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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第3章 星の降る島
134/193

55『宝箱の中身は?』

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 とても広いルームのほぼ中央、青緑色の肌をした5m越えの人型の魔物【ブルーゴーレム】がその豪腕を振り落とす。


「受け止めろサーク!」

「ギィィィィ!!」


 本来の大きさに戻ったサークの大鋏がそれを受け止める。一瞬だけ腕を押さえ持ち上げるが、すぐに力負けして大鋏が少しずつ下がっていく。クソッ! 見た目ただデカイだけの青銅の像のくせして力だけは強い。

 そもそもサークよりデカイってなんだよそれ!? 大きくてもサークと同じ位の3mって話だっただろ!


「テツ! さっさと攻撃!」

「分かってる! うおりゃ!!」


 テツはブルーゴーレムの右膝裏を大槌で攻撃する。するとブルーゴーレムは右足を膝立ち状態に変える。それに伴ってか腕の勢いが落ちた。今だ!


「ぶっ飛べ! クラブシザーハンマー!」


 サークの甲羅に駈け上がりその上からクラブシザーハンマーを射出。ハンマーは真っ直ぐブルーゴーレムの頭部に直撃、そこに音もなくブルーゴーレムの体を跳ね頭上に到達したネイが戦闘中に即席で作った『マジックハンマー』を降り下ろす。ゴンッ! と大きな鈍い音が響きブルーゴーレムの頭にヒビが入る。そんな中、


「もう一丁(いっちょ)!」


 今度は左の向こう脛を叩くテツ。戦い始めの時ならダメージを与えるだけだったその攻撃は何度も足を叩き続けた結果、左足の部位破壊を成功させた。片足を失ったブルーゴーレムは体を傾け始めた。


「エピタス! 今だ!」

「クウォ!」


 返事と共にブルーゴーレムの倒れる位置に現れたのは複数の尖った岩、『シャープロック』と言う【土魔法】だ。本来なら尖った方を相手に向けて飛ばす魔法なのだが、エピタスの使える魔法は大体が地面から生えたりして配置する魔法になっている。恐らく罠、と言うより足止めに特化した形で使ってきた結果この形になったのだろう。


 シャープロックはブルーゴーレムにぶつかると瞬く間に粉々になって瓦礫へと姿を変える。しかし、ヒビが入り脆くなっていた頭部はシャープロックによって粉砕された。


「コア発見! 突貫します!」


 ノブシゲに乗って待機していたユキムラ君が槍を構えてブルーゴーレムに向けて突撃する。どうにもゴーレム系の魔物は剣や特に槍の攻撃に強くユキムラ君は遠巻きに攻撃する機会を伺っていたのだ。今その機会は来た、そしてそれを逃す理由も無い。


「ネイ! サーク! エピタス! ゴーレムを拘束しろ!」


 ネイは【魔糸】を使い両腕を地面に縫い付け、サークはその巨大なハサミで立ち上がらないように上から押さえつけ、エピタスは腰部分に【土魔法】『ロックアーチ』を発動し腰を固定した。本来は足を引っ掻ける程度の大きさの輪っかを作る魔法だが今回は巨大化させて発動させたようだ。やはり野生の魔物の方が戦い方が巧みだな、ゴウカ達の教師役になって色々教えてやって貰いたいものだ。


 ユキムラ君の槍は頭が無くなって丸見えになっている首の中にあった丸いコアを貫いた。と同時にブルーゴーレムの体がドットとなって姿を消した。討伐成功だ。ノブシゲに乗ったユキムラ君はエピタスの作ったアーチを抜け大回りに走りスピードを落としながらこちらに戻ってきた。


「お疲れさま。思い切りのいい突撃だったな」

「あれくらいしか今回出来そうに無かったんでちょっと張り切りました」

「あ~、全然効かなかったもんな~、槍」

「そうなんですよ。ゲンジロウの突撃もあまり効果が無かったですし、ノブシゲもあの大きさ相手だと角で突く事と体当たりしか出来ないのに効果があるとは言えない状態で僕まで戦力外で。サークには追い付けないし本当に最近あまりお役に立てなくてすいません」

「そういうの気にしちゃダメだって。ほら、槍がダメなら他の武器も試してみよう、ユキムラ君が憧れた武将の武器は槍だけって訳でも無いだろ。例えば刀とか弓、後は斧とかもあった気がするし、な?」

「そう、ですね。少し考えてみます」


 ふ~、危ない危ない。同じ失敗をしないようにする為に考えるのは良いけど、失敗を引きずってネガティブになられては大変だ。こういう時は気分転換に新しい事をするのも良いだろう、何か思いがけない物を見つけられるかもしれないしな。


「お~い! 2人共早くしろよ! 時間ねぇんだろ! ササッと宝箱開けて山に行こうぜ!」

「誰のせいで時間をくったと思ってんだよ」

「まあまあ、これで最後ですし広い心で行きましょう」


 そういうとユキムラ君はゲンジロウを角に留めたノブシゲに乗りテツの元へ走って行った。とりあえず問題は棚上げしたって所かな? 俺もネイ達を連れてテツの元に行くと、


「なにやってんだテツ」

「いやだってよ、悩むだろこれは!?」


 テツはブルーゴーレムが守っていた宝箱の前をウロウロしていた。ハンマーが欲しいと言うテツのワガママに付き合ったんだ、自分で言うようにササッと開ければいいものを、宝箱が人数分になった事でどれを選ぼうに変わってしまったようだ。面倒臭い。


