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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
25/193

22『エマとホラン』

遅くなりました

 エマと共に荷台の前、普通なら人が座り、馬の手綱を握る場所に出る。リアルではほぼ消失と言っても良いから知らなかったが、手綱を引く人を御者、そしてこの場所は御者台と言うらしい。で、その御者台だが、荷台の上半分から追り出す形になっており、落ちないように柵で囲われている。更に左右にスライド式の梯子が付いていている。これも魔物避けの魔物の効果が付いてるそうだ。そして、ここからはトライホーンシールドの背中から頭で見下ろせるようになっていた。


「それで、どうだ? アイツはホランで良いのか?」


 エマは、トライホーンシールドを見つめ、頷きながらある一点を指差した。


「はい、間違いなくあれはホランです。首の所に赤い首輪が見えますか? あれは父と選んだ物で、幸運のアビリティが付いた首輪なんです。あれを見間違える事はありません」


 ホランの首元、正面からは決して見ることが出来ない位置に星の模様がある赤い首輪があった。


「鑑定しても」

「構いませんよ」


 了承をもらって鑑定してみる、一応これも個人情報だからな。さて結果は、


『幸運の首輪

 アビリティ【幸運】効果 運:10

 幸運が付加されたペット&従魔の首輪』


「確かに幸運が付いた首輪だな。ところでアビリティって?」

「装備に付いた・・スキル、とでも言えばいいでしょうか、値は張りますが良いものですよ」


 アビリティか。まぁ、ゲームなんだからあるよな。いや、それよりも、


「同じ首輪を着けた別の個体という可能性は?」

「ありません。間違いなくホランです」

「その根拠は?」


 エマは改めてホラン? の方に向き直ると、


「ジンさんには首輪の星の印は何色に見えますか?」

「星の色? 俺には普通の黄色に見えるが」

「私には黄色の星がキラキラ光ってるように見えます」


 俺ももう一度首輪を見る。しかし、光っているようには見えない。


「え~と、どういうことだ?」

「アビリティ持ちの装備は高価です。それ故に、持ち主にはそれが自分の物だと判別することが出来るように、特殊な見た目を設定出来るんです。よくあるのは装備を着けたら色が変わるという設定ですね。ホランの首輪の場合は私達一家のみが、それを認識出来るようになってます」

「なんでまた、今の説明だと普通は『この魔物は私達の従魔です』って証明するようにならないといけないんじゃないか?」

「そこは企業秘密ですので、お話し出来ません。とにかくホランである確認が取れたので、一度近くに行きたいのですが、護衛をお願い出来ますか?」

「了解、それは任せてくれ。そっちも一応気を付けてな。俺が見たときはゴブリンを背に乗せていた、それを考えると何が起こるか全く分からないから」

「勿論です。では、行きましょう」


 そう言うとエマは梯子の留め具を外し、そこから飛び降りた(・・・・・)


「はっ? えっ、ちょっと!」


 慌てて柵から下を見ると、平然とホランに向かって歩いていた。


「マジか、ここ建物だったら2、3階の高さなのに。・・ただの奴隷商人ってわけじゃ無さそうだな」


 て言うか依頼しといて先に行くのはどうなんだ? 護衛も何もあったもんじゃないだが、


「とりあえず降りるか」


 留め具を外したときに梯子は降りているので、それを使って降りる。飛び降りる? 緩やかとはいえ坂道、それに大小の石も剥き出しの地面だ。今の俺がエマと同じ事をしたら、最悪また骨折、しなくてもダメージとしてLPが減るかもしれないのでしない。


「俺、居なくても良かったんじゃないか?」

「そんなことありませんよ。ジンさんが居るから、こうして私は動けるんですから。そんなことよりこれを」


 ホランを撫でるエマに近寄りながら話しかける。ホランもこちらに対しての緊張が解れたのか、さっきまでの威圧感が存在しない。気になる事を言ったが気にしない事にする。今はエマがこっち差し出して来る物に集中しよう。


「確かこれはホランの角の間に着けてた」

「はい、ですがこれは私達の知らない物です」

「つまりこれは、ゴブリン達がホランに着けたって事か?」

「そうなります。そしてホランがゴブリンを乗せてここまで来たという事は、これには装着した者を操る力があるのかも知れません」

「ゴブリンってこんな物を使うのか」

「いえ、私の知ってるゴブリンはこんな物を使いません。彼等が使うものはもっと原始的な武器で、木の棒と石です、剣とか弓等は冒険者や兵士が落としたのを拾ったり奪ったものです。家ですら洞窟や廃村を使うんです。そんな彼等が何かを作ると言うのは聞いたことがありません。ましてやこんな高度な魔道具をいきなりなんて、ありえません」

