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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第3章 星の降る島
135/193

56『持ち帰るアイテムは……』

「よっし! ギリギリセーフ!」

「間に合ったぁ~」

「まだだって! 欠片を入れなきゃ意味ないから、ってなんじゃこりゃあ~!?」


 スイッチを押し隠し扉を開いて転移陣を起動、洞窟を抜けサークが方向転換に失敗仕掛けて落ちかけた以外はなんとかなったと思ったら、今度は目の前に広がる人の行列、いやもはや渋滞と呼ぶべき状態(もの)が待っていた。


「皆考える事は一緒かよ」

「ギリギリまで粘ってたんですね皆さん」

「それよりこれ、時間内に納品出来るのか?」


 時計を見れば後10分程しか残っていない。だと言うのに目の前の状況、これは無理かもしれない。そう思い始めた時、


「あれ~? ジンさんじゃないですか~、今から納品ですか~?」


 声に振り向けばカンナさんが渋滞から離れた所に立っていた。時間は無いが最後尾が何処かも分からない状態だ、とりあえず話を聞いてみよう。


「少しぶりですカンナさん。その様子だと納品は終わったんですか?」

「いえ~、今からですよ~。まあすぐ終わりますけどね~」

「すぐ終わる?」

「はい~。実はこのエリア内なら~【星の欠片】の選択肢に納品の項目が出るんですよ~」

「えっ? それマジですか?」

「マジですよ~。ビウムちゃんが待ちきれないって言って~直接火口に投げ込もうとして気付いたんですよ~。スゴいでしょ~? あっ、時間無いんでした~、ちょ~っと失礼しますね~」


 そう言うとカンナさんはメニューをいじりだした。俺達もボーっとしている場合じゃない、急がないと。メニューを開きインベントリを選択、更に【星の欠片】を探し選択。……確かに納品の文字が確認出来た。良かった~、なんとかなりそうだ。納品をクリックっと。


「ふぅ、間に合ったぁ。ありがとうございますカンナさん」

「い~え~、それじゃ~私はお先にログアウトしますね~。ビウムちゃん達が待っていますので~。また近くお会いしましょう。さようなら~」


 そう言ってカンナさんは姿が光になって消えた、どうやら1人ここに残されてしまっていたようだ。きっとビウムさんが急かしたんだな、カンナさんも大変だ。


「テツ、ユキムラ君。納品は終わったか?」

「ああ、こっちは問題なしだ」

「僕も無事に終わりました」

「そうか。一時はどうなるかと思ったが、せっかちなビウムさんのおかげで助かったな」

「そうですね。それと気付いたんですけど、どうやらこの渋滞、納品の為に並んでいる訳じゃないみたいですよ」

「えっ? そうなの?」

「なんでも『星を空に返すならここから空へ飛び出す筈だ!』とか言って待ってるそうですよ」

「へ~、そうなんだ」


 もう言ってる間に強制帰還なのに何を言ってるんだろうなその人は? そして、それに付き合うこの人達も。時計を見れば後5分を切っている、ここに居てもしょうがないし帰るか。


「さて、俺はもう帰るつもりだけど2人はどうする?」

「見ないんですか?」

「空へ欠片が飛び出すのはエンディング演出の筈だ、流石にこんなギリギリにしたりはしないだろうさ。早ければ明日、遅くとも1週間以内には改めてお知らせが届くんじゃないかな?」

「……なるほど、確かに言われてみればそうですね。それじゃあ僕も帰ります」

「テツは?」

「することもないし俺も帰るわ」

「それじゃあパーティでエリア退出っと」


 メニューを開き、ログアウトの代わりに現れた『エリア退出』を選択。個人かパーティかを選べるのでパーティを選択する。後はいつも通り光が視界を覆い、それが消えれば転移門があるあの空間だ。周りを見渡すと既に相当な人数が集まっていた、どうやら本当に一部だけがあの言葉を信じ火口に集まっていたようだ。


「おいジン、持ち帰り用リストってのがインベントリに追加されてるぞ」

「えっ? 全部持ち帰れないのか?」

「そうみたいだな、え~っと……どうやら最大で20種類みたいだな」

「え~!? 僕持ち帰りたい素材結構あるんですけど!」

「残念だったなユキ、諦めて厳選しろよ」

「そんな~」


 ユキムラ君が落ち込んでいるがこればっかしはどうしようもない、素直に持ち帰る物を選ぶことだな。さて、俺も持ち帰る物を選ばないと。何々? インベントリの中から持ち帰る物を選択して一覧に追加する、と。空欄の数は……あれ? 18種類? テツは20種類だって言ってたのに、数え間違いか? よく見れば空欄の下に注意書が、え~と、


