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44話

翌朝、といっても辛うじて辺りが明るくなりだした頃、約束通りウザ男が起こしに来てくれたので家を出る。

積りすぎた話のせいで気づけば朝を迎えていた3人は、薄い太陽の灯りにため息をつく…。


「ハァ…やってもたな……其にしてもノエミ、徹夜明けで森に入るって大丈夫なんか?それにほんまに送ってかんでいいねんな?獲物が減ってる言うても全くおらん分けちゃうねんぞ?」


ジゼラが見かけたという人の集団を調査する為、森に入ると言ったらジゼラは案内を買って出てくれた。とは言えジゼラが居ては私の行動もいろいろ制限されてしまうので、気持ちにだけ貰って断らせてもらった。


「ありがと。せやけどこの男(ウザ男)、こう見えてええ腕してんねん。それにその集団と敵対することになったら、あんた迄よう守らんしな。」


「アホお前、猟師なめんなよ?!」


「あはは、ナメてへんて。それよりほら、得体の知れんもんがうろうろしてるんやったら、あんたはこの村とレナ守らなあかんやろ?」


「まぁな…一応村の者に声かけて暫くは周囲警戒するつもりや。」


「うん、それが良いな。私も帰りにはまた寄るし、それまではしっかり頼むで?。……レナ、(せわ)しないけどソロソロ行くわ」


ジゼラの横に並ぶレナに視線を移す。


「ノエミ、実家には寄ってかんでええの?」


「うん、この人探し結構急ぎやねん。一応帰りに寄った時は顔出すつもりやし、誰かに会ったらよろしく言うといて。」


「ん、わかった。ほんま気いつけてな…。あとこれ、簡単やけど朝ごはん。」


そう言ってレナは小さな包みを手渡してくれた。


「わぁ、ありがとー。ってかいつの間に作ってんな、流石主婦になると違うなぁ」


「うっさい、ちゃかしなや!!」


「あはは、ほなねぇ~」


そんなやり取りを終え、手を振りながらレナータ達の家を後にした。





背の高い木々に囲まれた深い森。僅かな枝葉の隙間から時折日が差し込んでいるだけで、薄暗い。

ジゼラに描いてもらった道順のメモを片手に5時間程歩いたてきた。


「えーと、△5の記号を見つけたら大体30°くらい左に曲がって真っ直ぐか……有ったこれやな」


大きな木の幹に刻まれた記号を発見する。狩猟のために森の深くまで入り込む猟師達の道標らしい。


「………ノエミキュン…ソロソロ少し休憩しない?」


ウザ男の声に振り向くと、くたびれきった顔のウザ男が目に入る。


「ん?あぁホンマやな……。もうちょっと歩いたら開けた場所に出るみたいやし、そこまで行ったら休憩しよか」


すっかり飛行魔法好きになった私が敢えて歩いているのには訳がある。

当初はジゼラに大凡の距離と方角を聞いて、一気に飛んでいくつもりだったんだけど、


「ノエミキュン流石に空は不味くね?聞き込み出来ないなら足跡たどるのも重要じゃん?落とし物とかあったらチョーラッキーだし。それに向こうが敵対する気なら先制攻撃とかされてチョー邪魔くさいと思うんだけど?」


なんて事をウザ男に指摘されたからだ。


ちなみにその後


『先に攻撃してくれたら好都合だろ。いちいち探り合いする手間が省ける』


(だよね?)


