華麗なスルー
そこにはフィンセントが立っていた。しかし、顔を少し顰めている。嫉妬しているのだろう。兄弟に嫉妬するなんてとは口が滑っても言えない。側にいたルーズベルトもクスッと笑ってしまっている。
「待ってるから、そろそろ行くね」
クレアはノエルたちから離れて、フィンセントの近くに行こうとする。
「嫌になったら、すぐにでも帰ってきてもいいからね」
「お嫁に行くわけじゃないのに」
リーフはクレアの空いている手を取った。
「心配なんだよ、俺たちは。コーラルシアに着いたら、水鳩で知らせろよ。」
「いつまで、子供扱いだなぁ」
ノエルは巾着から、青色の爆弾ボールを取りフィンセントに向かって投げ指パッチンをした。しかし、爆発の寸前でクレアが指を立てて爆弾ボールに水の幕を張り爆発を阻止した。爆弾ボールはフィンセントの目の前にあり、フィンセントはビクッとしていた。
「妹をよろしくお願いしますね、皇子」
「怪我させたら、ただじゃ済まないからな」
リーフとノエルの圧に押されるフィンセント。
「、、、、、、承知しております」
フィンセントがクレアの後ろに隠れた。少し怯えているのでリーフとノエルのことはまだ怖いのだろう。まぁ、誰だって爆弾を目の前に投げられたらビビるであろう。クレアはそのまま糸を引っ張るかのように爆弾ボールを引き寄せた。
「2人とも、いい加減にしなさい!フィンセント様を怖がらせてどうするのよ!」
スピカは持っている扇子で2人の頭を叩く。叩かれたリーフとノエルは頭を抱えていた。
「すみません、フィンセント様」
スピカの言葉にフィンセントがそっとクレアの後ろから出てきた。
「いえ、溺愛なのは想定内ですから。スピアナ嬢もルーズに会ってきたらどうです?」
フィンセントの言葉に後ろを向くとルーズベルトが立っていた。
「イーデントの特産品のフルーツや花などを送ります。手紙も書くのでお返事くれますか?」
ルーズベルトも自分の国のイーデントに帰るのだ。イーデントは雪国で今は特に寒いらしい。だから、少しして寒さが落ち着いたらスピカもイーデントに遊びに行くらしい。
「はい、待ってます」
スピカの返事にルーズベルトもとても嬉しそうだ。クレアは見ててニコニコしているが、リーフとノエルは相変わらず睨んでいる。ルーズベルトは慣れたのだろう。凄い圧があるのに美しくスルーする。
「さて、そろそろ行こうか。クレア」
「はい!」




