意外な真実
クレアはフィンセントを引っ張り、城の外に出た。外に出てるとやっと解けたのかフィンセントがクレアをエスコートする形に戻りフィンセントの馬車に乗る。
「フィンセント様、少しは落ち着きましたか?」
「あぁ、なんとか。殺されるかと思った」
恐る恐るクレアがフィンセントに聞くと息を吐きながら背もたれに寄りかかる。
「慣れてくださいね、私に会いに来る際には必ずリーフ兄かノエル兄のどちらかはいるので」
「おいおい、勘弁してくれ。心臓がもたねぇ」
クレアの煽りにフィンセントは首を傾げる。その様子を見てクレアはクスッと笑う。
そんなことをしているとあっという間に馬車はサファイア邸に着いた。そのまま先にフィンセントが馬車から降り、クレアはフィンセントを手を支えにしながらケープやドレスを引っ掛けないようにゆっくり降りた。
「送ってくださってありがとうございました」
フィンセントがサファイア邸の玄関までエスコートしてくれた。
「これぐらい同然だ。暖かくして寝ろよ、おやすみクレア」
「おやすみなさい、フィンセント様」
フィンセントからそっと手を離し、フィンセントが馬車の中からクレアに手を振る。クレアもそれを見て振り返す。そのままフィンセントを乗せた馬車は城に向かって走り、クレアは見えなくなるまで馬車を見つめる。馬車が見えなくなり、クレアは扉を開けサファイア邸に入った。すると、ものすごい勢いで階段を下る音がして、サファイア公爵やアクア、アンソニーにサラとミアなどとサファイア邸の家の者たちがみんな降りて来た。
「クレア!クーリオから聞いたぞ、階段から突き落とされたんだって」
走って来たのだろう、サファイア公爵はクレアの肩を掴み息が上がっている。ちなみにクーリオとはリーフの育ての親であるエメラルド公爵のファーストネームだ。エメラルド公爵はサファイア公爵たちの代表としてあのパーティー会場にいたのだ。
「お嬢様!何処か怪我をなさいませんでしたか!?」
「姉上が突き落とされたと聞いて本当に心配で」
アンソニーとアクアの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。サラとミアなんかもうボロボロになって泣いている。
「私は大丈夫、主人様たちやフィンセント様に助けていただいたの」
クレアはアンソニーにケープを渡し、アクアの頭を軽く撫でた。
「クーリオが言っていた、後でお礼に行こう。それとあの女嫌いで有名なコーラルシアの皇子と婚約してたのか?」
その場に居たみんなが固まり、視線が一気にクレアに向く。
「あ、あ、姉上!婚約したのですか!?しかもあの皇子、、、」
アクアはそのまま気を失うようにその場に倒れてしまった。すぐ後ろに控えていたアクアの執事のルークが支えていたので身体が床に着くことはなかった。
「え!?フィンセント様、女嫌いだったの!?」
「はい、コーラルシア帝国の第ニ皇子のフィンセント・コーラルシア様は兄上を亡くされてから心を閉ざし、おまけに人と関わることを辞めそしてそれ以降女性が苦手になったらしいです」
クレアの口は開きっぱなしだった。だって、クレアやスピカ、他の令嬢とも普通に話していたのだ。
『まだまだ、私の知らないフィンセント様があるのね』
クレアはまた1つフィンセントを知った気がした。
「で、婚約したのか?」
サファイア公爵の目は本気だった。
「、、、はい。これは私の意志です。フィンセント様と生涯を共にしたいと思っています」
クレアも本気だ。アルベルトのように生半可なものではない。
「、、、、、、、、、」
無言の睨めっこが続く。アクアやアンソニーは心配そうにクレアとサファイア公爵を見ていた。クレアはサファイア公爵の目を逸らさなかった。サファイア公爵ははぁとため息をついてクレアの頭を撫でた。
「そうか、とうとう見つけたんだね。クレアの大切な人」
「反対しないの?」
サファイア公爵の意外にもあっさりとした返事にクレアは驚く。
「いつかは来ると思ったさ。でも、こんなに早いと思わなかったが。それにあの皇子はアルベルトとは違う。国の民に愛されているし、知的と聞く。きっとクレアのことを幸せにしてくれると信じてる」
サファイア公爵の言葉にクレアは涙する。側ではアクアもアンソニーも涙を拭っていた。
「挨拶に来た時は、容赦なんてしないがな」
クレアはクスッと笑う。きっとこれからも楽しい未来が待っているとクレアは胸に抱いた。
「あ!お父様、2日後コーラルシアに遊びに行って来る」
「うん、早く言いなさい。そういう大事なこと」




