父親たちの悩み
「俺たちと血が繋がっていないって言ったら悲しむかそれとも喜ぶか」
エメラルド公爵は紅茶を飲んでいるが、その声はとても悲しそうだった。リーフは目を強く瞑る。そんなの悲しいに決まっている。リーフにとってエメラルド公爵は憧れだった。どんなに沢山の量の薬を作るにしてもどんなに難しい薬をも作る姿に憧れていたのだ。時折り睡眠も削り沢山の人のために薬飲んで作っている。患者さん1人1人に合わせて味や見た目を工夫して変えたり、様子を見たりしている。いつでも患者さんを第一にして、自分の時間を減らしても薬を作る後ろ姿をいつも見ていた。邸に来た治った患者さんにはいつも泣きながら『ありがとう』とたくさん言われていた。そんなエメラルド公爵を見て少しずつ自分もエメラルド公爵になりたいと思い植物の本を読んだり、簡単な薬はお手伝いしている。
「王族の方がもっと好きに我儘出来たかもな」
ルビー公爵の言葉にクレアとノエル早く気付いた。騎士の家系で幼き時から特訓をしてきた。王族でも剣術はやるだろうがそれは男の子の場合だ。王族の姫は剣なんて持った事ない。クレアは本来剣術はしないだろう。いや、触れる事もないのだから。女の子ならパーティーやドレスを嗜むもの。クレアもパーティーにも参加しているがこの頃からドレスを嫌がるようになっていた。今だってドレスでは無く動きやすいワンピースを着ている。ノエルもずっと剣の特訓をしていて外で遊びに行く事がなかった。本来なら多くの友人が居てもおかしくない。でも、ノエルは別にそこまで友人を多く欲しがらないタイプであったため遊びに行かずひたすら剣を振っていた。遊びとすると誕生日で貰った馬に跨り林の中を駆け回る事ばかりだった。などとクレアもノエルもかなり自由に好きな事をさせて貰っている。確かによく心配されてはいたが本人達は気にしていなかった。なんなら、止めろと注意された事はあまりなかった。なんなら、サファイア公爵とルビー公爵が一度剣を持つと人が変わり自分の主人を守る姿に憧れを持っていた。時に優しく時に厳しく。特訓は厳しいがクレア達が出来なくても決して殴ることは無かった。諦めずに出来るようになるまでずっと付き合ってくれる。若手騎士の指導にも熱心で1人1人に合わせメニュー変え、得意な所を伸ばし苦手な所を克服している。クレア達もよく付いて行っていた。若手騎士達からの目には「憧れ」、「尊敬」の眼差しが見えていたのだ。それを含めてクレアとノエルはルビー公爵の言葉には否定したい気持ちが大きかった。
「こんな気持ち悪い父親なんて嫌だよね」
「気持ち悪い」このトパーズ公爵の言葉にスピカは激しく否定している。トパーズ家は代々舞踊の家系。その中でも舞を主に鈴を使った「巫女舞」をしている。日本と少し違うのは男性も巫女舞をするのだ。普通巫女舞と言えば巫女と言っているので女性がやりそうだが男性もやるのが伝統なのだ。特徴として原則髪は長髪であるのだ。実際、トパーズ公爵も男性としては珍しい長髪だ。そして、1番の特徴は男性は女装をするのだ。いや、言い方を変えよう女型舞踊を踊らなければならないのだ。舞を奉納する際は髪を結い、女物を纏い、化粧を施すのだ。よく女性と間違えられる。女型舞踊のため筋肉やがたいをよくしてはいけないので食事制限をしなければならないのでトパーズ家は男女共にみんな細い。まぁ、まず女装する父親はそうそう居ないであろう。もしかしたら、気持ち悪がって嫌がるかもしれない。だが、スピカはその逆だった。女性よりも女性らしい、そして誰よりも人ために舞うトパーズ公爵が大好きだった。仕草や言葉遣いも少々女性寄りになってしまうが、一度舞台に上がれば誰もがその美しいという魅了に落ちてしまう。スピカもその1人だ。気持ち悪いなんて一度も思ったことがない。いつかは自分もあんな美しく踊りたい、なんなら一緒に踊りたいと思っているぐらいだ。最近ではクレアにお願いして身体を柔らかくするために苦手な柔軟に付き合ってもらっているのだ。
「リーフ君、スピカちゃん、ノエル君、クレア。この順番だったよな?」
「うん、合ってる。最近思うよ、髪色や瞳の色は違うけど顔の形が似てるなって」
サファイア公爵とトパーズ公爵は顔を合わせながら話している。
「やっぱり、血が繋がってないって思わせるよな」
「こればかりは仕方ないんだよ」
ルビー公爵とエメラルド公爵の声はとても悲しそうだった。
「、、、とまぁ、こんな感じで偶然聞いてしまったのです」
「なるほどな。6歳なら意外と理解出来てしまうものだからな」
そうなのだ。日本で言う小学校1年生レベル。簡単の事は理解出来てしまうお年頃。クレア達はこの時に自分たちが転生者という事を理解していた。




