだろう。

あの騎士が弱くないことはここ迄の戦闘を見ていて十分わかった。だからこそ、あの騎士が優秀であれば有るほど、その感じ取った力量差は深い意味を持つと私は思う。


騎士の踏み込みは鋭く早い。正直言えば、さっき迄は本気じゃなかったんだと驚かされる程だ。

しかし、そんな騎士の渾身の攻撃も、”ガキンッ”と鈍い音と共に、サイクロスの生身のスネに阻まれた。


剣は折れる事もなく跳ね返り、騎士の手を離れて地面に落ちる。

それは、単純に騎士の力が及んでいない事を意味していた。

たとえ同じ結果だとしても、せめて剣が折れていれば、まだ彼は次に希望を見出し、何なりと動くことが出来たのかもしれないが、

騎士は、剣を折ることも出来ない事実に、ただ脱力してその場で膝をついた。


「フゴッ?」と首をかしげる、可愛いサイクロスはもう居ない。

充血した目で、ギロリと騎士をにらみつるけると容赦なく釘バットを振り下ろす。


「アデル、任せた……」


私はそう言うと同時に、横穴から飛び降りた。


『任された!』


瞬間移動のように私の前に回り込んだアデルは、そのまま私を抱きしめるように、笑顔で私の中に消えていく。


一瞬の浮遊感の後感じる強烈な横運動。

ほぼゼロの速度から一瞬で最高速まで加速して飛行すると、そのまま騎士を肩に担いで横穴まで舞い戻る。

背後から聞こえる激しい衝撃。洞窟全体がビリビリと揺れて、崩落しないかとドキドキした。

サイクロスに目をやると、さっきまで騎士が居た場所に釘バットが埋まるみたいにめり込んでいる。


「『後は俺に任せて、見学しとけ。』」


アデルが得意げにそんな事を言いながら、肩から下ろすと「ぐほっ!」と、騎士が吐血した。


「『あ?いつの間に攻撃食らってたんだお前?』」


若干戸惑い気味に見下ろすアデル。


(違うでアデル…あのスピードのまま、タックルするみたいに肩に担いだら、いくら私が軽くても……分かるやろ?)


運動エネルギー = 1/2 x 質量 x 速度の2乗だったかな?

私の体重はともかく、アデルの最高飛行速度は120km/h位だったはずだ。まず生きてることに感謝するべきだろう。


『……………』


アデルは無言のまま、私の腰につけたポーチからポーションを取り出すと、乱雑に騎士の口に差し込んで、『ふぅ~』と小さく息を吐く。


(なんで、ヤレヤレみたいな態度やねん…)


『……………』


アデルは、私の氷点下以下の視線を無視して静かに浮き上がり、そのままサイクロスの目前に対峙した。




『よし、気を取り直して……』

          (なんで、ヤレヤレみたいな態度なん…)


『……………見てろよノエミ!俺が編み出した新しい魔法の………』

                          (ねぇ、なんで…?)


『しつけこいぞオマエ!!!』

            (あっ…)


アデルがそう言って後ろを振り返った瞬間、サイクロスの釘バットがアデルめがけて振り下ろされた。

しかし、釘バットは ”ギャリギャリギャリ” と見えない壁に阻まれながら斯道をそらされて空振りする。


(後ろにいるわけちゃうねんから振り向かんでいいやろ。ホンマ心臓に悪いわ…)


『その割には対してビビってねぇように見えるんだが?』


(そらこれくらいで驚いてたら、なんぼ寿命があっても足りひんからな…)


『チッ…図太くなっちまって…可愛げがねぇなぁ…』


(コラコラ、乙女に太いとか言うたらあかん。)


『うるせえ、デブ』


(デブちゃうわハゲ!)


『誰がハゲだてめぇ!ムカついた、それならマジでハゲにしてやるよ』


(アホ!それは私の髪の毛で、ハゲはあんたや!!)


『俺様の何処が剥げてんだ言ってみろ!!』


サイクロスが何度も釘バットを振り下ろしている中で、そんな口喧嘩はその後も10分程続く事になる。





『………ふぅ………。そろそろこいつの相手するか。』


(………ふぅ。そやね、あんまり暴れさせて洞窟が崩れてきてもかなわんし。』


一通りの悪態を突き合って、満足した私達はコロッと気分を入れ替える。

別にさっき迄の口喧嘩が本気じゃなかった分けじゃないんだけど、こんな事は日常茶飯事で。

口喧嘩がに非常茶飯事なのもどうかとは思うけど、私的には結構この関係を気に入ってる。


『よし、そりゃじゃぁしっかり見とけよ。まずはコイツからだ。ファイヤーボール!』


アデルも、何事もなかったかのように気を取り直し、嬉しそうに掌から炎の球を打ち出した。


ブクマ及び評価有難うございます。

本作の更新は、このまま水曜日になる予定です。

今月からは週2更新に戻せる様にと思ってたのですが、想像以上に準備が整わず、もう暫く週1更新になりそうです。


稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。


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