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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
28/193

25『ゴブリン砦~救出編~2』

「なぁ、正々堂々と戦うんじゃなかったのか? 」


 二人と三体で警備のゴブリン十二体を手早く倒したのだが、シノブの戦い方が非常に気になった。

 シノブはソルジャーに近付き、剣を空振りさせては姿を消し、直後に背後からシノブの従魔、トビカゲが鉤爪で背中を切り裂き、反撃しようとソルジャーが振り向きながら剣を振ると、トビカゲは空へ逃げて躱し、振り抜いて隙を見せた正面にシノブが現れ、両手に持った短刀で首を絶つ、という戦いを繰り返していた。

 俺の知ってる正々堂々とはえらくかけ離れた戦い方だった。

 ちなみに、トビカゲとは、


【トビカゲ】主人【シノブ】

『従魔、四枚の二対の翼を持った大きな烏

 翼が増えた事で隠密性は低くなったが空中での旋回スピードが増した』


 と言う烏系の魔物だ。種族名は【クロスレイヴン】だそうだ。


「止めは正面から刺したでござるよ」

「正々堂々ってそういう事じゃなかった気がするんだが」

「細かい事は気にしない方が良いでござるよ。それが長生きのコツでござる」

「俺はそんなに年食ってねぇよ」

「とにかくここに居たゴブリンは排除したでござる。魔石も少量とはいえ確保出来たので自分は満足でござる」

「なんでこの短時間で魔石まで確保できるんだよ」

「忍でござるからな」


 シノブは胸を張りながらそう答えた、この感じだと全部"忍だから"で通しそうだなコイツは。まぁ、閑話休題それはそれとして

 今、大事なのは目の前の建物だ。見た目は木造の倉庫で、二階は無いようだが砦の出入り口に近い所に煙突がある、どうやら物見櫓になっているようで、天辺の屋根のした辺りに柵が見える。砦が作られた時に作られたものだろうか? すぐ近くに馬小屋のようなものもある、しかし、中は空っぽだ。ゴブリンの姿も見えない。

 周囲にゴブリンがいない事を確認し、大きな両開きの扉の前に立つ。


「とりあえず扉を開けるぞ、こっちの従魔は警戒はしてないから、多分大丈夫だと思うが」

「油断はするな、でござるな」

「そういう事だ、じゃあ、いくぞ」


 両開きの扉をゆっくり引き、中を確認していく。

 床は木ではなく土が敷き詰められていて雑草が生えている。その生えかたから、荷車をそのまま中に入れていた様だ。


「やっぱり元は何かの倉庫か」

「そのようでござっ!? ジン殿、奥の方に何かいるでござる」

「!? どっちだ」

「あっちでござる」


 シノブが左奥の方を指差す。そこにいたのは、


【フォレストライドラプター】対応rank:D

『森に住むライドラプター

 自らが認めた者を乗せ俊敏に駆け回る

 住んでいる場所で名前と見た目が変わるが

 基本は変わらない』


「おい、ライドラプターって出たが」

「拙者も同様でござる、しかし、何故この森に? 」

「どういう意味だ? ここは森の中なんだから、居てもおかしくないだろ」

「ジン殿、よく聞いてほしいでござる。【アイン】は駆け出し冒険者の街と呼ばれているでござる。その理由は、周辺の魔物が一定で、挑む場所を段階的に上げる事が出来るからでござる。ライドラプターは非常に俊敏で攻撃的、駆け出し冒険者では返り討ちに会うのが道理。駆け出し向けの南の森にこんなのがいたら、冒険者の数が減り続けるでござるよ」

「マジか? 」

「マジでござる」


 とんでもないのが居やがった、嫌な感じの正体はコイツか。

 光が乏しいから正確な数は分からないが、扉から左の方に集まっているようだ。しかし、よく見ると、


「眠っているようでござるな」

「いや、眠っているわけじゃない」

「? では、何故こちらに襲い掛かって来ないでござるか」

「頭に付いてる装備、あれはサイズは違うがホランに付けられた物と同じだと思う」

「だとすればコイツらはゴブリン達が引き連れてきた、と」

「そういう事だな」

「しかし、ゴブリンがその様な事を? 」

「セネルさんの予想通り、誰かが手を加えてるって事だろうな」

「それで、どうするでござるか? 」

「どうするって」

「ここで全て始末するのか、と言う事でござる。先程の話が真であるなら簡単に仕留められるでござる。全ての個体の装備を外しても味方になるとは限らぬ以上、拙者は殲滅を推すでござる」


 殲滅、か。でもな~、コイツらだって好きでここに居るわけじゃないだろうし、全滅させるのはな~。

 かと言って解放するのも、リスクが高い。どうしたものか。


 ん? いや、待てよ。


「シノブ、解放するぞ」

「理由を話して下され、納得したら同意するでござる」

「コイツらをゴブリンにぶつける」

「上手く行くでござるか? 」

「そこは運だな。だけどコイツらだって、ゴブリンにやられっぱなしは癪だろうよ。ホランも操ってたのを思いっきりぶっ飛ばしてたし」

「・・・分かったでござる。ただし、いざとなったら、ジン殿を囮にしてでも拙者は逃げるでござるよ」

「あぁ、それで良い。異人(俺達)は死なないからな。まだ、脱出機能も生きてるし、なんとかなるさ。その代わり俺が使ったら代わりにエマの護衛を頼めるか? 未だに必要とは思えないが」

