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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
26/193

23『合流』

 ござるとはまたよくあるネタだが、俺と同じ異人(プレイヤー)だろうか? 声を変えているし、姿も見れないので男か女かも分からないが、今はそれを聞ける様な状態ではないので後回しだ。

 とりあえず質問に答えることにしよう。ここで強制送還されては護衛依頼がリタイアになる。まぁ、報酬なんかは決まってないからあってないようなものだが、それでも依頼は依頼。しっかり完遂したいところだしな。


「早く答えるでござる!!」

「わ、分かったからナイフ押し付けんな! 俺の名前はジン、ここにいる目的は救出だ、今は護衛だけど」


 最後は小声になったが、答えは聞こえたのだろう。ナイフが少し離れ、


「依頼者は?」

「救出の方は森に入った所で死にかけだった冒険者、俺の指示が上手く行っていれば街にいるはずだ、生死は分からんが。護衛の方はあんたの後ろの崖に見えてる向こう側だ」

「証明できる物は?」

「護衛の方の依頼者は、合図を出せばこっちに来ることになってるが、呼ぶか?」

「いや、その必要はない」


 正面の木の向こうから声が聞こえた。その声には聞き覚えがあった。


「話に出た死にかけの冒険者なら、ギルドの情報にあった。街から少し行った所で冒険者に保護され今は教会だ。かろうじて息はあったらしいから、教会で蘇生魔法と治療魔法を受けてる事だろう」

「そうか、あの人は生き残ったか。なら、なおさら仲間も救出しなきゃな。会わせる顔がなくなっちまう」

「まだ確定じゃないけどね。駄目なときは魔法でも駄目だから、まぁ僕としてはそれを完璧にしたいと思ってるけどね」


 同じ方向からまたも聞き覚えのある声がした。なんでわざわざ顔が見えないように話してるのかは知らないが、


「あ~、それで結局俺はこのまま押さえ付けられたままなのか? ランディ、セネルさん」


 苦笑を浮かべながら木の向こう側に話しかける。すると木を挟むように2人が現れた。


「そんな顔をするな、相手が何か分からないなら警戒するのは当たり前の事だ。子供だって知ってる。それに、勝った側が先に情報を得るのもな」

「それにしても、ジン君は僕たちの進む先によくいるよね。トラブルを察知するスキルでも持ってるのかな? あぁ、シノブちゃん、もう離して大丈夫だよ。彼は街での問題とは関係ないから」

「承知した。それから、"ちゃん"は止めてと何度もいってるにゃあ! 性別不詳で通してるんだから! 」

「その反論のせいで色々台無しだよ」


 拘束からは解放された。それにしても締まらない忍者だな。見た目は完全な黒ずくめ、目の部分は見える様に開いている。完全に忍者だな。頭の上には三角の猫の耳が見え、腰の上辺りからは先が丸くて細い尻尾が出て揺れている、どちらも毛の色は黒。毛の色に合わせたのかな?

それに、性別不詳で通している割には体のラインがそれなりに見えてしまっている。細めのくびれとか、それなりに膨れた胸元とか。しかし、セネルさんに文句を言い出したとたん語尾が"ござる"から"にゃあ"に変わっちまった。どっちかにしろよ、キャラが滅茶苦茶だぞ。っといけない、ランディ達なら問題ないだろう、エマを呼ばないと。


「ランディ、とりあえず俺の依頼者を呼んでも良いか? こっちからだと様子が見えないからな」

「構わないぞ、こっちも後ろで待機してるの呼ぶから情報交換と行こう。ただし」

「負けた側からだろ。分かってるよ」

「おう、じゃ後でな」


 ランディは背を向け歩き出す、俺も崖の方を向いて手招きする。すると、


「何をしてるでごさるか?」


 忍者モードに戻ったシノブさんが話しかけてきた。


「依頼者を呼んでるんだよ、安全を確認できたらって話だったんでな」

「崖の向こうにいると言う依頼者でごさるか? しかし、本当に崖の向こうに道があるでごさるか? 」

「見てれば分かるよ、ほら、来たぞ」


 魔力を見る目を持つなら、膜が波打つのが見えるのだが、どうやらシノブさんは持っていないらしい。そして間もなくホランの鼻先の角が現れ、その姿を顕にしていく。


「トライホーンシールド、が引く竜車でござるか? これはまた、立派でござるな」

「へぇ~、認識阻害系の魔法だね。誰が張ったのかな?」


 シノブさんは崖からゆっくりと姿を現すホランに驚いているようだが、セネルさんはホランよりも膜の方に興味があるようだ。


「多分ゴブリンだと思うんですが」

「ゴブリンが? う~ん、ゴブリンがこんな高度な魔法を使うなんて聞いたことないな。まさか、協力者が? でもゴブリンに力を貸す勢力なんて・・」


 セネルさんは右の指先を顎に当てブツブツと考え出してしまった、それほどゴブリンがこの類の魔法を使った、という事が信じられないようだ。あぁ、そういえば、


「まだ、ちゃんと自己紹介をしてなかったな。まぁ、さっき言った気もするが改めて名乗る。俺はジン、異人で捕縛師だ」

「これはご丁寧にそれではこちらも、拙者、名はシノブ、ノルンの猫人、ジョブは中忍でござる。名前にさん等は付けなくて結構でござる。特に"ちゃん"は禁句でよろしくお願い申す。主に情報収集が仕事でござる」


