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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
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21『馬車? の調査』

 トライホーンシールドとの距離を一定に保ち、敵対行動をされても対応出来るようにしながら様子を見ている。が、その動きは見えない。というか、後ろの荷台が気になって仕方がない様子だ。

 このままだと埒が明かないので、こちらから動く事にする。とりあえず武器を納めて近付いてみる、攻撃された時のために気力を腹から下に纏っておく。あと、メイジが話しかけて反応してたから、話しかけてみるのもいいかもしれない。なので、


「え~、俺は敵じゃない。できれば後ろの荷台を調べさせてもらっても良いかな? なんて」


 我ながらなんともぎこちない感じで話しかけてしまったが、どうやら意味は通じたらしく、その場で膝を曲げ、犬で言うところの伏せ? に近い状態になった。あの状態なら動き出しても対応できる、それでも刺激しないように歩いて荷台に近付く。


「しかしこいつは、デカイな。入口はやっぱ後ろかな?」


 近くまで来ると荷台の大きさが際立った、馬車の荷台の3倍はあるだろうか。これを馬で運ぶのは何頭いるだろうか? これを1体で引っ張るトライホーンシールドの力は相当だな。戦わず済んだのは運が良かった。荷台を確認しながら歩いていたらグレイス達が少し離れたところから付いてきていた。どうやら荷台に近づけないようだ。それならばと指示を行う


「グレイスは周囲の警戒を頼む。シロツキはトライホーンシールドを見ててくれ。何かあったら吠えてくれ」


 グレイス達は指示を聞いてそれぞれの方向に駆け出した。それじゃ続きだ。

 荷台は下半分が木の板で、上半分が格子状になっている。後ろの方には扉があり、開かないように固定する留め具が付いているだけで鍵は付いていない。中を覗いて見るといくつかの箱と人の足? だと思われる物が見える、靴の形とスカートの裾のだと思われる物が見えるから女の人っぽいけど、まさか死体じゃないだろうな。確認するために留め具を開け荷台の中に入る。


「? なんだこの感じ」


 入った瞬間違和感を感じて周りを見渡す、そして気付いた。外から見た荷台の広さと中の広さが違うのだ。どういう仕掛けだろうか? もし、俺にも出来るならテントの拡張も出来るかも、っと、今はそれより目の前の事だ。ゆっくりと足に近付いてみると少しづつ全体が見えてきた。

 倒れているのはやはり女性だった、服装は半袖のシャツとロングスカートだ。特に乱暴されたような痕なんかは無い。ゆっくりとした呼吸する音も聞こえるから眠ってるだけみたいだ。とりあえず一安心だが疑問は残るな。ゴブリンは女性を拐う理由から考えると、服に傷も目立った汚れもないのに違和感を感じる。まぁ、まずは事情を聞くためにも起きてもらおう。


「大丈夫ですか!? 」

「んっ、う~ん。あ、れ、誰ですか、あなたは?」


 声を掛けながら、肩に手をあて揺らしてみたところ起きてもらえたようだ。それでは早速話を聞こう。


「俺はジン、異人の冒険者だ。君はどうしてゴブリンの馬車の荷台に居るんだ? 見た感じ拐われたようには見えないんだが?」

「え、と、私は父さんと一緒に冒険者の街アインに向かっていたんですが、山を降りて街道に出る途中で」


 彼女は言葉を切るとうつむき、膝の上に置いた手を握りしめ、

「途中で御者をしていた父さんが魔法で撃たれて地面に落ちて、駆け寄ろうとしたら、「来るな! 荷台に逃げなさい! 」って言われて」


 涙ぐみながら彼女は言葉を続ける。


「父さんの馬車は特別製で竜車って言うんですが、竜車には魔物が入ることが出来ないように魔法が掛かってて、いざって言うときは荷台に逃げ込んで助けが来るまで耐えるか、従魔のホランが倒すまで隠れてる事になってたんです。それで私は荷台の中に、うっうっ」


