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13話

『最後に、ここが出口だ。』


一通りの施設を巡り、最後に出口へたどり着いた。

アデルが過去に作り上げたこの地下施設内には、様々な施設が作られていて、秘密基地って言葉がぴったりだ。

地下にもかかわらず日の光が当たる謎の畑や運動場。医務室、資料室、執務室。

食堂を含む宿泊施設や武器庫に宝物庫、冷蔵貯蔵室なんてものも存在して、1000人程度がこの空間だけで生活出来る設計なんだそうだ。

驚いたことに、今は壊れて動かないが地熱を利用した発電施設まで作られていた。街灯や冷蔵庫、館内放送なんかがあるのだと言う。


地熱発電の説明を受けた時、思わず「電気やん…」なんて呟いてしまい、アデルに「何故その言葉を知っている」なんて問い詰められた。

誤魔化すのが非常に大変だった。

別に前世の記憶が残っていることを隠したいわけでは無いが、前世の記憶を当てにして色々期待されるのが怖い。この秘密だけは墓まで持っていく。


それにしても、5000年前にあった技術が今はないとか面白い。過去だからといって技術が進歩していないと決めつけるのは大きな間違いで、オーパーツなんて言葉自体が傲慢なのかもしれないな。



『この陣に魔力を流し込めば外へとつながっている。本来この通路の反対側には物理的に外とつながる通路があったが、今は完全に土に埋もれてしまってるからな、新たにつなぎ直すかどうかは追々考る…この陣は本来俺にしか反応しないが、魂の繋がりを持つノエミになら出来るはずだ。試しにやってみろ』


アデルが背後で腕を組みながらそんな事をのたまう。


「いや、アデルさん…魔力の無い私に言われてもそんなん出来ひんよ」


自慢じゃないが、魔力適性は皆無だと、何度も受けた適正診断でお墨付きをもらってる。


『お前馬鹿か?いや…馬鹿なんだろうな…』


アデルは失礼な言葉と共にため息を吐いてからこう続けた。


『魔力と精神力が密接に関係するのは知ってるな?そして俺たちの存在は精神力の塊だ。ここまでは良いか?』


「バカとか言うな。それくらい知ってるわ。」


『なら聞くぞ?無限の魔力を誇ると言われた俺の精神と、人知を超えた力を持つ脳筋勇者の精神を同居させるお前に魔力が存在しないはずがないだろぅ』


「‥‥‥?どういう事??」


『ここまで言ってわかんねぇとか。マジかお前……いいかノエミよく聞けよ?お前の魔力(精神力)は、俺とこの腐れ勇者とを取り込んでも余るくらいに余裕があるんだ。コップにバケツ一杯の水が入れられるか?バケツにコップ一杯の水を入れることは出来るだろ?つまりは、バケツがお前で俺たちがコップだ。人のこと化物だとか規格外だとか言ってるが、俺に言わせりゃお前のほうが化物だ』


お前ら幽体なんだから化物には違いないだろうと言いたいが、今はそれどころじゃない。


「なんでやさ、魔力適正皆無やって散々言われてきたもん‥‥」


『やっぱり馬鹿だなお前。こんな規格外な魔力、人間ごときに計測できるはずがないだろ。』


バカバカバカバカ言いすぎだ‥‥‥。

とは言え、「そう言われれば…」と、思い返す。

魔力は普通どんな人にも少なからず存在して、訓練すれば大なり小なり増やすことが出来る物だ。

だけど私の場合は皆無だと言われた。

見事なくらいに何もないと言われ続け、時には初めての事例だと逆に興奮されたり、生きているのが不思議だと驚愕されたりもした。

どんな訓練を受けようとも無いものは増やせ無いと言われて、魔法の道は諦めた。


「ほんなら私、魔法使えるん?」


『訓練すれば使えるが、無理だろうな。』


「なんでよ?」


『カストと同じ理由だが、魔力の量が多すぎるんだ。例えばお前が初級魔法のファイヤーボールを唱えたとするだろ?すると、そのファイヤーボールには制御なく魔力が注がれて、最低でも大都市一つ消滅するのは確実だ。これは俺の最大魔力量での換算だからな、実際のところどうなるか想像もつかねーよ』