 なんと! これだけネタ詰め込んでるのに異人じゃないのか。しかし、


「情報収集? さっきみたいに?」

「あれは急を要する時だけでござる。普段はもっと穏便に」

「呼んでおいて、私の事は放置ですかジンさん」


 声に振り返ると、エマが竜車から降りてこちらの傍まで来ていた。

 足元草だらけなのに足音がしなかったのは何故だ? あ~、もう考えるのはやめたんだっけ? でも気になるのは止められないしな。


「・・・この者、何者でござるか? 話し掛けられるまで一切気配を感じなかったでござる。ジン殿、こちらの方が? 」


 シノブは明らかに警戒している、そりゃ忍者だし気付くよな。とにかく紹介だな。


「あぁ、俺の依頼主のエマだ。本人は奴隷商人、と名乗っている」

「正真正銘、奴隷商人ですよ。初めまして、エマです。どうぞよろしく」

「・・・よろしく」


 エマがシノブに手を差し出す。シノブは少し躊躇してから手をとった。エマは笑顔で、シノブは覆面で表情は分からないが尻尾が激しく横に揺れている。

 猫人の反応は猫と一緒なんだろうか? と言っても俺にはさっぱり分からんが。


「どうやらそっちも揃ったみたいだな」


 森の中からランディが仲間を引き連れて現れた。

 数はざっと見た感じ2、30といったところだろうか? 気配察知の反応よりも多いな、シノブの様に探知できない人が結構いたということか。


「あぁ、と言ってもこっちは一人だけだしな。それでさっそく話をするか?」

「勿論だ、もうすぐ日も暮れる。これからどうするかもまとめて考えるべきだからな」

「一応言っとくが、ここはゴブリンの通り道だぞ」

「話を聞くのは各パーティーのリーダーと参謀役の二人づつだ。残りは周囲の警戒をする。心配しなくても大丈夫だ」


 そう言うとランディは振り返り、


「てな訳だ、皆頼むぞ」


 後ろの冒険者達は、返事をする者や頷く者、手を上げる者など反応は異なるが直ぐに周囲にバラけて動き出した。


「流石だな」

「これくらいは誰だって出来るさ、それじゃさっそく頼むぜ。この崖に着いた辺りから頼むわ」

「わかった。そうだな、まずはここが魔法で阻害されてるのに気付いたのはシロツキだ、あっ、シロツキはこっちのホーンラビットな。それで……」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「……膜を越えて戻って来たところで、ここにいる皆の反応を感知し警戒したところで」

「シノブに取り押さえられた、と」

「そういうこと、俺の話はこんなものだ」


 一通り話が終わるとセネルさんを中心にして、冒険者達が会議を始めた。そしてそこに加わっていない者もいる。


「やっぱりランディはあっちで話をしないんだな」

「そうだよ、悪かったな見た目通り頭が悪くて」

「別に悪いなんて言ってないよ。それでそっちがここに来た理由は?」

「ギルドの依頼だ。ここ数日ゴブリンの目撃情報が増えて調査をしてたんだ。ほら、昨日ジンと森の中で会った時のもそれだ。ジンの情報でソルジャーとハンターが出るとわかったんでな、それをギルドに報告したわけだが、今日の昼過ぎだ。ゴブリンに人が拐われた、襲われたって情報が警備とギルドに上がってな。普通そう言う類いの話はちらほら増えるもんだが、今回は一気にドバッと増えたもんでこれはおかしいって事で、調査と救出をギルド名義で発行したんだ。相手はゴブリンとは言え、一応の万全を期すためにrankC以上の冒険者への緊急依頼としてな。ここにいるのはその依頼を受けたメンバーってわけだ」


 なるほど、どうやら俺が思っている以上に事態は切迫しているようだ。そして疑問が一つ、それは、


「アネットがいない理由はもしかして」

「あぁ、ゴブリン相手にしくじることは無いだろうが、それでも万が一って事はあるからな。アネットには街の方で守りについてる。森だけでも結構被害があるんだ。街でも何か起こる可能性は捨てきれない、とセネルが言うんでな。ジオンもそっちについてもらってる」


 そう、この冒険者達の中に女性はシノブのみ。後は皆男性なのだ。それほどまでにノルンはゴブリンを、いや、魔物を危険視しているということだろう。


「ジン君」

「何ですか? セネルさん」


 話を終えたのか、セネルさんが話し掛けてきた。ただ、その顔は少々難しそうな表情をしている。


「君の依頼者のエマさんと話がしたいんだが良いだろうか?」

「それ、俺に確認取らなきゃいけませんか? 直ぐそこに居るのに」

「君は彼女の護衛なんだから、確認しなきゃいけないんだよ」

「あぁ、そうか、護衛なんて初めてだから思い付かなかった。それに…、いや、これはいいや。とりあえず話がしたいんですね。わかりました、それじゃぁ、って聞こえてるよね、それで話はするか? エマ」

「はい、こちらは問題ありません。何でしょうか?」

「君に依頼をしたいんだ」

「私は奴隷商人ですので、道具の販売はやってないですよ、今は確保している奴隷もいないですし、そんな私に依頼ですか」


 セネルさんは、少々言いにくそうに口を開いた。


「そうだ、今ここで頼める人は君しかいないんだ」

「・・・依頼の内容を教えて頂けますか?」

「僕達の依頼は……」

今回はちょっと早く更新出来ました。

次回はどうなるか分かりませんが


それではまた次回!

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