表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Create・World・Online  作者: 迅風雷
第1章 始まりの町【アイン】
16/193

13『森~4泊目~前編』

 ログインした。今日は外が騒がしい。

 グレイスとシロツキも、鼻と耳を頻りに動かし警戒している。耳をすますと聞こえてきたのは、何かと何かの吠える声、バシャバシャと水が跳ねる音、池で何かがおきている様だ。俺達はテントから顔を出す。


 争っていたのは狼の群れとワニ、それに鯉の群れだろうか? 空を浮いて魔法で攻撃している。三つ巴の戦いだ。識別してみる。


【グレイウルフリーダー】対応rank:C

『灰色の毛色の狼、縄張りの中で生きる魔物

 グレイウルフの群れを形成して狩りをする

 腕に自信が無いなら引くべき相手』


【グレイウルフ】対応rank:D

『灰色の毛色の狼、縄張りの中で生きる魔物

 群れを作る、群れのリーダーになると体が大きなる

 群れか、はぐれかで対応rankが変わる』


【ポンドアリゲーター】対応rank:C

『池の近くに生息するワニの姿をした魔物、

 近づかなければ危険はないが、強さはガビアルより上

 rankより強い個体もいるため注意が必要』


【フライカープ】対応rank:F

『突然変異した(こい)、群れを形成して旅をする

 手頃の水場を見つけると卵を産んで、また旅立つ

 産まれた鯉で変異するのは1割に満たない』


 目標は見つけたが話が違う。はぐれじゃなかったのか?

 rankがEからDになってる。いや、識別情報が正しいなら一頭の強さはそうでもないはず。問題はどうやって引き離すか。ところで、フライカープは何故あの戦いに参戦している? さっさと逃げれば良いのに。もしかして、池にまだ仲間がいるのか? あいつらに仲間意識があればだが。


 一番の問題はワニとリーダーだ。あいつらはrank:Cと俺より間違いなく強い。選択肢は3択、逃げる、傍観、戦いに介入だ。どうするか?


 逃げるなら、テントを片付けて、さっさと離れれば良い。傍観なら少しでも情報を持って帰ろう。もしかしたらクエスト失敗にならないかも知れないし、情報だけでも金になる可能性もある。介入するなら、全てではなくどちらかに肩入れし戦えば生き残れる可能性は高い。さて、どうするか?


 よくよく考えると、テントの周りが一度も荒らされなかったのが不思議だった。肉を焼いたりもしたのに、テントの周りには足跡もあったことはない。近くにいる魔物を警戒して来れなかったと考えるべきだ。


 ならば、元々住んでいた方の味方をするべきだろう。俺達はその恩恵を受けた訳だからな、元々の依頼は、はぐれのグレイウルフの討伐だ。そうなると、この森に後から来たのはリーダー達だろう。それにワニに味方すればクエストも完了出来るしレベルアップも見込める。よし、やるか!


 改めて戦いを見る。グレイウルフの群れの数は20頭くらいかな? リーダーの動きに合わせて、ワニと鯉に攻撃をしている。ワニは攻めあぐねているようだ。鯉は空から水の球と風の球を、ワニと狼に飛ばしている。崩すなら背後からの奇襲だな。


 俺達は森に入って、見付からないように狼達の背後へ。池の辺りは開けている。これなら、鞭を思いっきり振り回しても大丈夫だ。さあ、始めるぞ。


「グレイス、分身を群れの中に、何頭でも良いから1ヶ所に注目を集めてくれ。俺が鞭を振り抜いたら、シロツキも一緒に攻撃開始だ。俺達の役目は取り巻きの排除だ、リーダーとワニには手を出すなよ」

「ワン」「キュ」


 グレイス達が頷く。グレイスが分身を作り飛び込ませる。分身は跳び上がり群れの中の一頭に食らい付いた。


「キャン!? 」


 悲鳴を聞き、周りの狼の内三頭が、分身に群がり分身が霧散。そこを狙って鞭を横に振るう。魔力はいつもの斬撃のイメージだ。

 ブン! とひと振り。流血し振り向いた狼の一頭に、ダークボールが命中。さあ、戦闘開始だ。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~