「どれでも好きなのを開ければいいじゃないか。俺は余ったのを開けるからさ」

「いやでもなぁ、……どれがハンマーだと思うよ?」

「知らん。確実に出るわけでもあるまいし」

「そりゃそうだが、やっぱり確率の高そうな奴がいいじゃん?」

「だったら中央の一番豪華そうな奴でいいんじゃないか?」


 宝箱はそれぞれ装飾が違う。右の宝箱は赤い面が銀色の枠にはまった物、差違はあるが俺が前に開けた物と同じだと思う。左は銀色の枠が金色になり鍵穴部分に金の装飾が追加されている。中央のは更に宝石と思われる石が疎らに埋め込まれている。恐らく宝石が入ったのが一番豪華だと思いそう薦めたのだが、


「実は質素の方が当たりやすいとかあるかもしれねえじゃねえか!」

「ゲームでそんな事滅多にねえよ! 良いから早く選べって!」

「……じゃあ一番色々付いてるやつ」

「全く。ユキムラ君はどれが良い?」

「僕は一番普通なので、活躍出来たのは本当に最後だけですから」

「分かった。それじゃ俺は金枠のやつだな」


 俺達は選んだ宝箱の前に移動し宝箱に手をかける。ラビリンスの宝箱は入江で見つけた物と違って蓋を持ち上げれば開く、どうやらスイッチは海中専用の開け方だったみたいだな。さて中身は、


【テリトリーモニュメント】

『このアイテムで囲んだ領域を所有地にすることが出来る』


「……マジで?」

「キタアァァァァァァ!!」


 手に入ったテリトリーモニュメントを確認した直後真横から叫び声が響いた。振り向けば銀色に輝く片手サイズのハンマーを振り上げたテツの姿がそこにあった。どうやら目当ての物が手に入った様だ、良かったな。こっちも確認するとしよう。


 宝箱から出てきたのは拳少し大より大きめの3つの玉と5千ポイント、こいつも相当なレア物だな。何より俺が欲しかった【ランドモニュメント】によく似た効果を持ったアイテム、当たりだな。この3つの玉で囲んだ場所が俺の土地になるようだが、出来ればもう3つ、いや2つ位あれば多角形の土地が手に入ったのに。いや、とりあえず土地を手に入れられるようになったんだ、今はそれで満足しよう。


「2人共どうだった? テツは予想がつくけど」

「おいおいそういうなよ、ほれこれが俺が手に入れたハンマーだ。なんと属性が付きやすくなるんだってよ。実に助かる能力だ」

「属性が付きやすくなる? 普段は付きにくいって事か?」

「ああ。材料を揃え精霊の力を借りても約3割って所だな。だがこのハンマーならそれを約4割に出来る、な? 助かるだろ?」

「確かに4割なら結構な割合で上手く行ける気がするな」

「だろ? だろ?」


 なんだろう。嬉しいのは分かるが微妙にしつこくて面倒だな。話をずらすか。


「あ~、ユキムラ君はどうだった?」

「僕はこれです」


 そう言ってユキムラ君が取り出したのは大きな斧だ、それもユキムラ君が扱う槍ほどの長さを持った。どうやらユキムラ君には重すぎて持ち上げるのも難しいらしく地面に倒した状態で現れた。【分析】結果は、


【ブレイクアックス】

 攻撃:187 耐久値:320/320


『その名の通り破壊に特化した大斧。

 攻撃力は申し分ないが重量があるため使い手を選ぶ。』


 重量、重さで装備出来ない武器か。この場合ステータスを上げれば良いのかな? それともスキルを習得すれば補正がかかり装備出来るようになるのか? どっちだろう?


「ユキムラ君はこれをどうするつもりなんだ?」

「僕は……装備出来るようになりたいと思っています。僕に足りない部分を補えますから」

「そうか。頑張れよ」

「はい!」

「そういうジンは何が手に入ったんだよ?」

「俺はこいつだ」


 俺はインベントリに入れてあった【テリトリーモニュメント】を1つ取り出し2人に見せ仕様を説明する。するとテツが、


「なあ、土地を手に入れたらどんな事が出来るかメールしてくれないか?」

「そりゃ構わないけど、なんでだ?」

「いや、な。俺も師匠に1人前と認められたら店を出したいんだよ。その時の為にな」

「そうか、オーケー任せておけ。出来るだけ細かく書いてやるよ」

「おう、頼んだ」

「あの僕も良いですか? 僕の薬草を栽培する畑と調合する家が欲しいので」

「ああ、任せてくれ。それじゃ今度こそ行くぞ、いざ火口へ!」

「「おう!!」」


 俺達はラビリンスのボス部屋前の転移陣からダンジョン前へ移動した。時間を確認すれば午後12時20分前、ヤバイヤバイ真面目に時間がない。俺とテツ、ネイとエピタスはサークに乗りユキムラ君はノブシゲに跨がり入江に走る。急げー!!

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