表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

1章06 一方その頃

***




その頃「魔法師の森」の入り口付近では、ケイを見送った神殿兵2人が、見張り台で夜を迎えようとしていた。


「生存報告の煙、上がらないな…」


「だから言ったんだ、どうせ異世界人もすぐに死ぬって。今回の調査もダメだったってことだろ」


「でも、特異体質を持つ異世界人に拳銃(けんじゅう)まで持たせたんだぞ? そうだ、今回は銃がある! だからせめて、1日目くらいは生きていても…」


「今日、一度でも銃声を聞いたか? 聞いてないだろ。つまり、異世界人は銃を使ってない。銃を使う前に()られちまったんだ」


「…そんな…」


「なんだよ。お前、この数日で異世界人に惚れでもしたか?」


「ん、んな訳あるか! ただ、兵士長の言葉がずっと引っかかってるんだ。この調査は、神殿が勢いを取り戻すために重要だって…」


「ああ。最近の神殿は、少し力を失ってきてるからな。150年前の事件も原因の1つではあるけど、数年前に外国から伝わってきた『医学』が特に厄介なんだ」


「医学…」


「今まで、体と心の傷を癒すのは神力の仕事だった。でも『医学』がやって来てから、その立場は徐々に揺らいでる。

だからここで西神殿を取り返して、神殿の権威を復活させようって算段だったんだ」


ヒュウと肌寒い風が吹いて、簡素な見張り台を荒涼とさせていく。眼下に広がる街は貧民街で、灯り1つ見当たらない。

医学を語っていた神殿兵は、手元に置いてあった銃を肩にかけ、煙草を口にしながら立ち上がった。


「150年前、大神官様が大魔法師に殺されてから、力の差はハッキリした。どうやら神力は、魔力に()けてしまうらしい。だから俺達は銃を発展させてきたんだ。

…でも結局、銃がどれくらい魔法師に効くのかは分からずじまいだったな。さ、早く宿へ戻って、兵士長に異世界人は死んだって報告しようぜ」


そう言って見張り台の梯子(はしご)に片足をかけようとすると、


「僕は、空が暗くなるまで見張っておくよ。もしかしたら煙が上がるかも知れないし」


「ええ…お前、もしかして本当に異世界人に惚れたの?」


「ち、違う! もういいだろ、お前は戻ってろ!」


叫んだもう1人の神殿兵の声が、暗い森の中へと静かに響いていく。まるで呼応するかのように、木々の中からカラスが数羽飛び立っていった。

次回 1章07「部屋から脱出」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