38話 起きたら知らない場所なんだけど!?【sideミルフィ】
ジミーと二人きりになったものの、前世の記憶の秘密はどうにか死守できたわ……。
しかしジミーの事情聴取は、もはや尋問だった。丁寧ではあったけど、ネチネチと攻めてくるので、もう怖くて怖くて……。
その後、軽い擦り傷などの治療なども負えて、解放感と疲労から医務室のベッドでスヤァと眠ると——
「ん?」
なんと目が覚めた時には、医務室とはまったく別の部屋にいたのだった。
なぜ分かったかというと、まず開いた目に飛び込んできた天井が全然違う。
え、これっていわゆる天蓋付きのベッドだよね、あのお姫様とかよく使ってるやつ。こんなもの学園の医務室にあるわけがない。少なくとも私が寝た時にはなかった。
身体を起こして、更に部屋の中を見回してみたところ、この部屋そのものが広くて随分と豪華なのに気づく。なんだろう、この高級ホテルというか、ザ貴族の部屋みたいな作りの部屋は……一応、私の実家である男爵家も貴族だけども、財産はそこまでないので、こんなに豪華な部屋などは存在しない。
もしかして私、誘拐されちゃった? いや、でもこんな扱いを受けるなんておかしいわよね……。
疑問にただ首を傾げていると、自分の服も寝る前とは違うことに気づいた。
き、着替えさせられている!? なにこれ、寝ている間に勝手に知らない場所に連れてこられている上、服まで着替えさせられているとか、より怖いんですけども……!!
輪をかけて理解不能な状況に、私が一人で恐怖に震えていると、この部屋にコンコンとノック音が響き「失礼いたします」という言葉と共に扉が開いた。
そうして部屋に入ってきたのは誘拐犯と思しき人物……ではなく、この部屋によく似合う品の良いメイドさんだった。彼女はベッドで身体を起こした私と目が合うと、深々と礼を取った。
「お目覚めになったのですね。何か不調はございませんか」
「……いえ、大丈夫です」
「さようでございますか。ああ、ご挨拶が遅れましたがわたくしの名前はルフナ・ダブランと申します。よろしくお願いいたします」
「あ、こちらこそご丁寧にありがとうございます。ミルフィ・クリミアです」
なんか知らないけど丁寧な自己紹介をされたので、つい反射的に私も自己紹介を返してしまった。いや、だって、そういうところをちゃんとしないと色々気が引けるじゃないの。
「それから事後報告になってしまいましたが、ミルフィ様がおやすみの間にお着替えをさせて頂いたので、合わなければ仰ってください」
「……」
服を着替えさせた犯人はアンタかい!! これで一つ謎が解けたけども、一番重要な問題の、なんでここにいるのかが全然分からない……もしかして、このルフナって人に聞いたら教えてくれないかな。
「あの、すみませんが私がどうしてここにいるのか、教えて頂けたりしませんか?」
「それは昨日、わたくし達の主が貴方様をこの屋敷に連れてこられたからでございます。そして、わたくしは貴方様の身の回りのお世話を仰せつかっております」
悲報、自分が知らないうちに知らない屋敷まで連れ帰られていた件。しかもぐっすり寝ちゃってて一晩開けちゃってるし。
いや、誰よ!? いくら私が可愛いからって、そんな勝手なことをしてくれちゃってるのは!!
「出来れば、貴方のご主人様のお名前も教えていただけますか?」
「我が主のお名前は……チャーリー・クレイ様でございます」
チャーリー・クレイって……ジミーじゃん!! ちょっと、何してくれているのかな!?
「そうなんですか、ではそいつには今すぐ会えませんかね~?」
「それは少々難しいかもしれません。ただいま外出されておりますので」
アイツ、勝手に人を連れてきたうえに外出しているんだ、へぇ~
……いやいや、おかしいよね!?
「それでは、いつ戻りますか? なるべく早く話をしたいんですけど」
「申し訳ございません、それはわたくしには分かりかねます。お戻り次第お知らせいたしますので、どうかご容赦ください」
私の言葉に、メイドさんはそういって深々と頭を下げた。こうなるといくらイラついているとは言え、なんの非もない彼女をこれ以上問い詰めることは出来ないわね。
はぁ……仕方ない、どうやらお世話はしてくれるみたいだし、おとなしくジミーを待つか。
あまりのんびりできる状況ではない気がするけど、これはもう仕方ないからね。まったくもう。
……流石にすぐ戻ってくるわよね? ね?




