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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第2章 王都への旅路
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13『攻略組(自称)との遭遇』

 立ち塞がる5人の男、一番左に縦にも横にもデカイ男、背負ってるのは大斧、防具は金属系で全身をガチガチに固めてる。あれで動けるのか疑問に思うほどだ。おそらく【戦士】だろう。


 その隣にいるのは、痩せすぎな位に体が細く背の高いひょろ長い男、杖を持ちローブを身に付けていることから【魔術師】か【神父】どっちかだろうな。


 中央にいるのは声を上げたチンピラみたいな男、金髪長髪に整いすぎた顔、理想の自分像でも形にした男。片手剣に丸い盾、金属系の軽装、間違いなく【剣士】だな。


 その隣は小柄な男、ニヤニヤ笑って少々不快だ。革系の防具を装備している、武器の姿は見えないが多分【盗賊】かな?


 そして、一番右の男、こちらも革系の防具を身に付けている、武器は弓【狩人】だな。目が細く無表情、一番無難な顔立ち、他の4人に比べるとまだマシかな。


 さて、チンピラの言葉に反応したのは先頭を歩いていたイアンだ。


「お前達を待たせた記憶はないが、一応聞いてやろう。何の用だ? 」

「テメエに用はねぇよイアン。俺達が用があるのは馬車を持ってるプレイヤーだ、さっさと出せよ!! 」

「本人は会いたくないと言ってるが」

「そんな事知るか! テメエはソイツを俺達に差し出せば良いんだよザコが!! 」


 訂正、チンピラじゃなくてクズだな、あれは。あっ、目があった。


「おい! テメエだな、隠れてないで出てこいよ!! オラァ!! 」


 は~、やれやれ、面倒だな。さっさとお帰り願おうか。そう思いイアンの隣に出る、もちろん従魔達と一緒に。


「……何の用だ? 下らない用なら聞かないぞ」

「偉そうだなテメエ、ハッ、まあ良い。俺は『ブレイブ』このゲームで一番の強い攻略組のリーダーをやってる。用ってのは簡単だ、俺達を馬車に乗せろ」

「何故? 一番強い攻略組って言うなら自分達で行ったら良いだろ? 」

「理由なんざテメエに教える意味はねえ、テメエはただ、俺達を乗せて馬車走らせりゃ良いんだよ」


 こいつはあれだな、まともに人の意見を聞く気が無いな。まあ、答えなんて決まってるが、こういう奴は後が面倒なんだよな、どうするかな。


「……悪いが、断らせて貰おう」

「あぁ~? テメエに断る権利なんてあると思ってんのか? テメエは黙って俺達を乗せりゃ良いんだよ」

「こっちにはアンタ達を乗せる理由がない、て言うか一緒に行動もしたくない。断固拒否させて貰おう」

「テメエ、こっちが下手に出てりゃいい気になりやがって」


 いつ下手に出たんだよ? 最初から偉そうにしてたじゃないか。口には出さないよ、こういう輩はそう言う言動に何故か敏感だからな。馬鹿にされたとでも思うのかね?


「俺の頼みが聞けねえってんだな? 」

「あぁ」

「だったら力尽くで従わせてやりゃあ!! 」

「そうそう世の中上手く行く訳ないだろう? なぁ、ランディ」

「全くもってその通りだ」


 後ろからの声にブレイブが振り向く、そこには悪そうに微笑むモヒカンヘッド、もとい、ランディが立っていた。もちろんセネルさんとジオンも一緒だ。そしてアネットの代わりにヨルダさんがランディの隣にいる。アネットはどうしたのかな? そして、結局逃げられ無かったんだな、ランディ。


