ミズリス敗れる
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてChatGPTを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
・ 世界観・キャラクター・ストーリーの基盤は完全オリジナル(整理や補助を行ってもらうことはあります)
・ プロットは自身で立案(ストーリー展開、キャラの行動、テーマ性などを自分で組み立てています)
・ 重要なセリフ・行動・心情変化はすべて文章で指示(キャラクターの一貫性を重視)
・ プロットをもとに叩き台の原稿を出力 → 30%以上の加筆修正(表現のブラッシュアップ・個性の強化)
・ 執筆の過程で違和感のチェック・校正を補助的に利用(つなぎの違和感や文章の整理)
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「ChatGPTをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
「ガキ……“父上”を呼んでこい。死ぬぞ、そいつ」
フレイアが静かに告げた。声音は淡々としていたが、その底には確かな圧があった。
ミズリスは肩で息をしながら、それでもフレイアを睨みつける。
「……っ、私が、若さまを……」
庇うように立つ彼女の足が、微かに震えた。ダメージが深い。ここまでの魔術の応酬で、すでに限界が近い。
しかし、退くわけにはいかない。若さまを、守るために。
「それはできないよ」
若さまの声が響いた。ゆったりとした、どこまでも飄々とした声。
「……なんだと?」
フレイアの声音には僅かに驚きが混じっていた。この状況で、"父を呼ぶ"という選択を拒む――?
若さまはミズリスの肩にそっと手を置いた。彼女が反射的に振り向く。
「……ミズリス、まだ立てる?」
その声音は優しかった。突き放すものではない。
ただ、彼女の意志を確かめるような問いだった。
ミズリスは荒い呼吸の中、僅かに頷く。
「……はい」
若さまは目を細めると、ゆるりと視線をフレイアへ向けた。
「ねぇ? "女の人"。引いてくれない? いまなら"まだ間に合う"よ?」
言葉は静かだった。だが、その一言が場の空気を微かに変えた。
フレイアの瞳が細められる。
「"勘"がいいな……ガキ」
そう呟いた直後、フレイアは無造作にフードを外した。
隠されていた銀髪が、さらりと風に揺れる。鋭く整った輪郭、しなやかな眉。そして僅かに唇を歪めた表情――戦場の中でも、その存在感は揺るがない。
若さまは、それを見ても特に驚いた様子はなかった。
まるで「最初から知っていた」とでも言わんばかりに、穏やかに微笑む。
「……詠唱を隠すつもりは、もうないんだね?」
フレイアの唇が、微かに歪む。
「魔術師はな、表情を隠すもんだ。詠唱を予測まれたら、不利になるからな」
フードの中に潜ませていた指先が、ゆっくりと解放される。
「……でも、もういい。お前ら相手に、そんな小細工は必要ない」
その仕草には、もう"隠す"という意識がない。
「で? 何か言ったか? 聞かなかったことにしてやる"父親"を呼べ」
鋭い眼光が若さまをとらえる。
「メイドがどうなってもいいのか?」
問いかけではない、脅迫だ。
そして、それに対する若さまの答えは――
「どうでもいいわけがないよ」
言葉に迷いはなかった。静かに、けれど確かな意思を込めて。
「でも、呼ばない」
そう言うと、若さまはゆっくりとミズリスの前へと歩を進めた。
ミズリスの瞳が、驚きに揺れる。
「……若さま?」
それはあまりに自然な響きだった。
「僕がミズリスを守る」
フレイアの瞳が、わずかに細まった。
「……冗談か?」
その言葉の裏に滲むのは、確かな苛立ちだった。
だが、若さまは相変わらずの飄々とした態度を崩さない。
「ううん。本気だよ」
フレイアの指先が、わずかに動く。
「……そうか」
次の瞬間――雷撃が奔った。
バチィッ――!
青白い閃光が炸裂する。空気が弾け、稲妻が地を焼いた。
若さまの体が、弾かれるように吹き飛ぶ。
「若さまっっ!」
ミズリスが即座に駆け寄る。
だが、その動きを見透かしていたかのように、フレイアが手をかざした。
「動くな」
ゴッ!
雷火の奔流が放たれる。
ミズリスは咄嗟に防御を展開し、己を包むように水の障壁を張る。
ズガァァン!!
爆風が弾ける。衝撃でミズリスの足が僅かに沈む。
(まずい……っ!)
ミズリスは歯を食いしばる。
すでに消耗が激しい。回避も防御も、限界が近い――。
だが、それでも。
「……まだ、下がれません」
ミズリスは立ち上がる。若さまを庇うように、その前に立つ。
フレイアがそれを見て、僅かに目を細めた。
「……なんだよ、それ」
淡々とした声音。
だが、その奥には確かな苛立ちが滲んでいた。
「庇って、庇って……で、それでどうする? そのまま焼かれて終わるか?」
嘲るような口調。
しかし、その手は止まらない。
フレイアは、ふと視線を横へ流した。若さま、ミズリス――どちらも、立っている。
「……どっちもだ」
フレイアがほんのわずかに首を振った。
「"若さま"……お前は死ぬぞ」
バチッ、と雷が弾ける。
「……メイド。お前もだ」
今度は炎が揺らぐ。
どちらも庇い合おうとする。
どちらも譲らない。
フレイアの指が、ゆっくりと上がる。
「どっちが先に焼けるか……試してみるか?」
その瞬間、雷と炎が絡み合い、フレイアの手の中に凝縮される。
今度こそ本気の一撃が……来る。