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38話

「チョリース!ノエミキュン。朝ごはんチョー出来たから、チョーチョッパヤで準備してね。あんまり遅いと俺様ちゃんが、あ~んして食べさせちゃうよ~」


「…………ぶっ…あはははは、起きる、起きるから あ~ん は止めて!あはははは………。おはようウザ男。今日も朝からめっちゃウザいわ」


扉越しに、私を起こしに来たウザ男に朝の挨拶を返す。

アデカスと相談した結果、ウザ男を雇うことにして約一ヶ月、こんなやり取りが朝の日課になっている。

アデルは自分を認識している後輩が可愛いのか、すっかり気に入ってしまったようだし。

カストはここでウザ男を倒さないなら眼の届く範囲に置いておいてと、正義感を燃やしていた。

私としても、ウザ男の境遇は他人事とは思えないし、もし悪さをしても手の届く範囲に置いておけば、止められるだろうと考えたからだ。

そもそもこんな弱気な奴が人類の敵だと言われてもピンとこない。


本人は騎士団に入って鍛えたいと言っていたが、ウザ男が暴走した時に止められるのはアデカスしか居ないので、騎士団に席を置きながらも私のパシ、、、、側近として側に置くことにした。

その条件として、今後もウザ語で話す事を義務付けたのでこんな事になっている。



「ノエミ様…これはいつまで続けないと駄目なんですか……」


食堂に向かう途中、並んで歩くウザ男がうんざりした顔で言った。


「んー、私が飽きるか本気でウザくなるまでかな?ほら。頑張ってウザがられたら早よ止めれるで♪」


「……頑張ってウザがられるとか、俺様ちゃんチョー斜め向きな努力にだと思ったりしちゃうんだけど。それでもチョー頑張っちゃうから見ててねノエミキュン(ハート)」


さっきのうんざり顔は見間違いだったのかと思うほど、ウザ男はピタッと切り替えて私にウインクを飛ばす。こういう素早い切り替えができるウザ男は素直に尊敬できた。


そんなウザ男のウザ語も、ウザ男のキャラとして町の人々にも定着し初めた。

中でも小さな子供達に大ウケで、街を歩くとウザ語を話す子供を見るのも稀ではない。


「やったねウザ男。これウザ語ブーム来てるんちゃう?」


「…そんな事言われても、俺様ちゃんチョー上がんないしぃ…。

 それに……自分で言うのもなんですけど、傍から聞くとホントウザいですね………。」


ブームの火付け人は意外と不本意なようだ。


『ノエミ、誰か来たみたいだ。地下に行くぞ』


「誰か来た??あっ!転移陣か!……なんかあったんやろか??」


陛下たちの緊急避難のために王宮と秘密基地を結んでから初めての事だ。陛下たちに何か有ったのかと慌てて秘密基地に向かった。





秘密基地への転移陣は執務室の奥にある。ウザ男を連れてそこから転移すると、そのまま真っ直ぐ食堂に向かう。

基地内は広すぎるため、基本的にはボタンを押したら食堂で待つようにお願いしていた。


「カーラ様!」


食堂に着くと優雅に寛ぐカーラ様。奥にはお茶を入れようと四苦八苦されてるクレオ様の姿が見えた。


「どうされました?お二人だけですか?」


クレオ様に代わってお茶を用意しながら尋ねる。緊急事態でない限りここには来ない様に決めていたので慌てたが、カーラ様の寛ぎ様を見る限り何かが起こったようにも見られない。

遊びに来ただけ。なんて事はないと思うがカーラ様相手だとそれも怪しい…。


「突然ごめんなさい。父様が至急ノエミ様にお願いしたいことが有ると言うので私が参らせていただきました。」


出したお茶をフーフーと冷ましながら、ゆったりとした口調でカーラ様が言う。


「至急ですか…分かりました。すぐに準備してきますけど……どの様な内容かご存知ですか?」


「詳しく聞かされてはいませんが、現在ジェズ兄様が行方知れずになっておりまして。恐らくはそれに関することだと思いますわ」


「え?!ジェズが行方不明って大事じゃないですか?!」


継承順位が低いと言っても王子は王子。同時に家族でも有る筈なのに、なんでそんな落ち着いてるんだろう?


「恥ずかしながら、ジェズ兄様の行方が分からなくなるのは珍しいことでは有りませんのでそれほど心配しておりません。……………そんなことよりもノエミ様?いつの間にジェズと呼び捨てるような仲に成られたのですか?」


ティーカップがそっと机に置かれて、カーラ様の周囲の温度が下がりだす。


(あっ…やらかした。)


いくら命令だからと言って、本人不在の中、王族相手に呼び捨するのは流石に不味かった。

カーラ様の刺すような視線に怯えていると、背後に吹雪の幻覚まで見えだすんだから正に逆鱗に触れたってヤツだろう。

説教程度で住めば良いなと祈りながら肩をすぼめていると


「ズルいですわノエミ様!私の方が先に友だちになりましたのに!!」


「はぁっ?」


ズルいと叫んだカーラ様の言葉の意味が本気で分からなくて、思わず「はぁっ?」とか言ってしまう。

重ねてやらかし慌てて取り作ろうとするも、カーラ様は取りつく島もなく言葉を続けられる。


結局のところズルいの正体は、「私の方が先に友達に成ったのに畏まった呼ばれかたをするのはズルい」と言う意味合いらしく、継承権第一位の名に置いて敬称を省くよう命令された。

まぁ最近は、王族も只の人なんだなと実感していることもあり、敬称を省くのに以前ほどの畏れはないから楽で良いのだけど…

カーラ様は私の事を、慣れていないからと言って様付けで呼び続けるという。

そんなの私も同じだと訴えたが、ソレはそれだと切り捨てられた。

そのうち調子に乗ってしまいそうな自分が怖い。


「ところでノエミ様、そちらの男性は…?」


「あっ、挨拶が遅れました。先月から側仕えとして雇いました、ウザ………本名なんやっけ?」


「チョーーーノエミキュン、それって酷く…グエッ」

  「ちょーーーとウザ男黙ろうか。」


空気を読まずにウザ語で話し出したウザ男の喉を突いて黙らせる。


「あんたのその物怖じせえへんのは好きやけどな、もうちょっとその場の空気読もうや?

知ってるか?T・B・O。(T)場合(B)大火傷(O)、これ次の試験に出るからちゃんと覚えとくんやで?」


ブクマ登録有難うございます。

少し予定を早めまして次回更新7/9に出来る予定です。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、今後も宜しくおねがいします。


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