「何だコイツら!? 」

「今【アイン】にいる冒険者で一番強い冒険者パーティーと……ストーカーかな? 」

「新人、さん、ちょっと、失礼。私、は、ランディ、と、一緒に、居たい、だけ」

「俺はそれを望んでないがな」

「いつか、必ず、私の、虜に、するん、だから」

「……そうですか、頑張って下さい」

「うん」

「ジン、応援するな。これ以上面倒なのは嫌だぞ」

「そんな事言っても」

「テメエら、俺達無視して談笑してんじゃねぇぞ!!」


 ブレイブは腰から剣を抜き、こちらに構える。そして目の前にウィンドウが現れる。内容は、『決闘申請』? そんなん受けるわけないじゃん、無視無視。


「イアン、さっさと行こう」

「良いのか? 」

「問題ない、ごう」

「テメエ! 逃げてんじゃねえ!! 」


 ブレイブがこちらに走り出そうとするが、ランディが肩を掴んで制止させる。


「なに、ジンは忙しいんだ。だから俺達が遊んでやるよ」

「そう言う、こと」

「こっちは僕達が止めておくから、ジン君達は行って、馬車の用意は終わってる筈だから」


 ヨルダさんとセネルさんは、ブレイブとその仲間の間に入りこちらに背を向けて先に行くのを促してくれた。


「ありがとうございます。行こう皆」

「あ、あぁ」

「ジン、すごい人と知り合いなんだね」

「その話はまた今度な」

「その通りです、これから時間はたっぷりあるのですから」


 イアンが戸惑いがちに返事をし、レキはランディ達に興味を示し、ネリネさんがそれを後回しにするよう促す。そのまま全員で受付に行こうとすると、


「ジンさん、こちらに」


 受付の横の奥に向かう扉の前にレインさんが立って呼んでいる。受付には少しだが人も並んでいるのでレインさんの方へ向かう。たどり着くと


「話は伺っています。馬車に乗るのはこちらの皆さんでよろしいんですね? 」

「はい! お願いします」

「分かりました。では皆さん、私に付いてきてください」


 レインさんがギルドの奥に向かう扉を開けて中に入る、俺達も後に続く。後ろからはブレイブの負け惜しみとランディの笑い声、そして野次馬の歓声が響く。なんか見世物になってるみたいだな、次に会ったら改めてお礼を言うとしよう。

 レインさんの後を付いてギルドの中を進む、地下への階段を降り暫くすると、レインさんが扉の前で止まり振り返る。ここが目的地なのか?


「この扉の中には各門に繋がる転移門があります、ジンさんとパーティーあるいはユニオンを組んでる方は、ここから東門へと渡ることが出来ます。馬車はそこに準備されています。馬車の説明はそこの担当者から聞いてください」

「分かりました」

「よい旅路をお祈りしています、それでは失礼します」


 レインさんは来た道を戻って行く。ここまでの案内が彼女の仕事だったようだ。

 さて、扉を開けて中に入る、中は相当に広い部屋だった、ユニオンのフルメンバーが揃っていても余裕を持って納まるだろう。

 床には部屋一杯に魔法陣が描かれている、これが転移の魔法陣なんだな。


「ここから本当に門に行けるのか? 」

「あぁ、大丈夫そうだ」


 魔法陣の中心に着くと、噴水広場の転移門の端末と同じように選択肢が出てきた。


『現在地:【冒険者ギルド】

 移動可能な拠点一覧

 【北門】

 【東門】

 【南門】

 【西門】』


 東門は白で書かれていて、それ以外は赤で書かれている。転移門とは少し仕様が違うみたいだけど使い方は一緒みたいだな。


「私、転移するの初めて! 」

「私も」

「私達はジンさんに連れられてマイルームに行ったので2度目、あっ、3度目ですかね」

「そうね、【アイン】に初めて来た時のあれも転移らしいから」

「そう何ですか? 」

「じゃあ2度目か~、なら少しは安心ね。やっぱり最初は何でも怖いもの」

「そうですよね~、私も~、フラカーに初めて乗った時は怖かったです~」

「それ、いくつの時の話よ」

「えっとですね~」


 女性陣は盛り上がってるみたいだけど、男性陣は静かだな。どうしたんだ?


「イアン、さっきから静かだけどなんかあった? 」

「ん? あぁいや、俺達はアンクがチュートリアルを全部終わらせてたから何度か転移は体験済みでな、あまり話題にならないってだけだ」

「そうなのか」

「はい、王都に着いたらユキムラ君も案内する約束もしました」

「マイルーム、楽しみです」

「そうか、さて。皆そろそろ行くぞ用意は良いか? 」


 それぞれが了承の返事をするのを確認して、東門を選択。すると、魔法陣が輝き目の前が白く染まる。輝きが収まると、今しがた居た部屋より明らかにボロい部屋に俺達は居た。グレイス達は全員俺の傍にいるのを確認して、部屋を見渡すが、扉は正面の1つだけ、とりあえず、


「皆いるな? 」

「こっちのパーティーは問題無しだ」

「私達もオッケーよ!! 」

「よし! あそこの扉から出るぞ」


 扉を開けると、そこは東門の前の広場だった。そしてそこに居たのは、


「ケインさん? 」

「お、おはようございます。ジンさん」


 馬車に繋がったガガとココを撫でるケインさんだった。

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[気になる点] 「そうそう世の中上手く行く訳ないだろう? なぁ、ランディ……・」 「全くもってその通りだ」 ランディにルビが付いてます
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