レンズは綺麗好き
掲載日:2012/04/25
『目玉を舐める』シーンがありますのでご注意を。
【姉さまと私】
「スピカ」
「はい?」
ぺろり。
まるでキャンディーを舐めるみたいな感じでした。
***
私の目がキレイだと、姉様はよくおっしゃいます。
光の中でかがやく時も、闇の中にしずむ時も。
私の目はひどく美しいのだと、いつもいつも褒めてくださるのです。
「だから、ついなめてしまったの」
「いきなりごめんなさいねぇ?」
舐めたあとに、姉さまはそう言って笑うのがお約束でした。
でも(たとえ宣言されてからでも)目を舐められては、いくらノーテンキでオテンバらしい私でも、気にしないでいるのはちょっと無理な相談です。
今日も、ひんやりした白い手が伸びてきました。
きゅっとそれに挟まれたなら、それが合図。
だんだん近付いてくるお姉さまのお顔。
そして、剥き出しの生あたたかいねんまくの温度。
ほんの一瞬目の前が真っ暗に染まりました。
ちょっぴりきゅうってされて、いわかんに目をつぶらずにはいられません。
目薬をしたあとみたいに、パチパチとまばたきを繰り返している私の耳元で、姉さまは同じことをささやくのです。
「綺麗なのよ、スピカ」
「ありがとうございます」
(でも、)
……姉さまがお好きなのは、私の『目玉』だけなのでしょう?
褒めて下さるなら、別にいいですけどね。