「せ、制御すればいいんやろ…?」


『天才のこの俺が、俺程度の魔力を完全に制御するのに大凡1000年費やした。やる気があるなら教えてやるよ』


「‥‥‥‥‥」


魔力の制御は、コップを傾けて水を流すのに似てるらしい。器が大きければ大きい程僅かな傾き加減で大量の水が溢れ出る。

要約すれば、初級魔法がペットボトルの蓋ならば、私の器は50メートルプールぐらいらしい。


『気にすることはないよ。僕もこの5000年、魔力制御の訓練は嫌という程してきたけど、未だに制御できないから。』


カストの慰めにもとれる追い打ちに肩を落とす。


『お前は才能無さ過ぎだ、この脳筋め』


勇者の称号と共に得た聖魔法は、神の管理下にあるそうで制御の必要性は無いらしい。

さすがは勇者、つじつま合わせがいちいちチート臭い。

まぁ、カストを僻んでも仕方がないので、魔力云々は忘れることにしよう。


魔法陣に魔力を流しこむと、生い茂る深い森にポツンと投げ出された。


魔法陣や魔道具の場合は、基本必要な魔力をすくい取るように使われるらしく、私でも問題なく使えるらしい。とは言え一部例外も有るため、知らない魔法陣には勝手に触るなと約束させられた。

酷い子供扱いだ。


移動先は魔法陣に手を加えることで変更できるらしいが、ひとまずこの場所を街の中心に決めた。


『よしノエミ。ここに城立てるぞ!!』


アデルが両手を広げて興奮気味に話す。


「なんでいきなり城やねん!!!先ずは雨風しのげる自宅やろ‥‥‥ちょっとカスト、世間の常識を教えったって!」


『そ…そうだね‥‥。』


話を振ったカストはカストでどことなくソワソワしてる。


『小娘には分わかんねえか?‥‥。城って奴はな、理屈じゃねぇ。ロマンなんだ。』


腕を組み胸を張って語るアデルに溜息が出る。


『ノエミ‥‥僕としても有事に備えて城を建築するのがいいとおもうよ?』


有事って何やねん。コイツ(カスト)も駄目だ‥‥‥‥。




激しい言い合いの末、陛下の依頼を完遂したら、城を建てることに落ち着いた。

明らかに二人のテンションが下がっているが、あんな大金を受け取っておいて、お願い無視するほど私の心は強くない。


しかし、どんな街を作るかという話を持ち出すと、途端に二人とも復活した。

地面に絵を書き、あーでもないこーでもないと議論を繰り返す。今の二人を見ていると普段喧嘩してるのが何だと思える。


「なんだかんだ仲いいよね…」


普段なら血相変えて怒られるところだが、今の二人には聞こえてないようだ…。

地面に絵を書くたびに入れ替わり立ち代わり身体を使われる私としては迷惑な話だが、仲良くはしゃぐ二人を見てたら、「楽しそうだしまぁいいか。」なんて気分になってくる。

これが母性本能って奴だろうか?



広大な都市計画図が完成した。

中心から6本道が放射状に伸び、それに交差する道を繋ぐと内側から徐々に拡がる六つの円が浮かび上がる。外周に張り巡らされる城壁は9つの頂点を持つ星型に造られていて、五稜郭ならぬ九稜郭だろうか?


『よし‥‥。カストこれを立てろ』


地面に描かれた計画図をアデルが魔法で石版のように固めて、立てるよう指示する。


『任された!』


「はっ?」


初めて見る光景に思わず二度見する。

歴史的瞬間だ。

アデルの指示にカストが文句を言わずに従ったのは初めてだろう。

貴重なこの日をアデカス記念日と記憶した。


評価及びブクマ有難うございます。

この話に少しでも興味を持って頂けた事にニマニマしながら、

更新頻度を少しでも上げる事で答えようと、なんとか頑張っております。

稚拙な文章で読みにくいとは思いますが、今後も宜しくおねがいします。

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