「つまり、何者かがゴブリンに武器を渡していると」

「本来はありえないと否定するところですが、ホランがここまでゴブリンに連れられて来たことを考えると、そうだとしか」


 状況的にはそれが正しいんだけど、まだ結論を出すべきでは無いだろう。偶然発表前の品物を奪った可能性もあるわけだし、


「とりあえずここを離れよう。陽も暮れ始めたし、街に行くなら早い方が良い。これも本当に魔物を操れるのか分からん。まぁ、ほぼ確定だとは思うが。それにホランに何かの考えがあってのゴブリンの指示に従った可能性もあるかもしれない」

「グゥゥゥ」


 ホランが抗議の声を上げている気がするが、今は話を進める。


「とにかく! これはギルドに渡して然るべき組織に調べてもらおう。今はここから離れる方が先決だ。ってことでホランに指示を頼めるか? ここから動けないと話にならないからな」

「そちらはお任せ下さい。それじゃ離れてて下さい、危ないですから」


 そう言うとエマは梯子を昇っていく。手を使わず(・・・・・)5段飛ばしで(・・・・・・)

 やっぱり商人じゃ無いよな、あれ・・。あの動きならゴブリン達一掃出来たんじゃ。なんでしないんだろう? というか娘があれなら父親も相当なんじゃ無いだろうか? 街に帰ったら『実は生きてました』なんて事もありえるんでは? 本当のジョブは何なんだろうか? 俺もステータスを上げていけばあんな事も出来るようになるんだろうか? そんなことを考えていたら、


「あの~、そこに居ると危ないですよ」

「ん、おっと、悪いすぐ退く」


 既にエマは御者台で手綱を持って待っていた。俺はこれ以上邪魔にならないように丘の上に移動した。グレイス達も呼び戻し、竜車が反転するのを待ちながら周囲の警戒を行う。でもやはり気になるのはエマのジョブなのだが、本人は答えるつもりは無さそうだし、あまり人の、ましてや女性の秘密を知りたがるのは、やはり失礼に当たると考えた結果もう気にしない事にした。CWOをやっていればいつか知ることも出来るだろうしな。何でもかんでも最初から分かると面白味も無くなるし、知らないことが多い方がやりごたえもあるだろう。自分の中で考えがまとまった所で竜車の反転作業も終わった。なので、


「まず俺達が先行する。とりあえず帰り道が安全と思ったら、え~とそうだな。こう手招きするからついてきてくれ。もしゴブリンが居たら、手のひらの真っ直ぐ見せるからその時は待機してくれ」


 俺が手の動きを見せながら説明すると、


「分かりました。お願いします」


 と、返事が返ったので、早速動き出す。


「既に大分暗くなってる、回復も足りてない。敵を見つけたら知らせてくれ、出来るだけ手早く片付けないとこっちが持たないからな」

「ウォン」「キュ」


 グレイス達に指示も出して歩きだす。日は大分暮れ、森の中も影が延びあちこちに死角が存在している。SP(体力)の回復は早いから良いが、MP(魔力)の回復が遅いため節約しないといけない。よってMP(魔力)を使っての【気配察知】は使えない。しかし、SP(体力)を使っての気配察知は魔物(モンスター)以外の動物にも反応してしまう為、現状、従魔達に頼る他無いのだ。こう考えると非常に情けないな、もっと強くならないとな。


「ウォン!」「キュ!」「えっ!」


 丘を隠している膜を抜けると、直ぐにグレイス達が反応した。どうやらこの膜は【気配察知】の類いのスキルを中でも外でも無効にしていたらしい。念のために自分自身も【気配察知】を使っていたのだが、出た瞬間森の中に10を超える反応がこちらに向かってきていた。エマに待つように指示をだし、戦闘体勢で木の影に隠れ様子を伺う。相手も気づいたのだろう、縦に並んでいた反応がいくつかに分かれ固まった。少なくとも動物では無さそうだ。

 さすがに相手との数の差が激しい。奇襲によるヒット アンド アウェーで行くしかない。そう思いグレイス達に指示を出そうとしたら、


「がっ!」

「動くな」


 突然後ろから声と共に木に押し付けられ、首もとにナイフを突き付けられた。【気配察知】には全く反応がなかった。グレイス達も気づけなかったらしく、俺の後ろを見て驚いているようだ。


「だ、誰だ?」

「それはこちらの台詞でござる。貴殿は何者で何故ここにいるでござるか?」


 ・・・ござる?

お久しぶりです

すいません 久しぶりドラ〇ンズド〇マオ〇ラインやったらまだ1章も終わって無いのに2章完結とかになっててレベルも上げやすくなってたので集中的にやってたら書くのを忘れてました


オンラインゲームはレベルが上げにくくて嫌ですよね。でもそこが醍醐味でもあるのですが、まだレベルが足りず最後の話に入れてないので、次も少しかかるかも知れません。


それではまた次回!

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