 現在の状況は少々劣勢だ。グレイスもシロツキも、ダメージは与えているが、減らすと別の狼が来て倒しきれてない。

 俺の方は、右手に鞭、左手にブロンズソードを装備して対処している。鞭を振るい攻撃し、近付いて来た狼はブロンズソードで攻撃、又は防御している。

 それでも駄目な時は、気力で強化した蹴りを打つ。ぶっ飛ばす事は出来ても倒しきる事が出来ない。慣れない二刀流で、魔力操作が維持できてない。

 鞭か剣、どちらかだけに纏わせて対応しているが間に合っていない。気力の時に骨折したことから、ブロンズソードにも同じことが起きるのではないか、と考え魔力を弱めに纏わせてるのも攻めきれてない原因だろう。時間とゲージだけが減っていく。


 戦闘を開始して2時間、MPとSPを節約しながら俺が5頭目を倒した時だった。グレイスの毛色が黒くなり、一回り大きくなった。シロツキも同じく大きくなり、角が長くなったようだ。


「ウォォォォォォン! 」


 グレイスが吠える、グレイスの周りに黒い毛色の狼が3頭現れた。現れた狼は、グレイスのようにダークボールを放ち、群れに突っ込む。グレイスもそれを追う。

 シロツキは落ちていた枝を2本拾うと、両手に持った。まさか武器を装備出来るようになったのか? シロツキは跳び上がり、狼の頭を枝で殴り付ける。

 着地すると怯んだ狼の側面に回り込み、長くなった角で横っ腹を刺す。更に、体が白く光ったと思ったら、角が刺さった腹の反対側に白い突起が現れた。どうやら体を貫通させたようだ。

 グレイスの方も変化がある。牙と爪が黒く延び狼の体を噛みきり、切り裂いている。他の3体も同じように攻撃している。


 何だか急に強くなった2体に狼達は翻弄されている。

 その間に俺も鞭を振る。ブロンズソードは、耐久値が無くなったのか、半ばから折れたので捨てた。

 狼の数は残り5匹まで減った。俺の3本のゲージも2割を切った。最後のポーションを体に振りかけ、回復を図る。

 その隙を狙って狼達は駆けるが、グレイス達とシロツキが押さえる。グレイスは長くなった牙で首元を、3体も近距離から、ダークボールを打ち込み撥ね飛ばす。シロツキは既に白い角で体を貫き倒しきっている。ポーションを使い終わった俺は、撥ね飛ばされた狼に鞭を振るい止めを刺す。さて、あっちはどうなった。


 ポンドアリゲーターとグレイウルフリーダーの戦いは、まだ終わりそうにない。群れがいなくなっても戦闘力は申し分のないリーダーと、体の大きさはリーダーの3倍、尻尾だけでもリーダーより大きいポンドアリゲーター。


 アリゲーターには硬い鱗があり、リーダーはなかなかダメージが与えられない。リーダーには速さがある、アリゲーターの攻撃は当たらない。更に2体に空から魔法で攻撃するフライカープ。実は2体のHPゲージを一番減らしているのは、フライカープの魔法だ。時折雨のように打たれる水球と風球、さすがのリーダーも避けきれず、魔法には弱いのかアリゲーターの鱗も意味をなしていない。問題があるとしたら威力が無いこと、ゲージは僅かに減っているが、自然回復量を上回れない。


 俺達はどうしよう。グレイス達がどうなったのかステータスを確認したい。でも流れ弾が恐い。では攻撃するか、問題は俺達のステータスで当たるか、当たるわけねー。

 逃げる? 逃げられないだろうな。リーダーはこちらをチラチラ見てる、群れを全滅させたんだ、報復は十分にあり得る。

 となれば、アリゲーターとリーダーが戦っている今が、千載一遇のチャンス! どうすれば倒す事が出来る?


