61話
一先ずやる事を終えた私達は、アデルの転移陣で秘密基地に帰った。
そこの食堂で椅子に座り、未だなんとか誤魔化そうとする私に対して、アデルが覚えている限りの私のボロを羅列してくる。
『最近で言えば、カットゥーロと話していたときだ。私が死んだときも…なんて事をぶつぶつ言ってただろ。』
(ちょっ!人の心読んだん?!幾らなんでもそれはマナー違反やろ!!)
『読むか馬鹿!俺が言ったのは全部、今と同じく俺に聞こえる様に言ったお前の言葉だ。』
ホトホト呆れた口上と、蔑んだ目で見下すアデルに苛立つが、言われてみればどれもこれも思い当たる節がある…。
流石の私も、自分で言ったことを忘れるほどアホじゃないんだ。
(ちゃうな、言うてる時点でアホやん私…)
『良く理解してるじゃねーか』
(うっさいわ……そういえば結局、なんでアデルは知ってるん?あんたも私と同じ世界から転生してきたん??)
話の流れからしたら、そういうことで間違いないはずだと思うんだけど、なんせ相手はあのアデルだ、確認せずに話を進めたらまた馬鹿にされかねない。
『あーそうだな…ちなみにお前が言ってた第六天魔王は、どれくらい前の人物なんだ?』
(んー400年ちょっと前かな?)
『ほ~そうか…しかし、だとしたら矛盾が有ることに気が付かねーか?』
(ん?矛盾??……………あ、そうか。あんたこの世界で5000年以上前から存在してるねんし、400年前のアッチの人物知ってるはずがないやん?!)
『ほぉ、ノエミにしては察しが良いな…正解だ。ちなみに俺の認識でもその人物は400年ほど前に存在していたことに成るんだが、俺はここで3000年生きて5000年彷徨ってたからな…先ず間違いなく偶然似たような進化をした別の星だろう。』
(別の星って、アデル宇宙人なん?!ってか、そんな偶然ありえへんやろ?!!)
地球という星の名、私が居た国の名称、かの戦国武将の名前までも一致するのに別の世界とか、まさか平行世界って奴なんだろうか?
『馬鹿、宇宙がどれだけ広いと思ってんだ?神共が同じ様な種を蒔いて回ってんだ、確率は低くてもそう考えるのが自然だな。』
(神様居るんや?!! それやったら尚更やん、時間軸ずらして転生とかありえるんちゃうの??そんな奇跡みたいな確率とか平行世界より神の奇跡のほうが説得力有ると思うけど?)
『それだけは有り得ねぇ、時間の概念だけは奴らでも操作することは出来ねぇからな。そもそもお前が考えるほど奴らは万能じゃねーしな』
(えーそうなん?ってかえらい詳しいな?)
『………ま、まぁ、俺のいた世界ではそれくらい常識だ』
(はぁ~すごいねんなアデルの居た世界って…)
『そもそも、この星の生物も似たような形してるだろ?意外と似たような進化している星は多いのかも知れないぜ?』
(そんなもんなんかぁ…てかココっておんなじ宇宙なん?!)
『そうだな、それは間違いない』
(へぇそうなんや……だとしたらさ…地球に比べてこの星の時間経過が早いだけって可能性は?)
『………なに?』
(いや、私らの世界でも、速度とか重力の影響で時間の流れに差が出るっての聞いたことあんねん。例えばこの惑星、もしくは銀河系事態が地球周辺よりものすごく遅い速度で動いてるとかで時間の進み方が違うとかはありえへんのかな?)
『…それは考えたことなかったな…可能性として……なくはないのか………?』
なんだろうこの感覚?別に勝ったわけじゃないのにこの完勝感。
今まで散々アデルに馬鹿だ馬鹿だと言い負かされてきたけど、初めてアデルを言い負かせたような高揚感の勘違い。
だから勢いのままに言ってやった。
(この宇宙がどれだけ広いと思ってんねんな?)
『………クッ……って、別にどうだって良いだろそんな事!』
(いや、だって同じとこから来てたとしたら、ここでの出会いってすんごい奇跡やん?!それこそ恒河沙とか阿僧祇とか出てきても驚かへんような単位の確率やで?!めちゃめちゃロマンチックやんか!!!)
『ロマンチックって、乙女かお前は!!』
(ピチピチの乙女じゃぼげぇ!!)
『ぼげぇ、ってお前…俺にロマンチック語るんだったら、その喋り方を何とかしろバカヤロウ!』
(何でアンタとロマンチック語らなあかんねん!!一昨日来いやこのあほんだらぁ!)
私の知る世界じゃ、アデルが言っていた神様に対する知識はとてもじゃないが常識とは言えないものだ。それを考えればアデルの言う通り、同じ世界という可能性は無いんだろう。
もし同じ世界から来てたとしたら…私の知らないあの世界の社会のことを色々聞いてみたかったのでとても残念だ。
そんな騒動から一ヶ月ほどが経過する。
あれ以来アデルの反論は一切ない。別にあの喧嘩みたいな言い合いで、アデルが怒っるなんて事も勿論無い。
まぁ、どうかとは思うんだけど、あの程度の会話は日常茶飯事で…あの後も10分もしたら別の会話で笑い合ってた。
後になってアデルがなんで転生して、3000年も生きたのとか、色々聞きたい事があるのに気がついたが、蒸し返して反論されたら折角の勝利が台無しに成るので止めておいた。
”コンコン”と扉がノックされる。
私は自分の執務室で、山積みの書類に囲まれてげんなりしていた。
私の脇で、私がやる仕事を纏めてくれているアルホさんが「どうぞ」と代わって返事を返してくれる。
「失礼します。」
そう言って部屋に入ってきたのは女性武官のニルデさんだった。
「ノエミ様、ジェズアルド様がお見えです。」
「え…ジェズアルド…?」
何処のジェズアルドか考えてみたが、私の知っているジェズアルドは一人しか居ない。
今回の反乱に絡んでいた疑惑の残るジェズアルド。
ヴェネリオの尋問から上の二人の名は出たが、ジェズの名前は最後まで出てこなかったので、国としては無関係と判断したようだけど…
近隣の村を襲うつもりだったヴェネリオと、直前まで仲良く話していたジェズの姿を見た以上、私の中の疑惑は未だ晴れないままでいた。
ブクマ有難うございます。
まだまだ手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。
稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けますようお願いします。




