11『集合』
時刻はAM7:12、ギルド前に到着。
朝早い事あって人が少ない、おかげでゴウカ達が目立たなくて助かってる。まあ、それでも二体を見た人達からは注目されてしまっているが、少人数だし気にしない、気にしない。
ギルドの扉を開けて中に入ると、中には沢山の冒険者が集まっていた。それだけでも驚いたが、全員が揃ってこちらに視線を移す様は実に恐ろしかった。一体何事だ?
こちらが困惑していると、突然左腕を捕まれた。誰!? っと思って振り返ると、そこに居たのは、ここに来ないと思っていたレキだった。
「ジン、こっち! 急いで」
彼女に引っ張られる様に酒場の一番奥の席に移動する、そこにはレキのパーティーメンバーが揃っていた。知らない顔もいるな。俺が来たのを確認するとイアンが、
「来たな、まあ座ってくれ」
「あ、あぁ」
イアンに勧められるまま一番近い席に座る。レキが俺から離れてキキと合流するのと同時にイアンが口を開いた。
「久し振りなのにすまんな、挨拶も無しに突然呼び出して」
「いや、その辺は構わんないんだが、これは何が起こってるんだ? 」
周りを見渡すと皆が皆がこちらを見ている。威圧感が凄い、物凄く居心地が悪い。本当になんなんだ?
「どうやら、ジンとレキ達の会話を聞いてた奴が掲示板に情報を上げたらしくてな、数時間でこの有り様だ」
「はぁっ!? つまりここにいるの、皆俺に便乗しようって魂胆か? 」
「まあ、そういう事だな」
もう一度周りを見渡す、ここにいる全員がそんな事考えてここに居るのか? それにしたって、
「多すぎじゃね? 」
「南が封鎖されたのが思った以上に堪えてる、東は既にパンク状態みたいでなかなか獲物に出会えない、街道はプレイヤーで溢れかえってるよ。ノルンの冒険者なんてさっさと転移門から別の町に移動してるみたいだ。だから、早い奴は昼頃には王都に向かう準備を始めてた、俺達もその口だ。そんな矢先に馬車で王都に向かうプレイヤーがいるって情報が出回って、この有り様だ」
「あっはっはっ、ごめんね、ちょっと大声で話過ぎちゃったみたい。あっ、言いふらしたりはしてないからね、ホントだよ!? 」
「いや、気にしなくていい。思い返してみれば、ギルドに向かう途中も馬車の事を話ながら来たし、その辺りから漏れたかもしれない」
「どちらにしろ既に情報は広がっちまった。問題はこれからどうするかだ」
「どうするも何も、馬車は既にほぼ満員だぞ? ここに居るって事は来るんだろ、イアン達も」
「まあ、ジンの情報が漏れて、集まったメンバーも離れちまったからな。乗せて貰えた方が俺達としても助かるんだが、図々しい気がしちまうんだよな~」
「俺としては来てくれる方が助かるぞ、満員って理由で断れるしな。ここに居る8人がそうなんだろ? 」
俺のパーティーは1人と4体、ネリネさん達『春夏秋冬』4人とプラス1人、そしてここに居る8人、合計14人と4体。そこに荷物を含めれば十分満員と言いきれる、筈だ、そもそも突然知らない人に乗せてくれって言われて乗せるか? って話だしな。ネリネさんは、まあ、きちんと説明してくれたし、メンバーも何かやらかすような人達には見えなかったし、ストッパーもいるみたいだし大丈夫だろう。
「そう言って貰えると助かる、じゃあ改めて新メンバーを紹介しよう。まずは」
「だったら俺から行きます、俺は『ガブ』、【狩人】をやってます。よろしくです」
ガブは優しい顔つきをした青年って感じだ。髪型はショート、少しボサってしてるけどそれがいい感じにマッチしている、色は青だ。目は黒、背は俺とそう変わらないかな。【狩人】だけあって軽装だ、素材は革かな。
「次は僕が、『アンク』です、ジョブは【剣士】です。よろしくお願いします」
アンク君は少々目付きの悪い少年かな、目尻がつり上がっている。目の色は薄い紫、髪はオールバックの赤。そんな見た目なのに口調が礼儀正しいものだから、なんだか違和感がある。こちらも装備は軽装、こちらは金属っぽいな。
「ラストは私ね、『シャロン』よ、レキと同じ【魔女】をしてるわ、よろしく」
シャロンさんは長身の女性だ。髪はポニーテール、色は黄緑。目の色も同じ。ただ装備がおかしい、何故【魔女】なのに金属プレートの鎧を身に付けているのか、無理矢理着ているのか? 少々体が大きく見える。まあ、個人の趣味に何か言うつもりはないから口にはしないけど。さん呼びしたら呼び捨てで良いと言われた、ゲームの中まで堅苦しいのは嫌なんだそうだ。
さて、こちらも簡単な自己紹介を終えたところで、再度ギルドの扉が開いた。入ってきたのはユキムラ君だ。迎えに行かないと、そう思い立ち上がろうとしたところで、
「どうした? 」
「同乗者だよ、迎えに行かないと」
「あぁ、だったらこっちが呼びに行こうか? 」
