08『賭けの結果』
皆様本当にお久しぶりです、なんとか年内に更新です。
『LPが0になりました』
『蘇生待機時間は3分です。待機しますか? YES/NO』
『蘇生待機時間を終了し、リスポーン待機時間に移ります』
『リスポーン地点はホームエリアです。リスポーンまであと3分……』
しくじった、これは完全にやらかした。せっかく大量の水で土の精霊の力を阻害したのに、転倒させたら騎士の接地面が増えて意味ないだろうが。――――セツナがやられたと思って焦ってしまったな、反省反省。
そもそも使い魔は呼び出しが可能なんだからその場で呼べば良かったんだよ。ユニオンが解除されなかったって事はLPは僅かに残っていた筈だしな。
はぁ、グレイス達にも迷惑を掛けてしまった、後でうんと撫でてやろう。エサのランクアップは金銭的に難しいし。
さて、やられてしまったものは仕方ない。気を取り直して復活したらすぐに動ける様にチャットを確認しよう。ボイスチャットの発言が文章として残っている筈だ、こちらの発言は復活するまで書き込まれない仕様だから質問なんかは出来ないけど、多少の状況は分かる筈。え〜と?
ユキムラ『ジンさんが落ちた!?』
アンク『マジですか?』
リアンノ『マジマジ! ありゃ駄目だよ』
ミーム『首、直角に曲がってた』
マリーダ『あぁ、それは即死ね。作戦そのものは成功してた筈なのに……どうしてかしら?』
リアンノ『やっぱりサイズがダンチの相手に1人と従魔達だけで挑むのが無謀だったんじゃない?』
ミーム『右に同意』
アンク『やっぱ、プレイヤーパーティは大事なんですかね?』
本人が居ないからって色々言ってくれるな? それなら代案の1つや2つあるんだろうな?
ユキムラ『まぁ、僕達の実力じゃプレイヤー同士で組んでもあんなのとまともに戦えませんけどね』
アンク『それな』
マリーダ『上位魔法どころか中位魔法すらまともに使えないものね。私達』
リアンノ『ああ、早く巡業を終わらせて上位魔法を覚えたいなぁ。……まだ中位魔法も使いこなせてないけど』
ミーム『だね』
結局代案出て来ないし、なんか日常会話になってるしで戦況が伝わってこない。おい、結局今どういう状況なんだよ?
アンク『それで……どうします?』
リアンノ『何が?』
アンク『何が、ってあれの事以外無いじゃないっすか?』
リアンノ『……どうするもなにも、放置するしかないじゃないか。僕達に何か出来ると思う?』
あ、リアンノがボクっ娘になってる。と、言う事はキリムさん達も周りにいるのか? あれ、外面用のキャラだって言ってたからな。ん? それじゃあ皆は今何処にいるんだ?
ユキムラ『正直、舐められてますよね? あれ』
マリーダ『でしょうねぇ。わざわざ歩いて寄って来る理由がないものね』
アンク『えっ、そうなんですか?』
ミーム『精霊も不便な事があるんだね』
リアンノ『ねー』
会話が途切れて、いや、キリムさん達が会話に加わったのか? ログにはメンバーの会話しか残らないから何を言ったのか分からん。誰か復唱してくれないものか。
『キター!!』
リアンノ『フッ、勝ったね』
アンク『それ、フラグじゃないですか?』
リアンノ『これは勝ちフラグだよ』
ユキムラ『何が違うんですか?』
リアンノ『え〜と、……雰囲気?』
マリーダ『明確な差は無いわよねぇ』
ミーム『結果次第』
マリーダ『よねぇ』
いや誰が来たんだよ、名前を言え名前を。フラグがどうかなんてどうでも良いからもうちょっと具体的な話をしてくれ! クソッ、復活まであと何秒だ!?
それから復活までの短い時間、更新された文章は誰かを応援する文字のみで、結局名前が出る事は無かった。恐らくディルトトさんが来たのだと思うが、それなら何故名前が呼ばれない? まさかまた新しい精霊騎士が現れたんじゃないだろうな?
