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薔薇の騎士姫  作者: 四季 七草
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オムライスの誕生

そのまま、クレアたちはスーツなり、ドレスを購入してそのまますぐにそれぞれの邸に届くようにしてくれた。どうやら、時間帯はお昼になっていた。小腹を空いたので、最近人気のお店に行くことにした。それぞれの執事や侍女も一緒に行こうとしていたが、どうやらパーティーの支度の下準備をしなければならないということでそれぞれの邸に戻って行った。お店は凄い行列が出来ていた。しかし、ひとたび並ぶとクレアたちの存在に国の民が皆気付き前へどうぞ、どうぞという感じでなぜかものの数秒で一番前に来てしまった。断ったものの物凄い笑顔して譲ってくれたので先頭になった。次の人を呼ぼうと定員が外に来て列の先頭を見るとさっきまで居なかったクレアたちが居てびっくりしてカチコチになりながら席に案内してくれた。まぁ、緊張するのも無理はない普通は貴族は来ないだろう。でも、仕方ないオムライスという単語を見たら行きたくなるのがクレアたちだ。そう、ここはオムライスの専門店だった。少しぐらい変装するべきだったかとクレアは思った。店に入ると上から垂れ下がっている丸い照明やレコードから流れる優雅なクラシックからお洒落な雰囲気が出ている。ちょうどお昼時で混んでいたため4人はカウンター席に座った。オススメのランチセットからクレアとスピカはデミグラスのソースとポテトポタージュと紅茶。リーフとノエルはケチャップとキノコのポタージュのセットとコーヒーを選んだ。オススメのセットにはサラダとスープ、メインのオムライスにグラスに入った苺のショートケーキが付いている。スープは日替わりでソースはデミグラスかケチャップ、食事後のコーヒーか紅茶が選べるのだ。なかなかお洒落で値段もリーズナブルだ。ランチとしては丁度いい。クレアたちはそれぞれ注文して少しの間おしゃべりしながら料理を待つ。

「18時からパーティーだよね?16時に行くからそれまでには準備しておいてね」

「でも、髪型はいじらないで」

リーフとスピカがニコニコしながら、クレアに言った。

「え?邸に来るの?なんで?しかも髪いじっちゃいけないって」

「まぁ、その時になれば分かるって」

ノエルが頬杖を立てながらニヤついている。

「え?え?なに?なに?何があるの?教えてよ」

「「「ヤ〜ダ」」」」

クレア1人だけ訳も分からず混乱してる中リーフたちはずっと笑っている。でも、リーフは少し無理をしているようだった。

「、、、、、、、クレア。実は」

「お待たせ致しました、ランチセットになります」

リーフが何か言おうとしたそんな中いい匂いと共に料理がきた。

「美味しそう!」

「早く食べよう!あ、主人、何か言おうとしたよね?」

リーフは口を閉じる。

「後で話すよ。先に食べよう、温かいうちが美味しいんだから」

クレアとスピカが目をキラキラさせながら料理を見る。そのまま4人一緒にスプーンでオムライスを掬い口に運んだ。口の中に溢れる甘いふわふわとした卵の食感。お肉やマッシュルームの入ったまろやかなデミグラスソースと良く合っていた。チキンライスには鶏肉、人参、ピーマン、玉葱と具が沢山入っていて美味しかった。チキンライス単体でも食べれるくらい美味しいだろう。

「うま!これは人気の理由が分かる」

「うん、これなら俺たち男性でも食べやすいね」

ケチャップを選んだノエルとリーフはオムライスを口にしてから物凄く絶賛している。

「てか、この世界にオムライス合ったんだね。でも、どっかで食べたことある味」

クレアはオムライスを食べながら、少し疑問を持つ。あまりにも美味しく懐かしいオムライスを4人はあっという間に食べてしまった。サラダとスープも一緒に食べて食べ終わりしばらくしてこの店の店主がケーキを持ってきてくれた。