「知らない人に突然呼ばれたら困惑するだろ? 俺が行くよ」
「それもそうか」
「それなら僕も行きます、見た感じ年も近そうだし仲良くなりたいので」
アンク君がそう言い立ち上がると、イアンの隣で沈黙を保っていたジロウが一言告げた。
「・・・お前は行くな、初見の奴にお前の見た目はキツイ」
「ちょっ!? それはひどくないですか!? 」
「まあ、アン君は顔つきがちょっ~~~とキツイからね」
「レキさんまでそんな」
どうやらアンク君はあのパーティーで弟的ポジションに落ち着いているようだ、ユキムラ君とも仲良く出来るだろう。さて、扉前で不安そうにしているユキムラ君に助け船を出しに行くか。
「俺1人で行くよ、紹介はまたあとでな」
「いやいや、1人で行っちゃダメっすよ、1人になったら群がって来るッスよ、あの面子」
「・・・それもそうか」
話を盗み聞いてた者の一部は諦めた様で数は減ってはいる。それでもまだ結構な人数が残っている、あれに群がられたら大変なのも間違いない。ならば、
「誰か来てくれるか? 」
「だったら俺が行こう」
「私も行くよ~」
「なら、僕も」
「はい、あんたはおとなしくしてなさい」
「何でですか!? 」
「理由はさっき言った通りだ、行くぞ」
シャロンさんがアンク君の肩を押さえて席に固定した。俺は立候補したジロウ、レキと一緒にユキムラ君の元へ向かう。途中、いくつかのパーティーが話し掛けようとしてきたが、ジロウが間に立って追い払った。有難い話だ。
「おはよう、ユキムラ君」
「あっ、おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくても良いぞ。俺は気にしないから」
「いえ、姉さんにばれると何をされるか分かりませんので」
「そ、そうか、大変だな」
「ええ、本当にあの人は手加減を知らないですから」
「誰が何を知らないのか、もう一度言ってもらえませんか? ユキムラ」
「ひっ!? 」
いつの間にかユキムラ君の後ろにネリネさんが現れた。顔は笑ってるけど目は笑ってない、これは、聞かれてたな。ユキムラ君はゆっくりと振り返り、
「ち、違うんだ姉さん!? これ、わぁぁ!? 」
「貴方は昨日言ったことをまた忘れたんですか? やはり教育が必要ですね」
「ご、ごめ、ごめんなさいぃぃ、ねぇリネさん~、こ、今度こそ、今度こそはぁぁ」
「駄目です、言葉で分からないならこうするしかないでしょう」
「そ、そんな~」
「ネリネさんその辺で、ほら、皆が引いてるから」
ネリネさんのアイアンクローを見ていた周りの面子が、ひそひそと話しているのを見たネリネさんは、アイアンクローを決めながら、強めの口調で周りに言いはなった。
「何か? 」
「「「「「なんでもありません」」」」」
その一言に一部の面々が謝罪を口にした。その間もユキムラ君は苦しそうだ、どうやらやめる気はないらしい。とりあえず止めよう、話が進まない。とりあえず話題を逸らしてみよう。え~と、
「ネリネさんは、いつからここに? 」
「7:00には到着しました」
「俺がここに来たのは? 」
「知っていました」
駄目だ、全く手を緩める気がしない。ほ、他には、
「え~と」
「何故話しかけなかったかなら、ジンさんがそちらの女性と合流したからです。来るか来ないかの確認をしたのしょう? 結果はどうでしたか? 」
「・・・一緒に来るそうです」
「そうですか、では顔合わせをしましょうか。皆を呼んできますね」
「お願いします。それでその、出来ればその前に」
「分かってます」
そして、ユキムラ君は解放された。そう言えばこの場合LPはどうなるのだろうか? 後で聞いてみよう。
「続きはまた後でしますからね」
「え~~~!? まだやるの!? 」
「当然です、ではジンさん、少々待っててください」
「あっ、はい」
ネリネさんは他のメンバーを呼びに行った。ユキムラ君は背負った袋から液体の入った瓶を取り出してそれを飲んだ。おそらくポーションだろう、減るんだなLP。
「ふ~、おのれあの暴力女め」
「それ言って大丈夫か? また痛い目をみるぞ」
「大丈夫です、今度は痛覚を切って逃げきります」
「ばれたらリアルが怖いぞ」
「あれにバレるヘマはしません」
「そ、そうか、まぁ、頑張れよ」
「はい!! 」
見てる感じバレるだろうな。まぁ、これは彼らの問題だし余計な口を挟まない様にしよう。こちらに矛先が向いたら大変だしな。そして、
「お待たせしました」
「こんにちは~」
「【CWO】じゃおはようだけどね」
「そんな事はどうでも良いのよ! さあ! 案内しなさい!! 」
体は小さいのに態度がデカイ、ビウムがリーダーの春夏秋冬が合流した、これで全員集合だな。
さて、顔合わせと行くか。
あと数話で出発出来る予定です 多分




