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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第2章 王都への旅路
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34『知名度を上げるには?』

 女性騎士が戻ってまもなく、戦況は動いた。

 最初に動きを変えたのはエッグイーターを押さえていた前線の騎士達、いままで動きを押さえていた彼等がゆっくりと後ろに下がり始めた。その間もエッグイーターは舌を使い騎士達を攻撃していたが彼等は決して倒れる事なく下がっていった。俺なら盾を持っていても飛ばされる自信があるな。

 騎士達がある程度下がった時、エッグイーターが突然攻撃を止め空に舌を伸ばした、遠すぎるうえに雨で見えないけど、きっと卵が投げ込まれたのだろう。そして、


「うぉっ!?」

「きゃっ!?」


 エッグイーターが舌を口に入れた瞬間、思わず耳を塞ぎたくなるような轟音と眩い閃光が俺の視界を覆った、恐らくさっき言ってた雷魔法を使ったのだろう。俺達は思わず耳を塞ぎ目を瞑り、再び俺達が目を開くとそこには横転したエッグイーターとそれに剣を振り上げ迫る騎士達の姿があった。


「エッグイーターが倒れた理由はなんでだと思う?」

「普通に考えたら雷を落として感電させた、んじゃないかな?」

「そんなところだろうね、まだ私らが使えないから本当にそうなのか断言出来ないけどね」

「部隊を後ろに下げた事を考えると範囲攻撃なんでしょうね、味方が巻き込まれないように範囲外に退避させた、それもエッグイーターがその場から動かないように慎重に」

「ガブはよく見てるな、俺には足場が濡れて不安定だからゆっくり動いてる位に思ったよ」

「遠くの様子を見るのは【狩人(このジョブ)】の必須スキルなので」

「あっ、終わったみたいッスよ」


 クロウの声に全員がエッグイーターの方を見ると騎士の1人が上に乗って剣を掲げていた。

 それにしても早いな、卵1個でこんなに戦闘時間が変わるものなのか、今度からは戦闘方法も工夫した方が良いかもな。

 そんな事を考えていると騎馬が1騎駆けてくる、あの鎧の形状、どうやら先程の女騎士がまたやって来るようだ。


「協力感謝する、お陰で迅速に終わらせる事が出来た」

「いえ、お役に立てたなら幸いです、それにしても早かったですね」

「エッグイーターといえども動けなければ只の的だ、我等騎士団にかかれば脅威でもなんでもない」

「そうですか、すごいですね、俺達は見かけても逃げるしか出来ませんでしたから」

「その口振りだと他にもいたのか、何処にいたか覚えているか?」

「え~と、【マウケン】って村の近くですね、ストーンスワローの巣を襲っていたみたいです、もう何処かに行ってしまったと思いますが」

「ふむ、後で確認しておこう、そういえば名前を聞き忘れていたな、なんと言う」

「ジンです、ノルンではなく異人と呼ばれる者の1人です、後ろの皆も」

「そうか、貴殿達が、私の名は【サフィーラ】と言う、既に見えているから分かると思うが王都まではあと少しだ頑張ってくれ、後日ギルドに気持ち程度ではあるが謝礼を届けさせる、それでは失礼する」

「えっ!? 謝礼とか別にいらなー、……行っちゃったよ」


 サフィーラさんは俺の言葉を聞かずに行ってしまった。謝礼を貰う程なにかをしたつもりは無いんだけど、……まあ、貰える物は貰っておこうかな。うん。

 サフィーラさんが隊列に戻った後、指揮官と思われる騎士が手を振り上げた、すると騎士団の姿が一斉に消えた、エッグイーターの姿も一緒に。

 道には戦闘の後と思われる足跡と血の後だけが残されていた。


「あれって転移?」

「だと思うが、そんな事の出来るアイテムがあるんだな」

「もしかしたら魔法かもよ、どうやったら習得出来るかな?」

「考察も良いですが、とりあえず発車しません? 雨も止むどころか激しさ増す一方、吹き込む雨の量も増えてますし」

「そうですね、では行きますよ」


 戦いの跡を通り抜け馬車は王都に向けて走り出した。徐々に巨大な壁が近付いてきた感じているとふとイアンが呟いた。


「やっぱ、数を揃えないと無理か」


 数を揃える? 一体なんの話だろうと思っているとアンク君が尋ねた。


「突然どうしたんですか?」

「ん? あぁ、さっきの騎士団の戦い、あっという間に終わっただろう、あれを見た後だとパーティーだけじゃいずれ限界が来るんだろうなって思ってな」

「まあ、将来的にはそうだろう、しかし、今すぐではなくても良い筈だ、まだ始めて一月も経っていないしな」

「いや、それはそうなんだが」

「さっきの場合は相性と戦術の賜物だと私は思うな~、雷ドッカーン! で痺れた後に袋叩き、今の私達のじゃいくら数がいてもあんなの出来ないんだから、まずは個人の実力を上げる事優先でいいんじゃない? 魔物の情報を集めるにしても仲間を集めるにしても色々大変だしさ、自称攻略組(あんなの)に纏わり付かれでも困るしね~」

