68話
「おはよー!おはよ~!おはよう!」
一人朝からハイテンションに、すれ違う一人一人に声をかけていく。
『あの焚き火がそんなに嬉しかったのか?』
アデルはそんな私を見て、呆れながら言った。
(だってキャンプファイヤーやで?ほんまにできるなんて思わへんやん。もう、なんか…全部の夢が全部叶った気分やわ)
昨日切り出した丸太は適度な長さで切りそろえられ、井形に組み上げられると、私が知るキャンプファイヤーそのものの形になった。
燃え上がるキャンプファイヤーを見て、最高潮のテンションに達した私は、シルケの手を取ってくるくると踊り出す。
やがて気のいい騎士団員の一人が食器なんかを使ってリズムを刻み出し、就寝時間を迎える頃には生徒みんなで火を囲んで踊っていた。
そんな事があった翌朝だ、私の無駄に高いテンションも仕方ない事だと思う。
みんなで朝食を食べて馬車に乗り込む。
予定では洞窟につく前に2泊すると聞いている。なので今夜も野営するのは間違いない。
(今夜は皆にマイムマイムでも教えてみようかな? 昨日は好き勝手踊ってあれだけ盛り上がったんやから…みんなで輪になって踊ったら一大ブームになるんちゃうやろか?)
とらぬ狸のなんとやらなんだろうか?病院のベットで、指をくわえて見ていた動画の記憶を頼りに、 頭の中で何度も 予習を繰り返した。
「…………」
「ちょっとノエラどうしたの?」
「別にどうもせーへんよ……」
「めちゃめちゃどうもしてるじゃない?!さっきまではあんなに元気だったのに、砦に着いた途端一言も話してないんだよ?」
「そもそもだ、その顔を色を見て何もないなんて言葉を信じるほうが無理な話だ。誰がどう見たって落胆しているじゃないか」
シルケに続いてディルクが追い打つ。
心配してくれるのは嬉しいけど、今はそっとしてほしいしておいてほしい。
今夜のキャンプファイヤーを楽しみにしていた私に突きつけられたのは、今夜は騎士団が管理する砦に一泊する現実だった。
夕食を終え、就寝までのちょっとした自由時間。
未練がましく砦の中庭に出て腰を下ろす。
『……お前ファイヤーごときで落ち込みすぎだろ…』
(ごときって言うけどな…私はこれの為に今回参加したようなもんやねんで?)
『こらこら、サラッと嘘つくな。昨日は夢にも思わなかったとか言ってただろ。』
(うっ……。そんな事言うけどさ、人の欲望っていうのは肥大するんやで?)
『…それらしいこと言ってるつもりだろうが、キマってないからな?』
(ほっといて……あーぁ…何が悲しくて洞窟篭って魔物と戦わなあかんねやろ…生理や言うて休んだろかな…)
『ふざけんなテメェ!俺の楽しみを取るんじゃねぇよ!』
(はぁ?なんであんたが楽しみにすんねんな。…言うとくけど絶対代わらへんしな?!)
『ちょっとぐらい良いじゃねぇか。ケチくさいこと言うなよ!』
(無理無理無理無理無理無理無理無理。あんた絶対とんでもない魔法とか使うに決まってるやん!)
『おいおい、馬鹿にするなよ?既に蝋燭くらいの火を灯すのも、造作も無いことだってのは知ってるだろ?』
(はい、アウトー。全然分かってへんやん。私は魔法自体使えへんって言うてんねんで?レグレンツィでは色々諦めてるけど、せめて学生してる間は平和に過ごさせてもらうからな)
久しぶりのアデルとの言い合いだ。
お違い何となく気分が乗ってきて、シルケ達が探しに来るまで無駄に白熱してしまった。
翌日、三度馬車に揺られて約半日。
訓練用の洞窟に到着した私達は、昼食を取りながら今後の予定を聞く。
この洞窟は、所謂ダンジョンって奴とは違ったみたいだ。
洞窟の中で魔物はどうやって湧くのか聞いたら、繁殖するに決まってるだろうと笑われた。
もともと、自然に出来た魔物の住む洞窟を人の手を加え管理しているらしく、区画を区切って使うことで魔物の数を調整しているらしい。
こういった訓練施設は、森なんかでも作られているそうだが、想定外の魔物が紛れ込み、想定外の交配によって新種が現れる。なんて事もあるらしく、安心して訓練が出来ない面があるそうで、その点洞窟ならば、魔物の出入りも管理できるので、安定した訓練施設として都合がいいそうだ。
「えー次はディルク班。えー2番の入り口から、えー入ってください。」
洞窟の入り口は10個ほどに分けられていて、それぞれには鉄格子の扉がはめ込まれていた。
ディルクの合図で2番と書かれた入り口をくぐる。二名の教導隊員が付き添ってくれるが、彼らは万が一の備えと採点の為に同行するだけだ。
与えられた3日間で何処まで言って帰ってこれるか、私達のサバイバル能力が試される。
お詫びがあります。
殺人的に仕事が建て込み、更新に当てる時間を作るのがかなり難くなりました。
このままでは投げ槍な文章に成りかねず、年内を目処に、週一更新にさせて頂こうと思います。
手前勝手な話ではありますが、生暖かく見守って頂けましたらと思います。




