みんな菊池が好きなんだよ
「あたしを……許してくれるの?」
夕陽の中、あたしを見るみんなの笑顔が優しく並んでた。
「あんなこと……したのに?」
ごめんなさい、ごめんなさい──頭の中ではその言葉ばかりが巡るのに、なかなか口から出てこない。
唇を震わせるばかりのあたしに、笑顔のみんなが口々に許しの言葉をくれる。
「いいんだよ」
「大丈夫、気にしないで」
「どうせ前半すっ飛ばしてるから読者さんには何があったかなんて、わからないよ」
「笑ってよ、菊池」
「……なんで?」
あたしは泣きそうになりながら、震える声を振り絞った。
「なんで許してくれるの? あたしは……自分が許せない!」
するとリーダーが前に出てきて、あたしの肩をぽんと叩いて、夕陽とにっこり笑顔がぴったり重なって、あたしはその言葉を聞いた。
「みんな菊池のことが大好きなんだよ。理由なんて、それだけでしゅうぶんだろ」
言葉が胸に染みた。
あんなことをしたあたしをみんな許してくれた。
もう、絶対にあんなことしないから。
だからいつまでも、菊池を好きでいてほしい。
──なんて
そんなお願いをするまでもなく、みんな無条件に菊池のことが好きなんだな。
心から愛してくれてるんだな。
そう思ったら、同時に笑顔と涙が止まらなくなった。
(了)
長い間のご愛読、ありがとうございました(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾ぺこ