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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
5/193

02『冒険者ギルド』

 南通りを歩きながら、周りを見渡す。

 この道を歩いている人は、皆装いは違うが、防具や武器を持つ者が多い。この人達皆冒険者なんだろうな。

 そんなことを考えていると、正面にアムトさんが言っていたエンブレムの旗を見つけた。

 旗を掲げた建物を見ると、大きな玄関が建物の中央にあり、その上に同じ紋章がついていた。ここが冒険者ギルドのようだ。


 ギルドは、三階建てのようで、窓が横に3列になっている。

 そしてなぜか、周りの建物はレンガ造りなのに、この建物はどう見ても木造だ。とても目立っていた、こちらとしては分かりやすくて良いが。

 さて、気を取り直して中に入ってみよう。


 玄関を抜けると、そこはホールになっていた。中央奥に受付がある、窓口は5つ、それぞれに人が並んでいる。受付のイメージとしては銀行、いや病院の方が近いか?


 右側は店のようだ。冒険者と思われる人達が、色々買い込んでいるのが見える。

 左側はいわゆる酒場だ。縦長の椅子と机が規則正しく並んでる。よく見ると奥の方にカウンター席もあるようだ。食事をしている冒険者の姿がちらほら見える。さすがに、朝からお酒を飲んでる人はいないらしい。


 さて、早速中央の受付へ行ってみる。見た感じ一番人の少ない右側の行列に並ぶ。それでも10人ほど並んでいるが。

 行列が進むのを待ちながら、周りを見渡す。店側、受付寄りの壁に横長の板がぶら下げてある。酒場側にも同様の物が見える。板には紙が張られている。その一つを読んでみる。


『依頼書

 依頼内容:討伐 適性Rank:E

 討伐対象:パニックバタフライ 討伐数:5匹

 南の森にパニックバタフライの姿が確認された。

 早急に対処をお願いします。

 報酬:2000zl LP回復ポーション2個』


 これが依頼書か。回復ポーションの値段を見てないから、良いのか悪いのか分からんが。というか、このゲーム普通に日本語で書かれてるな。まぁ、ノルンを育てたのは運営なんだし、当然といえば当然か。


 そういえば、俺の所持金を確認してないな。それにケイトさんから貰ったチュートリアル報酬も確認してない。まだ受付までかかりそうだし、今のうちに確認するか。こういうときはメニューだな。


 メニューを開く。するとチュートリアルの時とは違い、目の前にいくつかの情報が表れた。確認しよう。

 まず左上、自分の名前とゲージが3本、上からLP、MP、SPとゲージ上に書いてある。数値は表示されないようだ。


 続いて左下、そこにはウルフと表示されている。その下にもゲージが3本、内容は俺と同じだ。あっ、ウルフに名前を付けるのを忘れていたな。とりあえず確認が先だ。


 右上は現在のゲーム内時間が表示されているようだ。

 現在時刻はAM11:13、ここに来るまでに1時間もかかっていたようだ。時刻の下にはマップと思われる円がある。どうやら現在地を示しているようだ。

 そして右下、そこには所持金が表示されている。

 金額は5000zl。単位はゼルと読むようだ。依頼書の報酬よりは持っているみたいだ。

 その上には四角の枠、これはログだな。

 ログには『ジンはメニューを開いている』『ジンは冒険者ギルドに入った』『ジンはアムトと別れた』下から順に表示されている。ログは動かせるようで、その中にチュートリアル報酬の事も載っていた。内容は……


『称号:世話好き女神の加護を得た』

『ジンはチュートリアル報酬を手に入れた

 内容:LP回復ポーション5個

  MP回復ポーション5個

  SP回復ポーション5個

  マイルーム(小)使用権

  アイテムボックス(50)使用権

  5000zl』

『マイルーム(小)使用権が適用されました

 町の転送ゲートからマイルームに行けるようになりました』

『アイテムボックス(50)使用権が適用されました

 マイルームにアイテムボックスが設置されました』

『チュートリアル報酬がアイテムボックスに収納されました』


 色々突っ込みたい事があるが、マイルームとアイテムボックスは今確認出来ないから後回し、報酬はアイテムボックスの中だからこれも後回し。ということで、称号の確認だな。こういうときはステータスだ。

 メニューから、ステータスを選択。ステータスの最後に称号の欄がある。内容は、


 称号

【世話好き女神の加護】

『親愛の女神ケイトと友好を深めた証

 回復魔法、回復アイテムを使用した、された時、

 回復量を一律+10%up』


 つまり、自分とパーティーを生存させやすくなるということか。

 ていうかケイトさん、ゲーム内だと女神様なのか。

 それに友好を深めたって、ただチュートリアルクリアしただけの気がするけど。まぁ、貰える物は貰っとこう。便利だしな。


 次はウルフの名前を、と思ってたら自分の番が来た。

 ごめんな、受付が終わったらきちんと考えるから。

 受付の前に立つ。対応してくれたのは眼鏡が良く似合う美人のお姉さんだ。見た感じスタイルも良さそうだ。この行列の男性陣はこの人が目当てなのかな?


「ようこそ、冒険者ギルドアイン支部へ。初めての方ですね。目的は冒険者ギルドへの登録ですか?それとも依頼ですか?」

「登録の方でお願いします」

「承りました」


 受付のお姉さんはそう言うと、一枚の紙と白い金属プレートをこちらに差し出した。書類の大きさは本の栞程、プレートはそれより少し短い。


「この書類に名前と種族、ノルンか異人かをお書き下さい。終わりましたら、書類をプレートの上に置いてください。すると書類がプレートに吸収されます。最後にプレートに指を押し当てれば、あなたの冒険者プレートが完成します。この先の説明は完成してからになります」

「分かりました」


 書類を見ると説明された項目しかなかったので、迷わず記入。書き終わった書類をプレートの上に置く。

 すると、プレートが青く光り、書類がみるみるうちにプレートとひとつになっていく。残ったのは白から青に変わったプレートだった。俺はそこに、指を押し当てる。今度は特に変化はない。

 それを、受付のお姉さんに渡す。


「確かに確認しました」


 お姉さんは、受け取ったプレートを、後ろで控えていたローブを被った人に渡し、こちらに振り返り、


「それでは登録作業が完了するまで、プレートの説明を致します。

 プレートは貴方の身分を証明する道具であり、依頼がきちんと達成したかを確認する物でもあります。先程ご覧になったようにプレートには書類を吸収する機能があります。先程は貴方の情報を記載した書類を吸収しました。依頼を受けた場合は、依頼書がプレートに吸収され、討伐依頼の場合は討伐した数を、収集依頼の場合は、所持している依頼物の数がプレートに表示されます。

 貴方は異人のようですので、緊急措置としては、LPが無くなるダメージを受けた時に、1だけ残しプレートに登録された町の転送ゲートに送られます。これがノルンの場合、登録された町の神殿に送られ、蘇生魔法と回復魔法を使用し、治療されます。ちなみにここで作成されたプレートは【アイン】が登録されています。

 どちらの場合も、プレートが破損されます。但し、破損されるのは、緊急措置の部分だけですので、いままで通り使用頂けます。プレートが破損した状態でLPが0になった時、異人の場合はデスペナルティが発生し、ノルンの場合は死亡します。プレートの修復には100000zl必要になります。

 これは神殿での治療費も含まれるので、この値段となっております。その代わり、性能は保証しますのでご安心下さい。

 あと、修復する場合は必ず、プレートの所持者本人が冒険者ギルドに来るようにして下さい。過去にプレートの修復を人に頼んだ結果、非正規の手順で不完全な修復をされ、緊急措置が発動せず、亡くなったノルンが何人もいた事から、これは重要事項としてお伝えしています。以上でプレートの説明を終了します」


 えらく長かったがつまり、色々便利って事だな。デスペナが発生しないのは良いことだ。だからといって無理するつもりはないが。それにしても


「お姉さん、真面目過ぎって言われない?」

「これが、私の仕事ですから」


 お姉さんは淡々と答えた。そして、いつの間にかお姉さんの所に戻って来たプレートがこちらに差し出された。


「登録名は……ジンさんですね。これで貴方の冒険者登録作業が終了しました。貴方の冒険者rankはFとなります。

 rankはFから始まりE、D、C、B、A、S、SS、SSS、

 そして最高rankのLEGENDとなります。rankは依頼を規定数クリアするか、活動内容次第で上がります。最後に、依頼を受ける場合は依頼書を持って、改めて受付に来てください。

 受けることの出来る依頼のrankは、2つ上のDまでです。頑張ってください」

「ありがとうございます」


 俺は受付を離れ、酒場の方に向かった。


 酒場に向かった俺は、空いている椅子に座り、注文を取りに来た女の子に水を頼んだ。水だけで100zl、日本と違い、水は潤沢ではないようだ。


 俺が、ウルフを膝の上で撫でながら、水を待っていると、頭の上から話しかけられた。


「よぉ!兄ちゃん見てたぜ。初っ端からレインの洗礼を受けたようだな」


 振り返ると浅黒い肌をした腹筋が目にはいる。視線を上に向けると、右から左に一本の傷後、つり目の目、何より目を引くのは髪型、モヒカンだ。金髪のモヒカン。


 身体全体を見ると、ありとあらゆる筋肉が盛り上がったマッチョボディ。防具も必要最低限の物しか身に付けてないように見える。簡単に言うとグラディエーターか?


「レイン? 洗礼? ていうかおじさん誰?」

「俺か? 俺はランディ、ノルンの冒険者だ。ついでだ、兄ちゃんの名前も教えろや」


 名乗って貰ったんだから、こちらも名乗らないとな。礼儀がなってないとか、見た目危なそうな人に言われたくないしな。


「俺は、ジン、異人の冒険者だ」

「おぅ、よろしくなジン。んでだ、レインってのは、さっきジンを担当した姉ちゃんの名前だ。説明に夢中になると、自己紹介すら忘れちまう説明病の持ち主だ。洗礼は、その説明を受けて長時間拘束された哀れな羊に送られる言葉だ」

「なるほど、妙に熱の入った説明だと思ったら、そう言うことか」

「しかし、ジンは他の異人より遅かったな。他の異人はプレートを受け取ったら、依頼も受けずに、町の外に向かうのが大概だったぞ? 一部は、依頼を受けてから行ったが」

「なにぶんここに来るまでに、時間がかかってね、気がついたらこんな時間になってたんだよ」


 注文を取っていた、女の子に水を貰い、隣に座ったランディに、これまでの経緯を話した。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そりゃまた、面倒な女神と受付に当たったな、どちらも説明好きとは恐れ入ったぜ」

「まったくだ。ここに来るまでに4時間もかかった上に、レイン?

