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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第3章 星の降る島
129/193

50『VSエドガー』

気がついたら先々週で二周年だった

「エドガー? それはどんな人でしたか?」


 ほぼ俺が想像する人で間違いないだろうけど、一応聞いてみた。


「えっとですね、偉そうに威張ってて色々言うんですけど行き当たりばったりばかりで、結局弟さんが全部フォローしている人ですね、私も初めの頃に攻撃の要にってスカウトされたんですよ。まあ歩くのが遅いって事ですぐクビになりましたけど」


 後半の話はいいとして前半の話は心当たりがあるな。と言うかほぼ間違いなく、


「レイド戦の時の人だね」

「だな。弟がフォローってのがまさにアイツっぽいぜ。おおかた敵になったのを良いことに私怨も晴らそうって事だろ? 器の小さい事だな」


 まあ敵対している相手に妨害を仕掛けるのは普通の事だから、多分私怨と言うより弟さん、確かアルゼンだったかな? 彼が兄の鬱憤と俺達の妨害を同時にこなそうとしているのだろう、気苦労の多そうな人だな。

 誤算があるとすれば俺とエンクさんが知り合いだった事かな? さて、どうしてくれようか?


 ~~~~~~~~~~~~~~~~


「いやぁ、運んで下さってありがとうございます!」

「いえ、お気になさらず。しかし本当にそこでいいんですか?」

「ええ、問題ありません。この方が私としても面倒が少なくなりそうなので」


 エンクさんは俺達の邪魔をしない事を条件に、親亀に砲撃が届く距離まで運ぶ事を希望した。最初は渋ったが、テツの『後ろから撃たれるよりはマシ』と言う意見で彼女をサークに乗せる事になった。

 ただし、彼女はサークが挟んだ状態のままだ。この姿を見て“裏切った”とは考えにくいだろう、と言う考えからこの運び方になった。前進方向のハサミは障害物を取り除く為に使うから、後方ハサミだが。


「それで! 方向はこっちでいいんだな!」

「はい! このまま真っ直ぐ進めばエドガー達の前線基地(仮)があります! 私はそこから来たので間違いありません!」


 さて、俺達は今エドガー達をぶっつ──もとい蹴散らしに行く途中だ、なんでも各回復ポーションを高額で売ってぼったくっているらしい。掲示板でも早速悪評が流れているみたいだし、やっつけても怒られたりはしないだろう。本人達以外には。


「おっ? あれだな」


 遠くに見えたのは森の中に似合わない赤い何か。エンクさんが言っていたエドガー達のテントだろう。派手だな、


「あれじゃ狙ってくれと言っているようなものだな!」

「だな、早速潰そうぜ! で!? 具体的にどうするんだ?」

「テントのど真ん中をサークで通り過ぎる!」


 シンプルイズザベスト、と言うかエドガーにあまり時間をかけていられない。俺達には子亀を親に届けるクエストがあるのだ。もし時間をかけて親亀が撃退されてしまえばクエストは失敗だ。

 なので一瞬で終わらせよう、幸いサークの大きさと突進力ならそれが出来る。さあ、突撃だ!


「サーク! ゴー!!」

「ギィィィィィィ!」


 サークが雄叫びをあげながらテントに向かって猛進していく。木を踏み倒しながら近づく以上当然エドガー達も気付く。が、既に手遅れ。エンクさんの砲撃を防ぐ事の出来るサークが、あんな鉄砲程度で倒される訳が無い。


「撃て撃て! ただデカイだけの蟹などさっさと排除しろ!」


 おや? あそこに見えるは件のエドガーではないですか? と言うかお前は指示するだけで自分は銃を撃たないのかよ。他のみんなはサークに向かってパンパンと銃を撃っていると言うのに。まあサークが全部ハサミで弾いちゃってるけど。


「団長! 歩兵銃(これ)じゃダメです!」

「弱音を吐くな! 弾かれてもダメージは入る! いずれ倒れるわ!」

「その前に弾が尽きます! あれを使いましょう!」

「バカか!? あれは奴への切り札だ! 蟹ごときに使ってたまるか!!」


 どうやら切り札的な物があるようだな。でももう遅い。サークのハサミがお前の仲間に届いたぞ。一番手前でサークに攻撃していた人をサークがハサミで殴り飛ばす。そしてその人は森の何処かに飛んでいった。


