01『ゲームスタート』
今日も更新します
今回は2話!
まだ説明会は続きます。
行ってみよう!
今俺は、中央広場と呼ばれた場所に立っている。
右隣にはウルフが……
「あれっ!?ウルフが小さくなってる!?」
俺の右隣には、抱えられる位に小さい犬の姿があった。
俺の周りの他に、ウルフと思われる姿はない。
という事は、これがウルフなのか?
疑問に思いながらも、片膝をつきながら、話しかけてかけてみる
「お前、ウルフなのか?」
ウルフと思われる子犬は、俺の言葉に対し、
「わん!」
と一声鳴き、尻尾を振りながら、俺の片膝に足を置いて見上げてくる。多分ウルフなのだろう。
俺はウルフ? を抱き上げて、周りを見渡す。
俺の後ろには大きな噴水がある。噴水を中心にした円上の広場のようだ。四方に繋がる道も見える、道は均一とは言いがたいが石畳として作られているようだ。大きな道には歩道も見える。
家の作りはレンガ作りのようだ。四方それぞれの道に沿って、似たような作りの家が並んでる。
俺が周りを見渡していると、恰幅の良い男性が、笑顔で話しかけてきた。
「おっ?新しく来た異人さんかい?」
「そうですけど、貴方は?」
「僕かい?僕はこの町で商人をしている、アムトって者だ」
「アムトさんですか、なぜ俺が異人だと思ったんですか?」
「そりゃ簡単さ。今から一月位前に、神殿から発表があったのさ。神から御言葉を賜ったってね。内容は一月後、つまり今日、【アイン】の町に異人が降臨する、準備をしておくようにとね。あぁ、君が異人だと判った理由は、突然広場に姿を現したからだよ」
なるほど、プレイヤーが来るとわかってる日に、突然人が現れたら、誰だってわかるか。
「そういう事ですか。説明ありがとうございます。ところで、異人が来るから準備するとは、いったいなんの準備を?」
「あ~それはね、今から百年位前にも異人が来たらしいんだけど、結構トラブルも多かったらしくてね。僕の爺さんが言うには、店から商品買うのは良いが、売り切れになっても、そんなわけないだろって言って、怒鳴り散らす人や、猟師の罠にかかった獲物を勝手に持っていったりしたらしい。特に酷いのだと、女性を襲った異人もいたらしくてね、町なら巡回の人を増やし、商人なら多めに商品を買い込んで備えて来たんだよ。実際、僕の店も品切になっちゃってね、これから買い付けに行くんだよ」
何やってんだよβテスター!? ゲーム内とはいえ、犯罪まで起こすとは、出来ればその人とは会いたくないな。余計な事に巻き込まれそうだ。
「そ、そうだったんですね、すいません。同郷の者達が迷惑をかけてしまったみたいで」
「君が謝る事ではないよ、百年前も、君のような人が居たらしくてね。そういう話を聞くと、直ぐ誰か特定して、牢に縛り付けたそうだから、これは終わった話なんだよ。まぁ、それに今回は準備をしておくようにいわれたから、少しはマシだろうしね」
そういうとアムトさんは笑った。俺を元気づける為だろう。
「なんだか暗い話になっちゃったね。そうだ!お詫びといっちゃなんだけど、君の質問に答えようじゃないか。何でも聞くと良いよ」
「良いんですか?」
アムトさんは、笑顔で頷いた。
「えと、それじゃ、まず俺の従魔なんですけど、小さくなったみたいなんですが、理由に心当たりはありませんか?」
俺は胸元に抱えている、ウルフを見せる。
「それは結界の影響だね」
「結界?」
「そう、結界。この町全体を覆う結界があってね、結界がある限り魔物、異人さんにはモンスターと言った方が分かりやすいかな。とにかく、奴等が町に入れないように守ってるんだよ」
「その場合、従魔も入れないのでは?」
「そうだね、でも何事も例外はあるんだ。従魔と認識された魔物は、戦う力を失う代わりに、町に入れるようになるんだ。大体は、体がそのまま小さくなるか、その魔物の幼い姿に変わる。その子は後者だね、町から出れば元の姿に戻る筈だよ」
「そうなんですね、良かった。子犬から育て直すのかと思いました」
「初めてそれを見た人は、君のような反応をするからね。僕も護衛依頼をしたとき、護衛の人の肩に止まっていた小さな鳥が、町の門を抜けた瞬間にホークになった時は驚いたね」
「ホークですか」
ホークか、飛べる獣魔が居たらモンスターを発見しやすくなるな。是非とも仲間にしたい。
「町の近くでホークがいる場所は、分かりますか?」
「ホークなら南門から出れば、結構見かけるよ」
「そうですか、ありがとうございます」
「でも、今はどうかな? 異人さん達が沢山出ていったから、暫くは見つからないと思うよ」
「あ~そうですか。ん~、それじゃ今は諦めます。獲物を取り合って、揉め事は起こしたくないですし」
「それが良いだろうね、賢明な判断だと思うよ。それじゃ、他に聞きたいことはあるかい?」
「それなら、ギルドの場所を教えて下さい」
「ふむ、ギルドか。ギルドと言ってもいくつかあるからね。といっても、君は獣魔を連れてるから、冒険者ギルドかな?」
アムトの問いに、俺は頷き返した
「なら、噴水に向かって右の道【南通り】を歩いて行くといい。歩いて行けば、盾の前に二本の剣でバツ印をつくった紋章の入った旗を掲げた建物がある。それが冒険者ギルドだ。ちなみに、そのまま真っ直ぐ歩くと南門だよ」
「分かりました。さっそく行ってみます」
「役に立ったようで良かったよ。僕も買い出しに行かないとね、あっそうだ!僕の店は【西通り】の商店街にあるんだ。店の名前は【雑多屋】名前の通り色々あるから、気が向いたら寄ってくれ、それなりにサービスするよ。それじゃあね」
そう言うと、アムトは振り返って歩いていった。
おっと、俺も行かないとな。目指すは南通りの冒険者ギルドだ。