さんだったか、あの人の話で、精神的にも疲れた。まぁ4時間の内2時間は俺の修行だったけどな」


 3杯目となる水を口にしながら、愚痴を聞いてもらってる。酒は入っていない筈だが、酒場の雰囲気にでも飲まれたんだろうか。


「いやいや、この世界で生きるんだ。強さはいくらあっても足りん。それに異人は俺たちノルンよりも、ステータスの成長が早いらしいからな。羨ましいかぎりだ」

「そうなのか、また1つ良いことを知ったな。そういや俺、金は持ってるんだが、使い方が分からないんだ。教えてもらえないか」

「何だそんな事か、だったら気にしなくても大丈夫だぞ」

「何故だ? 」

「お前の所持金を確認してみろよ」


 俺はランディに言われたように、所持金を確認してみた。

 所持金が4700zlに変わっていた。


「減ってるな、しっかり3杯分」

「これもプレートの力の1つだ。店にはプレートと連動する結界が張ってあってな、店で商品を買うと、その分が勝手に引かれるんだ。食い逃げや泥棒から店を守るためだな。だから商品を買おうとしても、所持金が足りない場合、注文はできないし、物を買うことも、店から外に出すこともできなくなるわけだ。ちなみにプレートを持ってないと、店に入ることも出来ないぞ」

「露店もそうなのか? 」

「いや、露店は違う。露店の場合は、店先に置いてあるのは、幻影だ。本物は露店の持ち主が持ってんのさ。んで、買う側がプレートに使用する所持金を入力して相手に提示、相手が了承して商品を買う側に渡すと、その瞬間、所持金が減る仕組みになってんだよ」

「なるほどな、ありがとうランディ。色々と勉強になったよ」

「気にするな、俺としても異人が俺たちと何ら変わらんとわかったんだ。こちらとしても助かってるよ」

「そうか」

「ところで、ジンはこれからどうすんだ? 他の異人みたいに町の外に行くのか? 」

「いや、一度あっちに帰ろうと思ってるよ。俺の身体が心配だ」


 さすがに4時間以上も身体がほったらかしなのは恐い。

 なんたってリアルの俺はコネクトを被って寝てる状態だ。

 そろそろトイレにも行っておきたい。

 俺がそう答えると、ランディが、


「あぁ、確か異人は魂だけでこっちに来て、肉体をこっちで作り直すんだったな」

「へぇ~、そういう事になってるんだな」

「ん? 違うのか? 」

「俺たちも、どういう方法でこの世界に来てるのか、よく分からないんだよ。俺にわかるのは、この世界でも俺の意思で俺の身体を動かせるって事だけだからな。それさえわかってれば問題ない」

「そりゃそうだ」

 俺は、ウルフを抱えて席を立つ。

「さて、そろそろ行くよ」

「ん? そうか、じゃあまたな」

「おぅ、またな」


 俺は、ギルドの玄関に向かって歩き出そうとして、あることを思い出して、ランディに尋ねた。


「すまんランディ、あと1つだけ聞いても良いか? 」

「別に構わねぇぞ」

「ありがとう。それで、転送ゲートってどこにあるんだ? 」

「ゲートか? ゲートなら、中央広場の北側にあるぞ。噴水の近くにアーチと端末がある。端末に手をかざせば、自分が移動可能な町や拠点の名前が出る。それで、行きたい場所を選択してゲートをくぐれば、目的地に到着だ」

「そうかありがとう。じゃあ今度こそ、またな」

「おぅ! またな! 」


 ランディの返事を背中に聞きながら、冒険者ギルドから出る。

 とりあえず、マイルームを確認してから、ログアウトだ。あとウルフの名前も決めなきゃな。

 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 ステータス

 名前『ジン』 冒険者rank:F

 種族【常人種】

 職業【捕縛師Lv1】【調教師Lv1】

 TLv2

 LP :120/120

 MP :110/110

 SP :130/130

 攻撃:8(18)   魔攻:7

 防御:8(13)   魔防:7

 持久:13(18)  精神:8

 器用:13(24) 素早さ:11(16)

 運:10

 土:5 水:5 火:5

 風:5 光:5 闇:5

 JP:0

 ジョブスキル

 【鞭術Lv1】【調教術Lv1】

 スキル

 【気配察知Lv1】【魔力操作Lv1】【気力操作Lv1】

 称号

 【世話好き女神の加護】

()内は装備したときの合計値

________________________

今日はここまで!

明日は最低1話は更新します

それでは!

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