国王の涙
国王について行くと、大きな部屋に着いた。そこには赤ん坊の頃であろうクレアたちの写真があった。目も少し開いていた。クレアとスピカは座るように指示を受ける。クレアとスピカが椅子に腰掛けると、国王が話し始める。
「グレイシア嬢、スピアナ嬢。この度はうちのアルベルトと兵士がすまないことを」
国王はクレアに対しての暴言と暴力の謝罪とスピカに恐怖を与えてしまった謝罪のため頭を下げた。
「顔を上げてください、国王様!」
「そうですよ、兵士様はアルベルト様の指示で仕方のないことですわ、兵士様は悪くないです」
クレアとスピカは弁解するが国王の表情はどこか浮かない。
「妹がこう言ってるんですから、大丈夫ですよ」
リーフがクレアの左側に寄り、右肩に触れる。
「姉さんたちにも怪我はなかったですし本人もさほど気していませんよ」
ノエルがスピカの右側に寄り、左肩に触れて身体をスピカに持たれる。
「君たちは、兄弟ではないはずでは、、、、、、もしかして、君たちは!」
国王は一瞬混乱した。しかし、リーフとノエルがわざとクレアとスピカのことを『妹』、『姉』と呼んだ。国王は写真と同じ並び方、そしてクレアたちの髪色や瞳の色を見て気付いた。4人が国王の血を引く自分の本当の子だと。しかし、クレアたちはまだ完璧にバレる訳にはいかないので、人差し指を立て口の前に持ってくる。
「分かった。まだ、君たちなにはやるべきことがあるのだろう。それが落ち着いたら、帰っておいで」
国王は目に涙を浮かべながら、4人の頭をそっと撫でた。
「では、私はこの辺りで失礼するよ。生きててくれてありがとう」
国王は扉に前で小声でお礼を言い、部屋を後にした。国王出てしばらくすると
「「「クレア!!!」」」
「うわぁ!」
リーフたちが一斉にクレアに抱きついた。あまりにも急だったのでクレアもよろける。
「ごめんね、クレア。私何も出来なくて」
「本当にあのまま居なくなるかと思った」
「無事で良かった」
リーフたちは涙を流した。リーフたちはあの時、クレアが階段から落ちる瞬間を見ていたが何も出来なかったのだ。たくさんの貴族がいる中魔法の発動はできないし、クレアにリーフたちの姿が階段から見えるように後ろ側にいたので前に行こうとしても間に合わなかったのだ。しかし、クレアは分かっていた。魔法を発動できないことも、走ったとしても階段の下には間に合わないことも。だから、リーフたちを攻めることはしないし、あの場の中でクレアの名前を呼び、悲鳴を上げ、誰よりも心配してくれたのが嬉しかったのだ。あんなに会場には人がいたのに、声を上げたのはリーフたちだけだったのだ。
「ううん、いいの。みんなはあの後、自分たちがただでは済まないと分かっているのにも関わらず助けてくれた。それだけで十分だよ。でも、本当に怖かった。怖かったよ、兄様、姉様」
クレアはリーフに抱き締められながら泣いた。クレアも本当は物凄く怖かった。4人の中で1番の怖がりで泣き虫で精神は鍛えられたとしても、末っ子気質があり上兄弟には泣きついてしまうのだ。それから、みんなで泣きながら、クレアに抱きしめたり、頭を撫でた。しばらくして、涙が落ち着きフィンセントの前に行く。
「この度は妹を助けていただきありがとうございました」
「我々、心より感謝しております」
「感謝してもしきれません」
リーフたちが頭を深く下げお礼をする。
「対したことはしていない、頭を上げよ」
リーフたちがゆっくりと頭を上げる。
「少し、グレイシア嬢と話しがしたい。借りても?」
フィンセントがクレアを見つめながら、手を伸ばす。クレアはリーフたちを見ると頷いたり、目を瞬かせてまるで、『行ってこい』と言っているようだ。
「はい」
クレアはそっとフィンセントの手を取った。




