お茶会
流され流されて「closed」の部屋へ入れられた。彼女?はお茶とおやつを持ってくるよ、と言って部屋を出ていった。
内装は思っていた寝室ではなく、本がズラリと並んでいた。それも壁側すべてに棚があった。これだけあってきちんと片付いているのは人柄だろうか。
「いやいや、待たせて悪かったね。おお、そこの椅子にでも座ってくれていいよ。
お言葉に甘えて座り、
「さて、何から聞こうか」そう、目の前にお茶を出されつつもはやその事にしか頭になかった私は
「あの!アナタは魔法使いですか!」
食い気味に言い放ったので流石に驚いていた様子だった。
と、思っていたらお腹を抱えて盛大に笑われた
「アハハハハ!なんだい、そんな事の確認の為にこんな所まで自力で来たというのかい?」
無性に恥ずかしくなってくる。死にたい
「魔女か...そうだねぇ、答えてもいいがちょっとした問題を出していいかい?なに、結論はすぐに出るよ。」
「いいですけど、今取り出したそれは──」
いつの間にやらどこから出したかわからないろうそくと思わしきものが、
「さて、じゃあ質問だ。恐らくキミの持つ魔女のイメージは魔法を使う怪しい女といったところかい?そこで、君の考える魔法とはなんだ?どんなものだと思う?」
何だろう、言葉を遮られた挙句比較的素直な質問をしたと思ったら哲学的な質問返しをされてしまった。
非常に困ったことにそれに相応しいと思われる回答が私には見当たらずその場で頭を抱えるしかなかった。
「すまない、悩ませてしまっているね。」
「いやいや、そんな事は」申し訳なさそうに言った。
「よし、2つに絞ってあげようか。これなら答えれるだろう、現代の魔法の認識は、奇跡の類であるかそう出ないか?さぁ、キミはどっちだ」
予想より高度な気がする。
「うーんと、どちらかといえばそうだなぁ...やっぱり奇跡的なものなのかなぁ...」
自分でこういっておいてなんだが、今まで思い続けてきた事を“奇跡”と言い表すのはなにか抵抗があった。
「こんな森の奥に住んでいても案外、俗世の知識は入ってくるんだよ。所謂創作物で表される魔法という物、私から見てみればあれは奇跡や言ってしまえば超能力と言っても差し支えないほどだと思うよ。」
「じゃ、じゃあ貴方は違うんですか。」
真っ向から否定されてとても心苦しかったのだろう。苦しいながらの発言である。
更に否定をされていくのかと思った。そうして欲しかった面もあったがそうではなかった。
「じゃあ軽く自己紹介と私にできることをひとつ教えよう。」
側にあったのだろう。マッチに火を付け、ろうそくに火をともし始めた。
するとあろう事か、目の前の魔女はその火に触れるぐらいまで左手を近づけた。だが暑そうにしてる様子は微塵も感じられない。
「あ、あの、一体なにを...」
「まあまあ、見てなさいな。」
とても落ち着いた様子で別の机の上にある紙束から何も書かれていないものを取り出した。その紙を右手で持ち、左手をその紙にかざした。
「いくよ〜瞬きしないでね、っと!」
ボウっと、紙に火がついた。