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35話


「父様いい加減にしてください!!」


カーラ様の強い言葉と同時に陛下がシュンと背を丸められた。

私達下級貴族でもあり得ないそんなやり取りは、まるで前世の家族を見ている様で、なんだかとても懐かしい。

そんな陛下一行を送り届け、私はそのままとんぼ返りする。

自宅の城に戻るとすっかり朝になっていて、メイドさん達が慌ただしく朝の準備に走り回っていた。

私は朝食は不要と告げて布団に潜り込む。地下の秘密基地は窓がないので時間感覚がなくなるのが問題だ…。





”コンコンコン”

      「ノエミ様、至急ご判断頂きたいことが御座いまして…。」


女性文官リーアさんの扉越しの声で目が覚める。


「はいー…………今行きます。」


身支度を整え扉を開けると、そこにはリーアさんと何とも申し訳無さそうな顔のエラズモさんが立っていた。

訓練場に会わせたい人が居るというので、事情を聞きながら移動する。


「実は、騎士団に仕官してきたものが居るのですが…」


しかし、事情を説明するエラズモさんの口がどうにも重い。


「騎士団ですか…?」


町の人口も増え、所領としてようやく落ち着き出したので、各方面からの進めも有ってザイラ領騎士団の編成を本格的に始め、広く士官を募っている。

騎士団に相応しい人材と言われても私には判断できないので、人選は全てエラズモさんとニルデさんの両武官の方に一任しているのだが、出自問わず実力第一で募集をかけた所、予想の10倍近い応募が有ったのでとても苦労していると言う話は聞いていた。


「もしかして、他国の王子様とかが仕官してきたんですか?!」


一任しているのに私に判断を仰ぐというので、身分的な問題かと予想を立てて聞いてみた。


「いえ……平民の現役冒険者の者です」


「実技試験はクリアーしてるんですよね?」


「はい。Eランク冒険者との事でしたが、恥ずかしながら私も完敗してしまいう程の者でして、私の一存で手放すには惜しい人材かと思い…」


「あー、実力は申し分ないけど、性格に難ありってやつですか。」


「いえ…性格に難があるとも……言い切れないのです………」


「えぇ?実力有って、性格悪くないなら合格で良いんちゃいますん?」


「いや…そこがその……何とも説明し難く…」


何とも要領の得ない話に、聞けば聞くほど分からない。

リーアさんに助けを求めるが、彼女もまたなんと説明して良いのか分からないらしい。

一流の文官が説明できない事態って一体何事なのか?何だか逆に楽しみになってきた。




「おー、ズモパイセンおかえり~~っす。ってかそのチョーー可憐なお嬢さんはもしかしてパイセンの娘さんとかっすか?!マジっすか。チョー俺に紹介してくださいよパパさん」


城の中庭に位置する訓練場に足を踏み入れると、いきなり謎の生き物が謎の言語を飛ばしてきた。


「誰がパパさんだこの馬鹿者!この方は当騎士団の主、ノエミ・ザイラ伯爵であるぞ!!」


「おおおおおぉおお!ザイラ伯ってマジっすかマジっすかマジっすか!!!俺チョー(たぎ)ってきましたよ、マジっすかーーー。可憐なお姫様とそれを守る騎士との恋!!!マジ始まったりとかありじゃないっすか?!!!」


謎の生き物はエラズモさんの怒号も何処吹く風で、一人テンションを上げている。


「うはっ!何なんこのおもろい生き物。初めて見る珍種やで、アハハハハ。…ってか、エラズモさんこれに負けてしもたんです?」


「はい…恥ずかしながら……。」


平静を装いながらもそう言うが、固く握りしめられた拳から伝わる殺気が半端ない。思わず爆笑してしまったが、なんというかまぁ……心中お察しします。


「うひょぉ。ザイラ伯笑っちゃいました?!ウケちゃいました?俺ってチョー面白イッショ。来たんじゃね?来たんじゃね?結婚を前提としたお付き合いとかマジ夢広がるんじゃじゃねっスか?!」


「あはは、確かに不意打たれてしっかり爆笑してしもたけど、残念。もうお腹いっぱいやわ。うん、兄さんあれや。あんたはこんな辺境の騎士団なんかで収まる器ちゃう、もっと広い世界で活躍できる最高の芸人でも目指すべきや。そのまま自分を貫いてしっかり励みや。ほな」


「ちょっ、チョット待ってよザイラハキュン!俺様ちゃんの強さ聞いてないっすか?顔・話・技の三拍子そろった俺様ちゃんは今がチョーお買い得なんすよ?!今ならもれなく甘い夜も…ん~~たまんなぁぁぁぁぃ。って感じでアフターケアもバッチリっすよ!」


「投・攻・守みたいに言いなや。技が有るのは聞いてるけど、喋りはウザいし顔は正直好みやない。何よりアホはいらんねん。ほなね。」


ため息と共に吐き捨てるようにそう言って踵を返す。

何度も言うが、私は不相応に与えられたこの地位に笠に着るつもりは毛頭ない。だから、例えばもっと仲が良くなってからだったら、こう言う話し方でも個性の一つと有りだと思える。

だけど、初対面でこれは流石に駄目だろう。

こういう奴は後で絶対高位の貴族様とかにも同じ様に話して不興を買うと言うのが決まってて、空気の読めないアホは存在だけでトラブルを引き連れてくるのが世界共通のルールになっている。