そう思った矢先、
『待機時間が終了しました。リスポーンを開始します』
漸く長く感じた短い待機時間が終了し俺、復活。すぐに布団から立ち上がりリビングへ移動する。デスペナで体が重いし、SPも足りない。が、それでも出来る限り急いで移動する。
なんで寝ている姿からのリスタートなんだろうね、ホント!?
「やっぱり居ないし」
そこに居るべきキリムさんとドワーフ達の姿は無し。ノルンは復活出来ないんだからあまり出歩かないで欲しいんだが、居ないもんは仕方ない。予想した通り皆と一緒にいるのか? 頼むから戦いに巻き込まれてないでいてくれよ。
ログの感じだと切羽詰まっている感じは無かったが、とにかく急ぎで情報が欲しい。だがまずは、
【我が使い魔よ 我が声に応え その姿を見せよ 『セツナ』!】
詠唱を終えると同時に視線の先の地面に魔方陣が現れ、その中央からセツナが氷の結晶を模したエフェクトと共に現れた。軽く眺めた感じでは大きなダメージを受けた印象は受けないが、確認は取る。
「無事か?」
「はい、主様。使い魔セツナ、ここに健在でございます」
返答はいつも通り。いつも通りなのだが、CWOの仕様ならダメージに応じて相応の怪我を追って然るべき。すぐにセツナのLPを確認、結果は全快。再召喚の仕様か、それとも俺がやられたのが原因か、とにかくリセットがかかったと考えるべきだろう。ならば、
「スマン、俺のミスだ」
謝るのが筋だろう。もう俺にはセツナがどんな怪我をして、どれほどの痛みを負ったのか分からない。出来るのは頭を下げる事しかない。
「謝る必要はございません」
だが、俺の行動はすぐに否定され、
「私はあなたの使い魔、使われる事が役目にございます。むしろ、完全に動けなくなる前にこうして元の姿に戻して頂いた事を感謝しております」
「……は?」
続けられた言葉に思わず声を出してしまった。感謝? いや、それはおかしい。これだけ感情豊かな存在が使われる事が役目だからって、受けた痛みと苦しみを忘れてなお感謝するってそれは、どう考えてもおかしいだろう!?
「セツナ、その考え方は――」
「そんな事より主様、今は急ぎ皆様と合流するべきです。まだ戦いは終わっていなのですから」
「それは、そうだが」
「お急ぎを。エバは私が呼んでおきました、行ってください」
セツナの手の動きに合わせて外を見ると、蹄付近から羽を生やした馬【フェザーフォース】のエバがこちらに向かって走って来るのが見えた。
使い魔の初期スキル【念話】。元々は召喚主と距離を問わずに会話する為のものだが、セツナの場合は従魔とのコミュニケーションにも使用していたのは知っている。だが、それはあくまで顔を合わせての会話でのみだけだった筈。呼び出しが出来るようになるまで成長していたのは知らなかったなぁ。
「状況は切羽詰まったものではないと思われますが、それでもキャラバンリーダーの主様が必要になる可能性は十分にあると思われます」
どうやら再召喚による情報共有が行われたようだ。実際、ログからは緊張感が感じられなかったのは事実。だが、俺が戻った事が通知されている筈なのに連絡が来ないのは謎。戦っている様な音も振動も無いし、急いで状況を確認しなければならないのは確か。だけど、
「主様、お早く」
セツナも俺を急かすばかりで会話は出来そうにない、仕方ない、か。
「分かった、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
まあ、話をする機会ならこの先いくらでも作れるよな。そう思いながら部屋を出て馬具を指輪から取り出しエバに手短に装備、その背に跨がりシェルハウス後方を目指す。
破壊され大きな穴の空いた部分に近づくにつれ被害の様子が見えてくる。これ、本当に直せるんだろうな? そんな事を思いながら穴の向こうにあるものを見て思わず呟いた。
「なんだ、あれ?」
先程まで俺達が戦っていた場所に謎の青い球体が浮いていたからだ。いや、ホントになんだ、あれ?
環境や状況が変わりなかなか執筆活動が出来ませんでしたが、なんとか書き上げました。
少しずつではありますが、時間を作りゆっくりと更新していく予定です。
現在喪中につき、新年の挨拶はありません。と言う事で良いお年を。
そして、来年もよろしくお願いします。




