その瞳に映るのは
クレアの手は短髪で燃える炎のようなファイアーレッドの髪に澄み渡る海のようなマジョリカブルーの瞳を持つ青年に掴まれていた。そう、ノエルだ。
「クレア。王族に雪玉をぶつけようとするな、馬鹿か!」
「ノエル」
ノエルがクレアに怒り、それで我に帰ったのかそっと手を下ろし、そのまま雪玉が溶けていった。
「遅いからノエルと迎えに来たよ、クレア、スピカ。それと、城の皆があなたがたを探しておられる、城に戻られることをオススメします。」
後ろからそっとやってきた、深いエメラルドグリーンの長い髪を後ろでまとめ、暁にさす朝日のようなカーマインの瞳を持つ青年がやってきた。リーフのことだ。リーフはルーズベルトとフィンセントの姿を見た瞬間に2人が皇子とすぐに見破った。その後、ノエルがスピカの前に行き
「心配させんな、ばーか」
ノエルはそのままスピカのおでこにデコピンをしていた。
「痛!もう、ごめんて。それにしても強すぎ!おでこ痛い!」
スピカが頬をプクッとしながら、軽い力でぽこぽことノエルの肩を叩いていた。でも、ノエルは嫌がることはなく逆に嬉しそうに笑っていた。
「皇子、手綱を渡して頂けますか?」
ルーズベルトはそのまま手綱をノエルに渡していたが、フィンセントは気付いた。ルーズベルトは物凄く嫉妬をしている。ノエルという青年が誰だか分からないルーズ。服装的にスピカの護衛だろう。しかし、護衛の立場ならあのような態度は許されない。もしかしたら、婚約者かもしれない。そんな疑問がたくさんのあるのだろう。一方、もう1人の青年であるリーフがクレアの髪にそっと触れ、頭を撫でている。
「落ち着いたか?また、今度はココとピウイと走りに行こうか。タルトを作ったから早く帰ろう。」
「うん!」
クレアは甘々に元気よく返事をしていた。その表情はまるで愛している人を見つめる表情だった。そのまま、そのリーフの一方後ろに立ちそのままノエルとアイコンタクトをとって歩き出した。
「待て、其方達名乗れ!」
フィンセントが自分でも驚くくらいの低い声が出た。
「名乗るほどの者ではありませんので。それでは失礼します。」
リーフは最後の最後まで名乗らなかった。そのまま歩いていき、彼らはその姿を見てるしかなかった。そのまま城まで行き、使用人がガミガミ怒っていたがそんなのは全く頭に入らなかった。フィンセントの部屋に2人で行き、
「ルチア、シャルルいるか?」
「「はい、ここに」」
マンダリンオレンジの髪を1つの三つ編みに右脇に垂らし、ピオニーパープルの瞳を持つルチアと呼ばれたフィンセントの侍女とスノーホワイトの短髪の髪を持ち、ターコイズグリーンの瞳を持つシャルルと呼ばれたルーズベルトの側近がやってきた。
「ルチア、グレイシア・サファイアという娘とその子の側にいるであろう深いエメラルドグリーンの髪とカーマインの瞳を持つ青年を調べてくれ」
「シャルル、あなたにスピアナ・トパーズという娘とノエルと呼ばれているファイヤーレッドの髪とマジョリカブルーの瞳を持つ青年を調べてください」
「「承知いたしました」」
ルチアとシャルルはそれぞれ特徴をメモした。そのままフィンセントとルーズベルトの前で一礼をし、部屋を後にした。フィンセントとルーズベルトの瞳に写るのは愛おしい彼女たちと側にいた彼らの姿だった。