何より今にもキレてしまいそうなアデルが恐い、いい加減ここを離れないとアイツの生命の保証もできない。


「あーそうか。ザイラキュンもしかして、俺様ちゃんに負けることビビッちゃってるぅ?でもチョー安心していいからね、俺様ちゃんの愛はそんな事じゃ薄まらないから(チュッ)」


背後からの殺気(投げキッス)に慌てて身を躱す……迄もなくアデルが入り込み瞬間移動のごとくウザ男の背後に回り込んでいた。


「『このクソガキ。誰がビビってるかもう一度言ってみろ』」


そう言ってアデルは背後からウザ男の首根っこを掴みにかかる、しかしウザ男は捕らえられること無く瞬時に移動し、10メートル程離れた場所で振り向いた。


「ヒョー、ザイラキュンチョーコエェーー。いきなりすぎるアプローチに俺様ちゃん思わず逃げちゃったよ。でも、嫌いになったわけじゃないからチョー安心してね(ハート)」


『へぇ。なかなかやるね』


アデルの動きに反応したウザ男を見て、カストは嬉しそうに感心してるが、躱されたアデルの方は、この大陸全てを破壊しつくしてしまいそうな勢いで全身から黒紫色のオーラを湧き上がらせていた。


(アデル落ち着きや?ここはあんたが創った街やで?あんたがキレたらここら一帯更地に成るんやで?)


(『あぁ?街なんかいくらでも作り直してやるよ』)


アデルは普段、道端にゴミが落ちてるだけでもキレながら拾いに行く程この街を愛してる。

そのアデルが街を破壊すると公言する程に怒ってるのだから、このままでは何が起こるか想像もつかない。


『ハッ、このところ丸くなったように見えていたけど、ヤッパリ正体を現したね』


(『なんだとこの腐れ勇者、誰が丸くなったってぇ?!』)


アデルがからかい、カストがムキになる。そんな普段の役割とは真逆になって、カストの言葉にアデルが逆上してる。


(待て待て待て待て、落ち着きや二人共。あんたらがこんなとこで暴れたら大惨事になるやんか!)


『大丈夫だよノエミ。幽体の僕らが何をしてもそっちの次元に何ら干渉は出来ないから』


(あ、そうか、、、。)

      『そういうことだよ!!』


私が安堵すると同時に、アデルは私から抜け出して、カストに向かって魔法を放つ。

アデルの頭上に巨大な白い球体が現れて、そこから無数の光の矢がカスト目掛けて飛んでいく。


しかし、カストが剣を振る(正確には振ったんだと思う)と、数え切れぬほどの光の矢はカストの目前で霧散していった。


『ちっ!』


アデルは舌打ちすると、今度は頭上の玉をそのままカストに投げつける。

玉はカストの目前まで迫ると、強烈な光を放ちながら爆発した。


「キャッ!」


私は思わず叫びしゃがみ込んだ。

アデカスは私を中心に半径10メートル程しか離れられないので、この戦闘は誇張なしに目の前で繰り広げられている。3D映像に思わず体が反応してしまうように、余りにリアルな幽体共の攻防に私の身体は害がないと分かっていても反射してしまう。


爆発の光が収束すると、そこに傷一つ無いカストの姿が現れた。

カストはトトッと二歩ほど助走をつけると、一瞬で残像を残して見えなくなった。

アデルは素早く飛び上がり後退するも、行動限界範囲に阻まれて動きが止まる。

その瞬間をカストが見逃すはずもなく、アデルの面前に現れるとそのまま袈裟斬りにアデルを切り裂いた。


「アデル―――――!!!!アホカストやり過ぎや!!!」


即死していても可笑しくないその容赦ない攻撃に、私はカストを睨みつける。


『やりやがったなこのクソ勇者!これでも喰らいやがれ!!』


「アデル!大丈………ヒャァァァァァ!!!」


アデルのハリのある声に安心したのもつかの間、今度はアデルの頭上から1メートル位ありそうな巨大な石の塊が無数に湧き出て、そのまま私の周囲一面に降り注ぎだした。


”ドゴーン!・ドゴーン!・ドゴーン!…………”


実際には聞こえるはずがない別次元の巨石の衝突音が、幻聴となって私の頭に鳴り響く。


巨石は私もろともカストを覆い埋め尽くす。

カストを押しつぶし、地面を(えぐ)る。尚も巨石は降り注ぎ、ぶつかり合って砕け散りながらも降り積もる。


(アデル!あんたもこれはヤリすぎ……)

              『だァァァ。もうやってられるか!!!!』


流石のカストもコレは一溜まりもないだろうと思った矢先、アデルはやけくそ気味に叫んで威圧を解いた。


『ハハッ。暴れて少しは冷静になれたかな?』


威圧が溶けると同時に、降り積もった巨石は消えて、後には笑顔のカストを残す。


(え?どういう事?????)


切られたはずのアデルの身体には装備諸共傷一つ無く、押しつぶされた筈のカストもピンピンしてる。

あれだけ激しかった戦いの痕跡が元々何もなかったかのように消え去って、いつの間にか流れていた私の涙だけが残された。


ブクマ及び評価有難うございます。

少々甘い採点に平均評価点が重くのしかかりますが、期待値も含めてのことだろうと、内容文章共に恥じない物にしていけたらなと思います。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、生暖かく見守って頂けます様おねがいします。

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