2人の皇子
「ねぇ、クレア。歌ってよ!」
スピカはキラキラした目でクレアに歌をせがんだ。
「え、ヤダ。歌なんて、ノエル兄に歌ってもらえばいいじゃん。」
クレアは恥ずかしさがあるため歌うことを拒否った。でも、クレアが恥ずかしさがあって歌わないことを知ってるためしつこくお願いとせがんだ。しつこくせがまれ、断れないと悟ったクレアは歌うことにした。スピカはルンルンで指ばっちんをして横笛を出し、エルセノア王国に代々伝わる歌を奏で始める。
花は囁く、緑の光は安らぎの光
星は歌う、黄の光は守りの光
炎は語る、赤の光は愛の光
海は奏でる、青の光は勇気の光
4つの光集まりて
我の命捧げる覚悟のもと
汝の願いを叶えたまえ
愛するあなたのため
最後の旋律を奏でている途中、スピカは誰かの足音がし演奏を辞めた。スピカが足音に動揺している中クレアも誰かがこちらに向かっている気配を察し、スピカの前に立ち、剣が構える姿勢を取った。すると目の前の草むらからがさごそと音がし始める。
「そこにいるのは誰だ!姿を見せろ!」
クレアの警戒が一層増す頃、草むらから短髪のローズピンクの髪で、ノエルよりも薄いアクアブルーの瞳を持つ青年と短髪のハニーイエローの髪で、クレアよりも深いブランドゴールドの瞳を持つ青年が姿を見てた。2人の青年の姿を表してもクレアは構える姿勢を崩すことはなかった。逆に、剣を持っているため今度は魔力を身体に纏い始めた。さすがに、やばいと感じた2人の青年はクレアの前で剣を捨てた。
「驚かせましたね、申し訳ありません。実は、道に迷ってしまいまして。もし、よろしければ街まで案内してくれませんか?」
ハニーイエローの髪を持つ青年が丁寧な口調で助けを求めた。
「この林は迷いやすいですからね。分かりました、街まで送りましょう。いい、クレア?」
「はい、主人様。」
スピカがクレアをなんとか宥め、2人を案内することにした。
「ありがとうございます。改めて、僕の名前はルーズベルト・イーデントです。」
「フィンセント・コーラルシア。よろしく。」
ここで、クレアは2人のフルネームを聞き、膝まづいた。
「申し訳ありません、ルーズベルト皇子、フィンセント皇子。先ほどのご無礼をどうかお許しください。」
この2人の青年の正体はエルセノア王国の両隣の国の皇子だ。クレアは公爵からアルベルトの婚約パーティーをするために両隣の国の皇子がエルセノアに来るのと名前だけ聞いていたのだ。
「顔をあげてください。僕たちがすぐに名乗らなかったのが悪いです。それに、あなたは自分の主人を守ろうとした素晴らしい方です。女の方とは思いませんでしたが。」
クレアはゆっくりと顔をあげ、姿勢を改めてた。
「ありがとうございます。申し遅れました、私護衛のグレイシア・サファイアと申します。」
「私は、スピアナ・トパーズと申します。ルーズベルト皇子、フィンセント皇子にお会いできたこと光栄に思います。」
スピカはドレスの裾を上げ、挨拶をし、クレアは手をお腹前と背中に回しお辞儀をしながら挨拶をした。