すっぽかされた朝練
初めて小説を書いてみるので読みにくい部分が多々あると思います。
先ほどから降りだした雨は、ザーザーと音を立てながら激しく降り続けている。
現在時刻は7:20。登校してくる生徒は見えない。そのため、校舎内は静寂に包まれており、どの教室も電気がついていない。幽霊でも出てくるんじゃないかと思うほどに薄暗い。
1日の始まりにはまだ時間がある千葉県立明清高校の1年生用昇降口の前に俺はいる。
スマホを使って今日の天気予報を見ているのだ。それによるとあと20分ほどで雨はやみ、午後からは晴れてくるらしい。
このままだと午後練は普通にあるなと考えていると、プルルルとスマホから着信音が鳴った。電話の主はこんな時間から学校にいなければならない原因を作った俺の友人である後藤雄二だ。
『……もしもし』
「もしもし、後藤、今何時?」
そんな俺の質問に彼はおどおどしながら返答する。
『……7:40です』
「うんそうだね。俺ね今、学校に居るんだよ」
『……はい』
俺は畳み掛けるように言葉を放つ。
「なんで俺がこんな時間に学校にいると思う?」
『……俺がテニスの朝練に誘ったからですね』
「そうだね。正解だよ。大当たりだ。お前が朝なら自由にコートを使えるから朝練しようって言ってくれたから、今俺はここにいるんだよね」
『……はい』
「それで、お前はどこに居るの?」
彼は少し言いづらそうに答えた。
『家……ですね』
「おかしいよな。本当だったら今頃、雨に打たれて俺と一緒に昇降口に駆け込んでるはずだよな」
『……はい』
少しの間を挟み、俺は彼に質問する。
「何か言うことは?」
『あの…本当にすいません』
彼はとても申し訳なさそうに謝罪の言葉を発した。
「次はするなよ」
『はい、もちろんわかってます』
少し言い過ぎだろうか。彼の声色は小学生の頃の俺が友達に書道の墨をぶっかけてしまって謝るときくらい弱々しく、申し訳なさを感じさせる。
「でも正直、好都合だったよ。感謝してる」
『?…なぜ?』
俺の返答は彼にとって想定外だったのだろう。
まぁそうだよな。約束をすっぽかしたのに好都合とか言われたら何を言っているんだこいつってなるに決まっている。
だから俺は彼に優しく返答する。
「いや~実は、今日提出の課題を教室に忘れてきちゃってさ。だから朝練終わったらダッシュで教室に行って課題をやらなきゃとか思ってたの。だからそれをする時間ができて本当に感謝してるんだよね」
嘘だ。紛れもない嘘。俺は課題をしっかりと終わらせるタイプだし、そもそも今は課題なんてどの教科からも出ていない。
『そうなのか?』
彼の声には安堵したかのような落ち着きがあった。
「うん、だからあんまり気にしないで良いからな」
『いや俺の反省の意を込めてなんか飯を奢るよ』
「いいってそんな」
彼の提案に少し驚きながらも俺はやんわりと拒否した。しかし、彼の決意はとても固いようで。
『いや、そうしないと俺の心臓が申し訳なさで破裂するから奢らせてくれ』
「まぁそれなら焼き肉でも奢って貰おうかな」
『わかった。なんだろうと絶対に奢らせて貰うぞ』
彼の声には確かな決意が感じられた。
どうしよう俺はほんの冗談のつもりで言ったのに……
「えっと……まぁ何を奢って貰うかはまた今度決めるよ。それじゃ俺は教室に行って課題をしなきゃいけないからもう電話切るな。また午後練で会おうな」
俺は彼との電話を切った。
そして、自分の教室がある4階へと階段を上がり始めた。
幽霊の少女と出会うところまで書こうと思ったら、なんかキリの良いところがここになったので、ここで終わらせます。ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。