「善処致そう」

「よし! 行くぞ! 手早くな」

「誰に言ってるでござるか! 拙者は忍でござるよ! 」


 グレイス達に外の警戒を頼んだ後、倉庫から少しでも逃げやすくするために、奥の方から外そうと手を伸ばしそうしたときだった。


「あれっ? コイツだけ首の色が微妙に違う、別個体か? 」

「ジン殿、そんなこと気にしてないで早くはず」

「ウォン!! ウォン!!」


 外の警戒をさせていたグレイスが吠えた。つまりそれは、


「!? ゴブリンが来たか!」

「ジン殿、急いで!」

「わかってる!」


 色違いのラプターの後頭部と顎に通されたチェーンの輪を外してやりポーチの中へ。次はその隣の普通の色のラプターのを外して、と同じ事を繰り返す。ホランの時よりも効果が強いのか、外してもすぐ正気には戻らない様だ。ポーチの中に入れている理由は、少しでもサンプルは多い方が良いだろう、と言う単純な理由だ。

 集めた装備が二桁を越えた辺りで、ついに


「ギャギャ!」

「キューー!!」

「ウォン!!」

「カァーー!!」


 従魔達とゴブリンの戦闘が始まった。それぞれが雄叫びを上げ、必死に戦っているようだ。


「くそっ! 始まっちまった! こっちはまだ半分もいってないのに」

「あぁー! もう! ちまちまめんどくさい! ジン殿! これ破壊しても良いですか!?」

「えっ! そ、そりゃ構わないけど」

「真でござるな。それでは、秘技! 【疾風ニ閃(しっぷうにせん)】!! 」


 そう叫ぶとシノブは、腰の後ろに装備した短刀を抜き、構えたと思ったら、その姿が掻き消えた。


「はっ? 」


 シノブの姿を慌てて探すと、「チンッ」と音が扉の方から聞こえ振り返る。

 と、ほぼ同時に、ラプター達の頭部から真っ二つになった装備が地面に落ち、金属音を響かせる。

 俺はラプター達の間をすり抜け、シノブに近寄りながら、


「今のは(アーツ)か? 俺のと、えらく違うな」

「フッフッフッ、今のは拙者の必殺技(スペシャルアーツ)でござる」

「て、事は(アーツ)の上か。あれ? でもさっき秘技って」

「細かい事は気にしない。さあ脱出でござ…」


 シノブが扉を少し開けて固まった、そして、


「どうした? 」

「・・・もう手遅れにござる」

「何? 」


 シノブが開けた隙間から外を見ると、扉を囲むようにゴブリンが居た。それも大量に。

 グレイス達は扉の前に陣取って、中に入れないよう入れないようしていた。

 グレイス達のLPバーは半分程度だからギリギリいける、と思っていたが、攻めあぐねているだけだったようだ。


「シノブだけなら、さっきの必殺技(スペシャルアーツ)でなんとかなるんじゃないか? 」

「・・・あれは一回使うとしばらく使えないのでござる」

「・・・なんでさっき使ったんだよ」

「拙者面倒な事は嫌いなのでござる。特に努力とか」

「忍ってのは努力の末になるもんじゃないのか? 」

「そ、そんなことより、これからどうするでござる? 」


 シノブは目を逸らし、明後日の方向を見ながら答える。

 どうやら本人にとって都合の悪い話の様だ。しかし、実際問題これからどうするかは死活問題だ。早急に決めなければならない。だが、


「どうするもなにも、突撃か籠城のどっちかしかないだろう」

「だったら籠城を推すでござる」

「理由は? 」

「この際、(みな)の所に行かぬよう囮になると言うのも一つの手でござる。従魔達と共にここに籠り拙者らが居る、と思わせておいて緊急脱出で街に帰り、再度、仲間を集め救出に戻る。囮と拙者達の安全、さらに援軍まで確保出来る、一石二鳥いや、三鳥の作戦でござる」

「そうだな。ここまで20分で帰って来れるならな」

「・・・流石にそれは…」

「だけど、籠城には賛成だ。と、言うよりそれしかない。グレイス達を中に入れて、ゴブリン達が入って来れないように扉を押さえる。その間シノブは壊せそうな壁を探してくれ、そこから逃げよう」

「承知したでござる」

「グレイス、シロツキ、あと、トビカゲ。中に入れ! 」


 扉を開け、グレイス達を呼び戻す。と、同時にゴブリン達がこちらに勢いよく群がってくる。

 グレイス達が入った瞬間に扉を閉め、両手で押さえる。グレイスとシロツキも手伝って体で押さえ込んでいる。

 何度も扉が押され、扉が開きかけるがそれをなんとかこらえる。

 まだか?


「ジン殿! 」

「あったか!? 」

「古い故か、どこでもいけそうでござる! どこを破壊するでござるか? 」

「それだったら扉から一番遠いそっちの壁……うぉっ!? 何だ!? 」


 ドォン、と大きな音が響き、扉の右側の壁が壊された。そして壊れた壁の向こうから、それは現れた。

更新出来ました


さぁ、頑張れあと1話


それでは‼

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