「よっし! サークどんどん行け!! テントも潰せ! 全部潰せ!」

「……お前なんかテンション高いな」

「えっ、そうかな?」

「いや、お前が気にしてないならいいんだ、うん」


 何やらテツが変だが気にせずサークに指示をとばす、あっそうだ。


「ネイ、合図」


 ネイは指を動かし糸を引っ張る、すると、


「きゃーーー、誰か助けてくださーい!!」


 う~ん、ちょっと棒読みっぽいけど、あれだけ慌ててるし上手いこと騙されてくれるかな?


「おい! あれ見ろ!」

「あっ! 爆破女が挟まれてる! なんで!?」

「団長ぉ! どうしますかぁ!?」


 おう! 結構良いかん──


「役立たずごと撃て! どうせ居ても邪魔なだけだからな!」


 ダメだった、予想以上にエドガーの決断が早い。仕方ないさっさと──


「ちょっとぉ! 誰が役立たずですか!!」

「あぁ? お前に決まってるだろブス! ただでさえ邪魔なのに足止めすらできない奴なんざ、役立たず以外になんて言えばいいんだ? あぁ!?」

「誰がブスですか! ビジュアルだけなら学園の五本指に入ると言われる私に向かってブス等と、許しません!!」

「ハッ! そんな無様な姿で何が出来るってんだ? ブ~ス!」

「また言った! もう許しません! 蟹さん、あのゴミを焼却処分しますので離してください! 早く!!」


 エンクさんはエドガーを怒鳴る勢いのままサークに話しかけた。サークはエンクさんに気圧されたのか、動きを止めてしまった。ちょっとちょっと、何してくれてんのこの人。


「エンクさん! あなた一応人質なんだからおとなし──」

「人質の価値がないってことはあのゴミが証明しました! 既にこの状態に意味はありません! 今すぐ私を解放してください! 私はあの生ゴミを処分しなければならないのですから!」


 ダメだ、頭に血が昇ってこっちの話を聞く気がない。全く面倒な。ならお望み通りにしてやろうじゃないか。


「サーク、ハサミを開け」

「きゃっ!?」


 サークは四本のハサミを全て開きエンクさんが地面に落ちた。別に全部開かなくても良かったんだが、まあいいか。そうだ、今の内に次の準備をして──


「ハッ、バカめ! 俺がなんの意味もなく喧嘩なんてするわけ無いだろ? おいエンク! 解放してやったんだ! さっさとそこの無駄にデカイ蟹に攻撃し──」

「バカは生ゴミのあなたです! くらいなさい新作砲弾『ナパーム』、発射!!」

「ギャァァァァ!?」


 エドガーが、俺達が策にまんまと引っ掛かっていた事を証明するかのような発言をしている間に、エンクさんはインベントリから砲台を取りだし、弾を込めて構え、発射した。

 発射音がした次の瞬間にはエドガーの体は炎に包まれ、今は地面を転がっている。なんか凄いな! おっと、見ている場合じゃなかった。今がチャンスだ!


「ネイ引っ張って! サーク! コイツらはもういい、走れ!!」

「ギ、ギィィィィィィ!」

「あ、ちょっと待ってぇ!? まだ試したい弾があるのにぃぃぃぃ!!」


 ネイにはエンクさんが落ちた時に、エンクさんの体に糸を巻き付けておくよう言っておいた。約束は親亀に砲弾が届く位置まで運ぶことだし、約束は守らないとな。エンクさんは仰向け状態で甲羅に引っ付いている、不機嫌そうな顔で。この人も本当に仕方ない人だな。


「その状態でも砲弾は撃てるんじゃないですか?」

「……おっ、確かにそうですね。それじゃよいしょっと、ファイヤァァァァ!!」


 エンクさんは撃てると分かるとすぐさま砲撃を開始した。なんか後ろが激しく燃えている気がするが……気にしないでおこう。雨でも降れば落ち着くさ、確かリアルの明日は雨だった筈だしな。


「ジンの知り合いみんなこんな感じじゃないよな?」

「え? なんか言った?」

「いや、気にするな、どうせ俺には関係ないしな」


 テツが小声で何か言っていたが、本人が気にするなって言ってるし特にこれと言った事ではないのだろう。さあ、目指せクエストクリア!

誤字報告機能? とか言うのをONにしました。

さあ! どんと来い!


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