42話
「さて、引き受けたは良いけど人探し言ってもどうしたら良いん?」
王城を出て、市街地を歩きながら隣を歩くウザ男に話し掛ける。
「アチャー。俺様ちゃんに聞くとかチョーありえなくねぇ?」
ウザ男はわざとらしく額に手を当てて空を仰いだ。
相変わらずの切り替えの速さだ。さっきまで死んだ目で絨毯の起毛の数を数えてた男とはとても思えない。
「なんでやな、 勇者探したり私探したり自分探したりあんた得意やろ?」
「だって俺様ちゃん聞いて回るだけでオッケーしょ?今回チョー秘密っしよ?同じじゃチョーヤバイっしょ?」
「あぁそっか…」
『まぁ、一先ず空から探すしかないだろ。生きていようが死んでいようが3000人も居るならそれなりに目立つはずだ』
(驚いた。意外と協力的に動いてくれるんや?)
邪魔くさいとか言って、渋ると思っていたアデルの前向きな発言に驚かされる
『しょうがねーだろ、どうせこの仕事が終わらないとクローチェに戻らないんだろ?だったら手早く済ますまでだ。』
そんな悪態をつきながら舌打ちするアデルに、思い返せば結構協力的なんだよな、なんて考えながらほくそ笑む。
(あれ?それやったらウザ男はどうするん?他人には飛行魔法掛けれへんかったよね?)
『あぁ、それは大丈夫だ。物質に浮力を与える別の魔法が有るからな、リオをロープで縛ってそのロープを浮かせたら良いだけだ。』
(おぉそんなん出来るんや。んじゃロープ買って来よっか。)
「ちょっ、カストパイセン。公衆の面前でこんなハードプレイとか、チョーぶっ飛びすぎっす?せめて宿の中とかなら…」
「『ちょっと黙ろうね』」
「ひゃ、ひゃい…」
買ってきたロープでどう縛ろうかと思案してたら、カストが自信アリげに手を上げた。
なんせロープ自体に浮力がかかるので、変な括り方をして途中で解けたら目も当てられない。
『僕は昔漁師だったって話したよね。船乗りにとってロープは手足みたいな物だからね、任せてくれて大丈夫だよ』
なんて言うから任せてみたが、ウザ男を縛り上げるロープの形は、私の記憶に間違いがなければ亀甲縛り。絶対船乗り関係ないと思う…。
15歳で前世の生を終えた私がそんな言葉を知っているといろいろ勘ぐられてしまいそうだけど、何年も退屈なベットの上でネットサーフィンしていれば、それくらいの知識を持ってしまうのも仕方がない。
「『ペル・ガリジャーレ。』」
アデルは小声で唱え、ウザ男に巻かれたロープに魔法をかける。
「イテッ、イテテテテッ………あ、でもこれ逆説的に結構気持ち良いんじゃね?」
ウザ男はそんな事を言いながら、私の手に握られたロープの先で恍惚しながらプカプカと浮いている。
この魔法はあくまでロープに浮力を与えるだけなので、形としては風船と変わりない。
「『よし、それじゃ行くぞ』」
アデルは言うと同時に飛び上がり、ブオン目指して一気に加速した。
「すげーすげーぇすげーぇえ!飛んでるよ、まじ飛んでるよ、チョー飛んでるよ。アデルパイセンやっパネーーー!」
初めての飛行魔法に興奮しっぱなしのウザ男を無視して、アデルは黙々と飛び続ける。
「城があんな小さいよスゲー」
「海が見えるよスゲー」
「木が生えてるよスゲー」
「空が見えるよスゲー」
そんな風に若干意味のわからない感動を口に出し、収まること無く興奮し続けるウザ男は少しうるさいが、はしゃぎたくなる気持ちは分かるのでそっとしておいた。
そうこうしているうちにブオンの上空にたどり着く。
街に降りる前にそのまま上空から周囲を捜索するが、これと言ったものは見つからず。
街に下りて酒場なんかで周りの話に耳を傾けるも、関連する話題は聞こえてこない。
同様に3日ほど粘ってみたが、何の成果も得られなかったのでそのままマテラに向かって飛び立った。
マテラ村まではまっすぐ飛べば1時間程で着くのだが、大きくジグザグに飛んで広範囲を捜索する。
「『リオ、どんな些細なことでも良いから気になるものを見つけたら教えろよ。』」
「オッケーオッケー。俺様ちゃんがバシッと手掛り見つけちゃうよー……あー!!」
「『おっ、早速なにか見つけたか?』」
言って早々、ウザ男は大きな声を上げて海岸線を指さした。
「あれ船っしょ船!スゲーでけー船っしょ!!あんなデカイ物が水に浮くとかチョー滾るんだけど!」
未だ興奮冷めやらぬウザ男は、一人見当違いな事を言って騒いでる。
「『………船だな………』」
アデルはそれを特に責めること無くボソリと返した。
(‥‥‥‥‥‥‥‥。)
『何だ?なにか言いたげだな?』
(船だな…ってそんだけなん?)
『そんだけって、他に言いようがないだろ…』
(……………みてみてアデル!あっちにメッチャでっかい船が浮いてるで!)
『あぁ?何いってんだこの馬鹿は、やる気がネーならもう帰るぞ?』
………この扱いの差は一体何なんだろう…。
そんなこんなで、結局なんの手がかりも見つからないままマテラ村に着いてしまった。
「ノエミ?ノエミちゃうん??」
日が暮れ始め、村の郊外に下りた私を誰かが呼ぶ。
「あ…」
「キャー!!やっぱりノエミやん!何処行ってたんさ、急にいんくなったし皆メチャメチャ心配しててんで!まぁかまへんわ、とりあえずおかえり~」
呼ばれて振り向いた私に、そう言いって抱きついてきたのは、かつての親友レナータだった。
ブクマ及び評価有難うございます。
次回更新21日予定です。
字面以上に読んで頂いてる皆様には感謝の気持ちでいっぱいなのですが、何だか素っ気なくてすいません…
忌憚のないご意見ご感想、お寄せいただければ幸いです。
稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、今後も宜しくおねがいします。




