表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜となったその先に  作者: おかゆ
第三章 ドラーク学院
64/86

第64話 瞬間、近づく

「セト様・・・先ほどのはいったい・・・」


スティールが何かを聞いてくる前に、その口を素早く手で塞いだ。


「頼みます、何も聞かないでください。 俺自身よく分かってないんですから」


お願いというよりは命令といった方が正しい口調で言い放った。

流石に神竜であるセトにそう言われてしまえば、スティールはただ頷くしかなかった。


角を触られた余韻で、まだ魔力が安定しない。

魔力を偽装できる魔法を習得しておいてよかったと心底思った。


「アーサーめ、いったいいつばらすつもりでいるんだ・・・」


俺の溜息交じりの呟きを聞いて、スティールも同意するように溜息を吐いた。


そもそも、どこでそのタイミングを計るというのだろう?

そろそろ学院祭の時期だそうだが、まさかそこで・・・?

派手なことが大好きなアーサーのことだ、十分ありえる。


・・・このドッキリを承諾したのは俺自身だ。

こうなりゃ俺も飛び切りのサプライズ考えてやる。


『セトさん?』


おっと、いつの間にか職員室に着いていたようだ。


「ただいまルティ」


『どうかしたんですか? 何か考え事ですか?』


「ああ、このドッキリ、どうせだから俺も派手にいこうかなと思ってさ」


ルティが酷く驚いた顔をした。


『珍しいですね、アーサー様みたいなこと考えるなんて』


「そのアーサーのドッキリにのったのは俺自身だろ? どうせなら思い切り驚かせてやらないとつまらないと思ってさ」


ルティは納得したようで、そうですね、僕も協力します! と翼をはためかせた。

だから羽が・・・まあいいか。


「俺の予想だと、あの人絶対近々行われる学院祭でばらすつもりなんじゃないかと思ってる。 こういうことに関しては、アーサーは綿密に計画を練って動くはずだから、結構事前にいつばらすか教えてくると思うんだ。 俺たちの計画はそのときに決めよう!」


『はい!』


いたずらをするようでなんだかとてもワクワクする。

それまでは絶対に誰にも竜だと悟られないようにしなければ・・・。







 + + + + +







放課後、下校や部活動などで皆帰ってしまった後の教室に、人影が二つ。

デルタとロムだ。


「セトさんのこと、探偵雇ってちょっと調べさせないか?」


デルタの発言に、ロムはやれやれと首を振った。

またそういうことを簡単に言う。


「探偵なんて雇ったことあるのかい?」


そりゃあないけどとデルタは口篭る。

貴族の子供が政略結婚なんかをするときに親が相手の素性を知るために雇うことはあるものの、子供が直接雇うことはまずない。

当然、雇い方も知らない。


「お、親に頼もう!」


「ご両親になんて言って雇うつもりなのさ・・・」


学校の先生の助手が竜だからどういう竜なのか調べたい、なんて言った日には大騒ぎになる。

貴族は真新しい質の良い情報を欲しがる。

デルタの両親の口から少しでもセトさんのことが漏れれば、たちまちその情報は広まってしまうことは目に見えている。


「いいかいデルタ、このことは僕たちが直接調べるべきだよ。 ・・・どうしても知りたいならね」


デルタは何も言い返せなくなり、しばらくうーんと唸っていたが、納得したのか分かったと頷いた。


そういえば、とロムが切り出した。


「もうすぐ学院祭だね。 うちのクラス、出し物はあれだよな」


「変身魔法だろ? 学院のトップクラスだから実力を見せようってことになったんだ。 上級魔法だからな、出来ない奴も今猛特訓してるの、知ってるだろ?」


「ああ、グラウンドでたまに見かけるね。 デルタは何に変身するの?」


聞かれたデルタはよくぞ聞いてくれましたとばかりに胸を張った。


「俺は竜! 今年現れた『漆黒の天竜』に変身する!」


「・・・なんか、予想はついてたよ。 じゃあ僕はアーサー王に変身するから、君とペアでいつかの新聞の見出しを真似しないか?」


「お、それ名案! やるやる!」


決まりだね と二人は笑顔を交わし、セトを調べる話はどこへいったのか、早速練習に取りかかった。








 + + + + +








右大臣左大臣と共に王の間で仕事をしていたアーサーの元に新聞が届いた。

一番大きな見出しに、「ドラーク学院 学院祭間近!」とあるのを見つけ、「そろそろか」と呟いた。


その呟きに気持ちの昂ぶりが読み取れたのか、大臣二人は顔を見合わせてクスリと笑った。


「セト様のことですか?」


「ん? おお、そうなのじゃよ。 セトを送り込んだドラーク学院で、もうすぐ学院祭があるそうじゃな」


「ああ、そうなのですよ。 私の娘から昨日手紙が届いたところでした。 私はまだ行ったことはありませんが、大変賑やかな祭りだそうですよ」


と左大臣。


「私の息子のクラスでは変身魔法を使った出し物をするらしいですぞ。 変身魔法なんて上級魔法、息子にできるのだろうかと心配しておるところです」


と苦笑しながら右大臣が言った。


「自分の息子を信じてやらんでどうする」


アーサーは笑いながら応え、不意に手紙を書き始めた。

内容は、ドラーク学院長に宛てたちょっとしたお願いだ。

アーサーからすれば〝ちょっとした″だが、学院長からすればれっきとした依頼書。

それを知っている大臣二人はただただ苦笑するしかなかった。


(学院長の腰を抜かす姿が目に浮かぶようだ・・・)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