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堕落生徒の騎士物語  作者: なるる
4/4

決闘なんて…だるい…

またもや体を引っ張られて5分。少し頭がクラクラする…


目の前がぼやけて…





ドサッ…




「リン君頑張ってー!!」


気が付いたら、闘技場の真ん中に立たされていた。


観客席にはちらほらと人が見える。二、三十人はいるだろうか…


少し離れたところでハル先生が応援している。どうしてあの先生はいつもこんなに元気なのだろうか…


闘技場は円形の形をしている。真ん中には半径10メートル程度の円形フィールドがあり、その周りを観客席が囲んでいる。


目の前の視線を戻す。そこには赤い髪をした、女の子が立っていた…すらっとした手足と、着崩すことなくしっかりと制服を着ている様子から、彼女の性格がうかがえる。


まぁ…対戦相手だろう…


「よろしっ…


「話しかけないで」


えっ、まって、ものすごく睨まれた…


なんだろう…何かしただろうか…めんどくさい…


「先生、早く決闘を始めてください。このような人といるのは不快です。」


さらに、罵倒までされる。僕がこの人に何かしたのだろうか…


「神城さん、言葉遣い、よろしくありませんよ。」


審判役の先生だろうか。闘技場の真ん中に立つ先生に諭されると彼女は


はっ、と顔を赤らめるとバツの悪そうに制服の裾を握りしめた。


「えーと、で、先生。対戦相手はこの女性ですか?」


「そうです。神城彩音さん。二年生です。」


なるほど…この子とするのか…彼女の顔を見ると明らかに睨んでいた…絶対に、これ、めんどくさいやつだ…


「それでは、決闘を開始します。両者ともに準備はいいですか?」


審判役の先生が僕たち2人の顔を覗き込み、確認する。


彼女も僕も頷く。こうなったらさっさと終わらして帰ろう…


「それでは、決闘…始め。」


高らかに宣言されたその声を聞くと同時に、僕は彼女の方へダッシュして詰めるよる。早く…終わらさせたい…


バシュッ…


僕の右肩に鈍い痛みが走る。いや、痛みというより…


熱い。ひたすら、熱い。


見ると彼女の手からは燻った煙が上がっていた。


彼女がもう片方の手をこちらに向ける。


まずい…


とっさに、右に飛び回避する。僕が今いたところには大きな固まらはとなった炎が通過していった。


くっ…めんどくさい。


「私はね…あなたみたいな適当な人間がだいっきらいなの!!!」


そういうと、炎が連続で飛んでくる。どうにか避けるが、普段無駄な運動などしない僕の体力がほとんどないことは自明だった。


バシュッ…


炎が右足をかする。


くっ…痛みに顔をしかめるが、止まっている場合ではない。そのまま避ける。


このままでは焼け死ぬ…


めんどくさいけど…使うしかないかな…


「ねぇ…僕が適当人間だなんて、誰が決めたんだい?」


回避しながら彼女に問いかける。


彼女はただただ僕を睨む。


はぁ…聞く耳なしか…


じゃあ、やりますか…


僕は避ける進路を横ではなく縦に…つまり炎に突撃した。


「えっ…」


彼女の息を飲む音が聞こえる。



ここで一つ考えて欲しい…僕はだるいことから逃げることを究めていると自負している。ただあくまでそれだけなのだ。最低限やらなければいけないことはすべて、しかも最少限度のエネルギーでこなしてきている…


まぁ…つまり


僕は手を炎に向けると、何度か見て、足に食らって見積もった、最低限度炎を相殺するのに必要な水魔法を唱える。


ジュッ…


鈍い、音がすると同時に白い蒸気の中をくぐり抜ける。


目の前には彼女の驚いた顔がくっきりと見える。逃げ回っていた相手が突然向かってきたら誰でもそうなってしまう。


そのまま後ろに回り込み手に最少限度の力を込めて首筋に叩き込む。


たぶんこれが最少エネルギーでの攻略なはずだ天才


「神城さん、試合続行不能により、決闘の勝者は星空リン!」


審判の先生が声を上げる。


見に来ていた生徒達が息み、驚く声が聞こえる。


うん…?


あれ?


なんでこんな留年生の決闘なんてものをこんなに人が見に来てるんだ?


いやな予感がする。僕の怠惰センサーが危険を察知したときには遅かった。


「星空 リン。よくやりましたね。これであなたも騎士です。」


後ろにはいつの間にか校長先生が降りてきていた。


「あっ、…ありがとう。ございました。これで僕は 騎士ランク星2。進級できますよね?」


恐る恐る確認をとる。


そんな僕に校長先生は告げる。


「あれ?言ってませんでした?神城彩音さんは、騎士ランク 星5ですよ。決闘された方と同じランクなので、星空 リン君。あなたも これから星5です。社会奉仕ならびに学校への奉仕。頑張ってくださいね!」


彼女の顔には笑顔が浮かんでいた。


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