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薔薇の騎士姫  作者: 四季 七草
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もしもの時は

クレアはそのままサファイア邸の他のメイドたちの手を借りながらお風呂に入り身支度を初めた。今日買ったドレスに袖を通して、後ろのファスナーをあげる。でも、クレアの目には光が入っていないように暗かった。

「まぁ、なんて美しいのでしょう。まるで、女神のようですわ」

「ええ、本当に。輝いて見えますわ」

クレアを着付けた2人のメイドのサラとミア。2人は久しぶりに見るクレアのドレス姿に喜んでいる。しかし、クレアの心情を知っているのでその瞳には悲しさがある。

「ありがとう。サラ、ミア」

サラがそのままクレアの髪をセットしようと髪に触れるとリーフの言ったことを思い出し止める。

「待って、サラ。髪はセットしないで。メイクだけお願いできるかしら」

「、、、かしこまりました?」

サラは少し不思議な顔をして、ミアの持ってきたメイク道具を使い化粧を施す。

「お嬢様、リーフレット様たちがお見えになりました」

クレアの化粧が終わった頃、ノック音と共にアンソニーが来ると後ろから白の薔薇を持ったリーフとツインテールの髪を後ろに全て持っていき捻りシニヨンになっているスピカと髪をセンター分けにしたノエルが入って来た。皆、午前中に買った物を着ていた。

「後は私たちでやるから下がっていいよ」

リーフの言葉にサラとミアは扉の前で一礼し、部屋を出た。

「可愛いよ、クレア」

「まぁ、孫にも衣装だけど」

リーフは薔薇を持ちながら微笑んでいて、ノエルは少しぶっきらぼうに言ったが、これはノエルの軽いおふざけだ。軽くスピカに頭を叩かれていた。

「ありがとう。スピカ姉様もノエル兄もいつもと雰囲気が違うね。私はこっちも好き」

「ノエルがやってくれたの。ちなみにこのセンター分けは私がやったの」

スピカはノエルの肩を掴み、クレアの前に連れていきニコニコしているがノエルはクレアがずっとノエルのことを見ていたため照れてしまった。その証拠に耳が真っ赤になっている。でも、クレアの声のトーンは2つくらい低く、元気がないのはずっと一緒に居た彼らはすぐに分かった。

「よし、今日は俺が髪のセットをするから」

「え、本当に!?いつぶりだろう。嬉しいなぁ」 

リーフは薔薇をドレッサーの上に置いて櫛を持ってクレアの髪をとかし始めた。

「、、、お昼のことごめんね。言おうと言おうと思ってずっと言えなくて」

リーフの表情は暗かった。クレアを傷付けてしまったことをかなり気にしているようだ。

「ううん、逆に知っておいて良かったかも。婚約パーティーに聞くより断然いい」

クレアは昨日の夜にサファイア公爵が婚約についてのことを言っていたのを思い出したのだ。きっとこのことを指していたことに気付いた。サファイア公爵とアクアもその会話をもちろん聞いている。それを分かって言ったのだろうと気付いたのだ。リーフはクレアの言葉に安心したのか頬が少しばかり上がっている。

「クレア、その薔薇綺麗でしょう?触ってごらん」

リーフはクレアの髪に編み込みを入れながら、持って来た白い薔薇の花束を指す。クレアは3本くらい薔薇を持って匂いを嗅ごうと顔に近付けた。すると、クレアの持っていた白い薔薇は鮮やかな青色に変わった。

「え!?え!?なにこの薔薇、色が変わった!?」

案の定クレアは驚きを隠せないほど驚いている。リーフたちはクスクスと笑っている。

「驚いた?この薔薇は俺が作った最初に触れた人の魔力で色が変わる『魔薔薇』。」

「魔薔薇?」

クレアの頭はぐるぐるだった。なにせ、クレアはリーフがこれを作っていたことを知らなかったのだ。

「俺らは、婚約パーティーでは口を挟むことはできない」

「あれこれ手を加えようとしたの。それでも、何も出来なかった」

「でも、このままぼーとしてるなんてそんなのカッコ悪いだろ?」

リーフたちが残りの3本の薔薇をそれぞれ持つ。リーフの薔薇は緑色に。スピカの薔薇は黄色に。ノエルの薔薇は赤色に変わった。その薔薇をクレアの編み込みハーフアップしたところにそれぞれ髪に編み込んだ。

「クレア、君は1人じゃない。側には俺たちがいる」

ノエルはクレアの肩に手を置く。

「大丈夫、クレアならできるよ。それにきっとシオンさんもそう思ってくれてるよ」

シオン。それはクレアの初恋の人でありあの時の男の子だ。スピカは首にペンダントを付ける。

「、、、あの皇子のこともう一度信じてみない?」

リーフは一輪の薔薇を差し出す。リーフの手にはピンク色の薔薇。ピンク色の薔薇の花言葉は『愛の誓い』。クレアに愛を捧げた彼を。もう一度フィンセントを信じたかった。だから、リーフから薔薇を受け取り胸元に付けた。リーフたちのほうを見るといつの間にかリーフとノエルの胸元、スピカの髪にはさっきクレアが染めた青色の薔薇が挿してあった。

「青色の薔薇の花言葉は『奇跡』。私たちはその奇跡を信じてる」

「絶対に助けるって言っただろう?何が合っても俺らの大事な親友で妹だ」

「もしもの時は一緒に罪を受けるよ」

リーフたちの言葉にクレアは涙を流す。黄色の薔薇の花言葉は『友情』。前世からの1番の親友としてずっと側に居てくれたスピカのような薔薇。赤色の薔薇の花言葉は『愛情』いつも意地悪をしたりしてくるけど誰よりもクレアのことを気遣ってくれるノエルのような薔薇。緑色の薔薇の花言葉は『希望を持ち得る』。クレアの幸せを心から願っているリーフのような薔薇。クレアはそっと兄、姉を抱き締めた。リーフたちもそっとクレアの背中に手を回す。支度が終わりクレアはリーフたちと一旦別れた。ここから、クレアの戦いが始まる。

『クレアならできるよ』

「シ、オン、、、?」

確かにシオンの声が聞こえてクレアは振り返る。

「お嬢様?どうかされましたか?」

「いいえ、なにでもないわ」

アンソニーに支えられクレアは馬車に乗り、城に向かって走り出したのを合図にそっとペンダントに触れた。きっとスピカの言う通りシオンはきっと何処かで見てくれてる。そう、心に土留めて置いた。馬車側にはクレアを追いかけるように赤い蝶が飛んでんいた。

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