「俺もあんなやつらを集める気はねぇよ、条件はそれなりつけるさ」

「その、数を揃えるって言うのは、今回みたいにユニオンを組む、って事ですか?」

「おう、それも常時組んで行動出来る仲間を集めようと思ってな、絶対必要になると俺は踏んでるんだが、クロウ、何か人を集める方法はないか?」

「集める方法は知名度上げるか、地道に人を見つけるしかないと思うッス」


 クロウの提案にイアンは目を閉じうなり出した、と言ってもクロウの提案が一番無難な方法だろう。

 俺は広い拠点を手に入れれば従魔に出来る数が増える筈だから、大きな拠点を見つけないとな。そういえば拠点ってどうすれば手に入るんだろう? 不動産屋ってあるのかな? 後で調べておこう。

 結局良い案が出なかったらしく、イアンはクロウに改めて尋ねた。


「スカウトは地道にするとして、知名度ってどうすればいいんだ? 俺達の知名度なんて無いに等しいのに」

「そうッスね、とりあえずキャラバンでも組んでみるッスかね」

「キャラバン? あの大勢が一緒に移動するあれか?」

「似て非なる物ッスよ、【CWO】にも他のゲーム同様チームやギルドって呼ばれる物はあるッス、冒険者ギルドもそれッスね。ただこれには段階があって拠点がない集団を【キャラバン】、拠点を持っていると【クラン】、そして国に属すると【ギルド】って呼ばれるみたいッス、つまり冒険者ギルドは国に所属する組織って事ッス」

「それだと俺達ってどういう立場になるんだ?」

「いまのところバイトッス」

「そうなんだ」

「一応Cまではバイト扱いって感じッス、Cに上がるには試験があるッスからCになれば正社員、Aは国に認められたらだから公務員ッスかね」

「「「へぇ~」」」


 バイトねぇ~、まぁ、ゲームの中で仕事に就くつもりは無いから別にいいか。


「で、結局そのキャラバンってやつを組む事が知名度にどう繋がるんだ?」

「単純に有名になった時にキャラバンの名前が頭に来るって話ッス、例えば◯◯のイアンとか、◇◇のジロウみたいに、これなら必然的に名前が2つ同時に売れるし、本人に出会えなくてもキャラバンに入ればいずれ一緒に遊べる日が来るかも、なんて人も来るかもしれないッス、ちなみにさっきの女性は【蒼鷲の麗鳥】って呼ばれてる人ッスよ、アインにも彼女のファンクラブの支部があるッス」

「ファンクラブねぇ~、つまり有名にならないと人は集まらないって話か?」

「まぁ、そうッスね」

「……は~、千里の道も一歩から、か、とりあえず冒険者rankを上げて行く事を主軸にするか、皆も良いな?」


 イアンの言葉にジロウ達が各々に返事を返した。俺は有名になるつもりもキャラバンを組むつもりもないから、話だけ聞いて情報だけは手に入れておこう。おっ! 話を聞いてる間に正面の壁に門が見えてきた、そろそろこの旅も終わりだな。

 馬車は激しく揺れながらもどうにか門に辿り着いた。直後に門の脇にある扉から鎧姿の人が数人現れる、衛兵か門番だろう。彼等は俺達の元に駆け寄ってきて尋ねる。


「名とここに来た目的を話せ」


 えらく高圧的な男だな、まあ、悪い事なんてやってないから問題はない、筈だ。


「名前はジンです、ここには冒険者ギルドの依頼で来ました、後ろの皆さんはその護衛です」

「ではギルドカードの提示を」


 言われた通りにカードを渡す、男はカードを確認すると1度イアン達の方を一瞥してからこちらに向き直し、カードを返しながら言った。


「確認した、これから門を開ける迅速に街に入れ、それと騒ぎを起こさないようにな、我々は異人でもノルンでもそこの獣だろうと対応は変えない、よく覚えておけ」


 男はそう言うと、取り巻きを連れ扉に戻っていった。なんと言うか、


「感じ悪~い」

「レキちゃん! シー!」

「だって!」

「彼等にも色々あるんでしょう、ここはNPCも表現豊かですし」

「街に入れるなら別に良いだろう、門も開き出したし早く行こうぜ」

「あ、ああ、そうしよう」


 レキは思った事をハッキリ言うな、俺はそんな事思っても口に出すのに躊躇するのに、ゲームだからか、それともリアルでもそうなのか、……プライベートを詮索するのはマナー違反だな、反省反省。

 それよりも王都だ。どんな街か楽しみだな。

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