『従魔、召喚獣、契約獣は既にリストに入っています。空欄を開けたければ逃がす、または契約を解除してください』


 おっと、従魔達まで持ち帰る物にカウントされているとは。運営め、なんて悪どいことを考えるんだ。見ろ、ユキムラ君が更に頭を抱えてしまったじゃないか。俺? 俺は……そんなに持ち帰る物なんて無いんだよなぁ。


 とりあえずサークとエピタスは確定だし【テリトリーモニュメント】はもちろん持って帰る。【クラブシザーハンマー】を初めとした各ユニーク装備品とネイが使っているドールに一応マジックケージ、後は各ポーション類を合わせて計14種類。リストに入れてみると思ったよりあるな。


 あっ、もしかしてポイント交換品もここに入れるんじゃないか? 交換したアイテムはインベントリに入るし、可能性は高そうだ。すぐさま交換一覧を確認する。

 え~と、現在(いま)の所持(ポイント)は76万2345Pか。う~ん、100万には届かなかったか。結構色々頑張った筈なんだけどなぁ。もっと早くラビリンスに入っておけば良かったか? とりあえず30万Pの【ホームモニュメント】を交換してリストに移動、……やっぱり入ったな。これで15種類、あと5種類はどうするかな? そうだ! ユキムラ君とテツにも伝えないとな。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 集めた素材をガン無視して交換一覧とにらめっこを続けて数十分、エリア滞在の時間切れでやってくる人が溢れる中、ようやく残りを決めた。


 まずは10万Pの【マジックテント】を1つ、俺が買ったテントの効果に時間経過でLPが自動回復効果を持った上位版だ。

 次が5万Pの【中級調理セット】、初級は色々残念だったから中級だ。上級もあったのだが50万Pと高かったので諦めた。

 そして1つ3千Pの【B級食材各種】から鯛と鮭を大量に交換した、サークとエピタスはこっちの方が好きみたいだったからな。王都の市場でも魚を見たことはあるけど、塩漬けか干物しか無かったからここで確保しておこう。そして最後の一枠は、


「それじゃあこの【快樹の苗】は俺が預かっておくってことで」

「ありがとうございます! 出来る限り早く回収しに行きますから!」

「あ~、ゆっくりでいいぞ。急ぎじゃないけど俺もアインに行く用事はあるからいつかは会えるだろうし」


 結局ユキムラ君は集めた素材の3割程を諦める事になった。あんなに一生懸命集めてたのに、残念な話だ。レシピの材料が揃っている物の中でも特に効果が高い物から優先してリストに入れていたようなのだが、どうしても持って帰りたいと言うことで俺が1つ預かる事になった。

 なんでも上級ポーションを作るにはこの苗から育つ木の葉や樹液が不可欠なんだそうだ。ちなみに最初に開けた宝箱から入手したらしい、実に素晴らしい運をお持ちのようで羨ましいことだ。


「やあやあ諸君、リスト作りは順調かい? デューだよ」


 どうやら真面目口調を止めて素の話し方をする事にしたデューが門の上に現れた。このタイミングに現れたと言うことは終了の宣言、あるいは重要なお知らせと言った所か?


「まずはお疲れさま、イベントは無事終了だよ。色々とトラブルもあったけど概ね上手くいったと僕達は思っているよ。さて、一部の人を除いてみんなが絶賛制作中の持ち帰りリスト、これは通常エリアでも作れるからそんなに慌てなくても大丈夫だよ。まあ期限は1週間だからあんまりのんびりされても困るけどね。リストはマイルームに入ると出てくる『実行』のコマンドでアイテムボックスの中身に移動、召喚獣は召喚リストに、従魔は側で召喚されるよ。いないと思うけどアイテムボックスが無い人は足下に散らばるから注意してね。


 さてここからが本題。明日以降も1週間はイベントエリアに入る事は可能です。ただし、そこにはノルンもモンスターもいません、ついでに採取なんかも出来ま~せん! 軽く海で遊ぶつもりで行くのが良いんじゃないかな? それとメニューにエンディング閲覧の項目が増えている筈だから是非見てね。

 最後にランキングだけどエリア閉鎖と共に公式サイトに発表されるよ。同時に報酬が対象者にメールされるから受け取ってね。

 それでは諸君! また会う日まで、さらば!」


 デューは何処からか取り出したマントで身を隠すとそのまま姿を消しマントだけがヒラヒラと宙に舞った。そのマントもプレイヤーの誰かが触れた瞬間消えてしまった。マジシャンのつもりか? まあどうでもいいけど。さて、帰るか。

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