 しっかりと話していたが、流石に限界が来たみたいで声を押し殺しながら泣き出してしまった。 目の前で無くても父親が亡くなったんだ、仕方ないだろう。むしろよく耐えた方だろう。しかし、この世界はリアル過ぎる気がする。人によっては耐えられないんじゃないか? それに最初のゲームがこのレベルだと、後に作られるゲームも大変だろうな。

 さて、改めて話の内容を考えるとこの荷台は、俺のテントと同じ魔法が掛かってるみたいだな。とりあえず中に居れば魔物の襲撃があっても、死ぬ事は無いわけだ。後の問題は荷台を引っ張ってるアイツだけど、


「確認したいことがあるから、もう少し話を聞きたいんだけど、大丈夫?」

「はい、ぐすっ、今は泣いてる訳には、いきませんから」

「悪いな、出来るだけ早く済ませるから。それで、今この竜車? を引っ張ってるトライホーンシールドは君の言うところのホランで良いのか?」

「多分そうだと思います。見てみないと、分からないですけど」

「君の言うことに従うのか?」

「それは大丈夫です。ホランはお爺ちゃんから父さんに譲られた従魔です。契約者が亡くなったら、親族に譲渡される契約になっていますから、今は私の声も聞いてくれる筈です」


 気になる言葉が出たが、今はここを離れる事を優先しよう。


「それならまずは、ホランかどうか確認しよう。外に出るけど大丈夫か? その、心情的に」

「大丈夫です、話して少し落ち着きましたから。泣くのは本当に安全な所に着いてからにします」

「そうか、なら行こう」

「はい」


 俺が荷台の後ろに向かおうとすると、


「あの、前にも扉がありますからこっちにしませんか? こっちならホランの姿も確認出来ますから」

「そうなのか? それならそっちにしよう。この荷台でかいからな」


 彼女の後ろについて前の扉に向かう。


「あっ、そういえば君の名前を聞いてなかったな。何て言うんだ?」

「これは申し訳ありません、商人の娘がこれでは父さんに怒られてしまいますね。それでは改めて、私はエマ、ジョブは奴隷商人です」


 彼女は振り返りそう名乗った。


「ど、奴隷・・商人?」

「はい、うちの店で取り扱っているのは借金奴隷になります。もし、ゴブリンに襲われなかったら、アインで奴隷になった人を買い取り、労働力が欲しい方々に売却するはずでしたが、今は故郷に帰り父さんの事を話さなければなりませんので、商売はまた今度ですね」


 このゲーム、奴隷とかいるんだね。プレイヤーも奴隷にされたりするんだろうか? いや、今はそれよりここから離れる事を優先しよう。町に帰って情報を集めればいいことだし、物好きが掲示板にあげてるかもしれないしな。


「ここの扉は関係者でなければ開かないようになっています。つまり、私の家族しか入ることが出来ません」


 扉の前で説明を受ける。俺は疑問に思ったので聞いた。


「それも魔法で?」

「はい、そうです」

「その魔法は侵入を防ぐ魔法なんだよな?」

「? そうですけど?」

「外からの攻撃は防げないのか?」

「遠くからの攻撃は防げないですね。荷台の魔法は対象の周囲1mの魔物の侵入を拒む魔法です。ですから魔物は近づけません。そしてこの先に掛けられた魔法は許可された人しか入れない魔法が掛かっています。普通、ゴブリン位の魔物はホランには攻撃しませんし、盗賊も契約主が死ぬとその奴隷が死ぬ可能性を考慮して極力殺すのは回避しますから、脅しを掛けて荷物を要求、それで駄目ならっと言った感じですね。今回は奴隷も連れて居ませんし、アイン付近の魔物ならホランでなんとかなりますので、護衛を雇いませんでした。今回はそれが原因ですね」


 グレイス達が近寄れなかったのはそれが原因か。しかし、


「分かりやすい判断ミスだな」

「返す言葉も無いですね。それではそろそろ行きましょう、関係者が招待したなら入れますので」

「分かった」


 返事をして、エマと共に階段を登る。ホランであってくれよ、トライホーンシールド。そう思いながら

もう少し早くあげたかったのですが、なかなか時間が取れず申し訳ないです。

それではまた次回!

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