なんてアデルとの会話をウザ男に伝えたら


「……それって、無駄に相手を刺激することにしちゃったりしなかったり?ノエミキュンの意外な過激路線を知れて俺様ちゃんチョー意外。でもそんなノエミキュンも嫌いじゃないから安心してね(ハート)」


そんな返しを貰ってゾッとした。

過激路線なんてガラじゃない、何事も穏便に済ましていくのが一番の筈だった。

なのになんでアデルの言葉をすんなり飲み込んだんだろう……やばい、アデカスの行動パターンに慣れると同時に、どうやらすっかり汚染されてしまってるみたいだ…



「でもノエミキュン、完徹明けなのにチョー元気だね。」


「そう言われたらほんまやな。メモの通り進むんが宝探しみたいで楽しくて、徹夜明けなん完全忘れてたわ………あっ見えてきた。」


10分ほど歩くと深い森の木々が途切れて、その先に背の低い草原が見えてきた。


「とりあえず切れ目の木陰で休もっか」


そう言いながら、20メートル程先にある森と草原の境目を目指して歩く。

境目に近づくにつれ、青々とした草原に反射した陽の光が眩しくて、少し目が眩んだ。



『ノエミ隠れて、人の声が聞こえる。』


カストの言葉にウザ男の手を取り、太い木の幹に体を隠す。


「ちょっ!そんないきなり大胆な。俺様ちゃんまだ心の…ムグッ」

                        「ちょっと黙ろっか、カストが人の気配感じたみたいや」


コクコクコクとウザ男が頷くのを確認して、口をふさいだ手を離す。

幹に体を隠したまましゃがみ込み、カストが指差す方向をじっと見つめた。


「うわ、なんかぞろぞろ出てきたな。」


サッカーコートが二面くらい取れそうな草原の反対側に、二人を先頭に沢山の兵士が湧き出てきた。

何かを話している様子だけど、流石に遠すぎて聞こえない。


「アデル…」

   『分かってるよ』


私が言い切る前にアデルは体に入り込み、空中にレンズを作って先頭の二人を拡大する。


(………あれ?ジェズ様やん。隣の男は…見たことないな…残りの王子のどっちかかな?)


『う~ん、どうだろうね…流石に僕らも王子の顔までは知らないからね。』


(まぁ、そうよね…よし、アデル交代)


アデルが抜けると同時に体の自由を取り戻す。


「リオ、あの右側のちょっと軽そうなんが第三王子のジェズアルド様な。揉めてる感じちゃうし大丈夫やろうけど一応油断はせんように。それと、王子の前でウザ男キャラは要らんしな?」


「りょ…わ、分かりました…」


「あはっ、相変わらず素に戻ったらキョドルんやな、もうちょい自分に自信持たらえんやで?」


基本的に弱気な魔王様だから、ウザ男キャラでもそれは変わらないんだけど、素に戻った時はそれが顕著に現れる。


「でで、でも…所詮は勇者から逃げ出した魔王ですし…」


「言うても、今やったら勇者相手でも倒せるんちゃう?言うたら怒られるし黙ってたけど、アデルはもちろん、カストも最近は形になってきた言うて褒めてたで?アデルが言うにはSランクにも届いてるやろってさ。」


「えっ?!ほんまですか?!!」


『ノエミ!ちょっとはマシに成ったと言っただけで、僕は褒めてないよ!!』


「ほら怒られた、ってか、そのエセマテラ弁はキモいしやめぇ。」


なんて事を言ってる間も、私の眼も見れずにソワソワしてる……ウザ男キャラを演じさせておけば、少しは改善されるかと期待してたけど、性根ってのは中々難しい。


『へぇ~面白がってやらせてるんだと思ってたけど、ちゃんと考えがあったんだ?』


(あ、当たり前やん!)


『昨日その言い訳思いついてたら良かったのにな』


「……………。……ジェズアルド様~!」


リオを引き連れ姿を表し、両手を振ってジェズ様を呼ぶ。


「誰だ貴様!!!」


とたん、もう一人の謎の男は武器を抜いて大声で威嚇してきた。


「っと…」


その声に合わせて後ろの兵たちも一斉に武器を抜くものだから、思わず足が止まってしまう。


ジェズ様が男を制止し、言葉をかけている。幾つかのやり取りがあった後、武器が仕舞われるのを見て再び歩き出した。




ブクマ及び評価有難うございます。

手探りで書き進めていますので、忌憚のないご意見ご感想お聞かせいただければ幸いです。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、今後も宜しくおねがいします。


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