 俺のスキルでどうにか出来そうなのはないか? 探せ!

 この世界はクリエイト・ワールド・オンライン、

 作り出す世界の名を持つゲーム。


 今俺に出来る事は、全て自分の身体を使う体術と言って良い。そして今欲しいのは、遠距離武器、それも命中率の高い武器か魔法!それが出来そうなのは、魔力操作と魔力変換の2つ。

 俺がこの2つでしたことは、武器と手足に魔力を纏い、別の武器を再現した事。だったらそれを別の形で再現出来ないか?


 イメージは槍、細長い柄、先に返しを付け抜けにくい切っ先。イメージは出来た、後はその形に魔力を込める。MPがガンガン減っていく、目に見えないから形が把握出来ない。気配察知を使えば何となく姿は分かる。だけどこれ以上余計なMP消費は出来ない。


「キュ!」

「どうした?」


 シロツキが鳴く、呼ばれた気がして振り返る。シロツキは小さい手で、自分の目を指差している。この動作には覚えがある。グレイスが闇魔法を覚えた時だ。確かあの時は、グレイスの身体を指差した後、目を指差していた。

 身体・・・グレイスは魔物・・・魔物は魔力を持っている・・・俺も魔力を持っている。目・・・目に・・・目に魔力?

魔力を目に纏わせる!?

 魔力の一部を目に集中、イメージはとりあえずメガネ。

 すると目の前に黒い靄みたいのが広がってる。その靄は棒の先に三角のような物を付けた形をしている。

 この靄が魔力? なら、目の前にあるのが俺の作ってた槍? これじゃ駄目だ! これだと貫く事すら出来ない! 形を調整しないと。

 触ろうとするが、手は靄の中をすり抜ける。魔力は手で触れないのか? なら足? なわけないか。魔力を見るのに魔力が必要なら、触るのにも魔力が必要なんじゃないか? 試してみよう。

 魔力を手に纏わせる、イメージは手袋。手が黒く覆われる。特に感触に変化はない。槍? を触る。同じく感触はない、だけど靄は動いた。これなら!


 調整するために、更に魔力を集める。まずは柄の部分。固くなるように魔力を詰める。槍の切っ先も同じように作る、刃先は鋭く、返しは尖らせる。柄と刃を繋げて固める。さらに魔力でコーティング。これで完成。手の魔力を解いて、魔力操作で槍を動かす。動いた! これならいける!


 MPはあと1割、急げ! だが慌てるな! リーダーの身体の上に動かす。これじゃ駄目だ。動かれたら外れる。大事なのはタイミングだ。狙うのは躱して跳び上がった時の着地時。もってくれよMP。


 幸いリーダーは魔力が見えていないようだ。実際魔法を使ってる様子はない。見えてる可能性もあるが、グレイスもシロツキに教えられるまで出来なかったんだ。本当に見えてない可能性は十分にある。

 アリゲーターが噛み付こうとする。リーダーは後ろに跳び躱す。今だ!


「いっけぇぇぇー! 」


 槍を落とす、狙いは左の後ろ足。


「ガウ!? 」


 突き刺さった、さらに貫通し地面に刺さる。魔力を地面に固定し、リーダーの身体に巻き付ける。これでもう逃げられまい。アリゲーターがリーダーの首に噛み付いたところで、俺は意識を失った。

前後編です


次は17時

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング 新作始めました、興味があればどうぞ彷徨うローパー         誤字報告機能についてのお願い!  誤字報告機能使用時にコメントを書くのを止めて下さい。修正する時にコメントも一緒に本文に加わってしまうため、機能を使う前と手間が変わらないので機能の意味を無くしてしまいます。ですので『誤字だと思います』とか『脱字だと思います』とか『こちらの方が良いのでは?』等のコメントは感想欄にでもお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