「お待たせしました、セットのケーキでございます。そして、この度は私の店にいらしてくださりありがとうございます。言ってくだされば、お席もご用意いたしましたのに」

「いいんですよ、それにしてもこのオムライス素晴らしいですね」

店長さんがケーキとそれぞれの紅茶とコーヒーをテーブルに置いてくれた。

「ありがとうございます。レシピはスピアナ様から頂いたものでございます」

店長さんの発言に驚くクレアたち。そして、目線はスピカに向く。

「主人が教えたの!?」

「、、、うん、実はね」


時は遡り9ヶ月前の朝。トパーズ邸の前。

「じゃあ、行って来る。くれぐれも外に出るなよ」

「もう、心配性ねノエルは。大丈夫よ、心配しないで」

この日もノエルは会議に行く前にスピカの家に来ていた。

「そうだ、久しぶりにオムライス作ったの。お昼に食べて」

スピカはノエルにオムライスの2段お弁当を渡した。

「一個は父さんの分か?悪いな」

「いいの、1個も2個も変わらないもの。美味しく出来てるといいけど」

スピカは目線を少し下げる。

「どんなものでも美味しいに決まってるだろ。じゃあ、行ってくる」

「いってらっしゃい、気をつけて」

スピカはノエルを見送った後、トパーズ邸に戻り本を読もうとした。だが、せっかくのいい天気なので外で読もうと思い、ドレスから動きやすいワンピースに着替えて髪も1つに纏め伊達眼鏡をして帽子を被った。鞄に本とお弁当、水筒を入れて外に出た。スピカの侍女であるアデラも着いて行こうとしたがアデラが行くとノエルにバレて怒られると思い全力で拒否をして逃げるようにトパーズ邸を後にする。久しぶりの1人でスピカはルンルンだった。いつもは必ず誰かが付いて来るからだ。しばらく歩いているといい感じの木陰を見つけてそこで本を読むことにした。スピカも元々はごく普通の一般人、ここでは平民であったので地べたに座る事なんて躊躇なく座った。子どものはしゃぐ声や噴水の音を効果音にし本を開いた。スピカが読んでいるのはある女の子と男の子の恋のお話し。女の子は歌が好きでそこでたまたまこの町に来ていた隣町の男の子がその歌に惹かれて恋に落ちるというあらすじである。遠距離、歳の差などの色々な障害を超えて結ばれるというお話しだ。スピカは本を読み進んでいく。

「いいなぁ。私もこんな感じに結ばれたい、、、なんてね」

本を読み、後ろの木に持たれかかる。目を瞑って、風の音を感じる。エルセノアの音は優しい。優しい風は平和の印。たくさんのエルセノアの民の笑い声が心地良くそのまま目を瞑って軽い眠りに入ってしまう。

「、、、さ、。、、、ピ、ま。スピアナ様、起きて下さい」

ふと、誰かの声がして目を覚ます。

「大丈夫ですか?何処か気分でも悪いのですか?」

そこにいたのは後のオムライス屋さんの店主だった。でも、今はとても心配そうな顔をしていた。

「大丈夫です、心配をかけました。少し寝ていただけです」

「そうですか、なら良かったです。あのこの後お時間はありますか?」

店主はスピカの様子を伺いながら聞く。

「大丈夫ですよ、何かありましたか?」

「少しご相談があって、、、」

歩きながら店主の話しによると、ずっと夫婦でお店を持つ事が夢でやっとの思いでそれが実現できる所まではきているという。お店の内装は完成しているが問題なのはそこからで肝心のメニューが決まらないというのだ。最近の流行りでは流行りが終わるとあれだし一般的なものでもつまらなくて悩んでいるという事だそうだ。

「、、、なるほど」

「何かいい案はありませんか?」

スピカはお店らしき建物に流れるがままに入り頭をフル回転させる。

『流行りや王道のではダメ、なにか新しいもの。スイーツよりかはお惣菜の物がいい、その方が老若男女行きやすいわね。』

などの色々な事を考える。

「、、、あ!」

スピカはある事を閃き、ゴソゴソと鞄からあるものを取り出して蓋を開ける

「これはどうでしょう?」

「これはなんですか?この黄色は卵のように見えますが、、、」

店主はお弁当の中の物を色々な角度から見ていく。

「これはオムライスと言います。卵の中に味の付いたご飯が入っているんです」

そう、スピカが見せたのは朝作ったオムライスだ。

「ご飯はトマトやバターをベースになってそこに人参、ピーマン、玉葱、鶏肉が入っています。今は卵の上にトマトソースがかかっていますがこれをデミグラスやホワイト、チーズやカレーをかけても美味しいですよ。これでは難しいでしょうか?」

スピカが店主の顔を伺うとキラキラした目をしていた。オムライスはスピカたちの前世の頃でも男女関係なく人気だった。

「良かったら、味見してみてください」

「よろしいのですか!?」

「もちろんです」

店主は急いで立ち上がりお皿とスプーン、そして1人の女の人を連れてきた。おそらく奥さんだろう。奥さんはいるはずのないスピカの存在に驚きを隠せない状態だった。店主が奥さんにことの流れを説明すると涙を流しながらお礼を言った。流石に泣かれるとは思っていなかったスピカもこれには驚きハンカチを差し出す。奥さんを落ち着かせて、やっと本題に入る事ができた。スプーンを借りてオムライスを分ける。店主と奥さんはオムライスのお皿を受け取り一口食べる。相当美味しかったのか、分けたオムライスがすぐに無くなった。

「、、、スピアナ様。このレシピ私に教えてくださいませんか。時間はかかってしまいますが必ず習得致します」

「もちろんです。私も指導者としてお手伝い致しますわ、私の指導は厳しいですよ?」

「構いません、スピアナ様の大切なレシピですから。覚悟の上です」

店主の目には決意の光が差していた。奥さんは泣いて喜んでいた。

『まぁ、オムライスなんて私たちの世界では有名だしね!クレアたち驚くかなぁ』

スピカはクレアたちがこの世界でオムライスのお店が出来て喜ぶ姿を目にそっと思い浮かべた。それから、トパーズ公爵には訳を話し夜にこっそり向け出して店主と奥さんに夜な夜なオムライスの特訓をしていた。元々、オムライスはそこまで難しいレシピではない。1週間もすれば作れるし、一応プロだ。作るのが少々難しいふわふわオムライスもすぐにマスターすることができた。しかし、この世界に市販のケチャップやデミグラスソースなんてない。だから、1からそういう調味料を作るのに時間がかかってしまった。そんな苦労の中でこの世界初でのオムライスのお店が完成したのだ。もちろん、1番の客はスピカの家族。実はオムライスが気になってたらしくルンルンでお店に食べにきた。オムライスの味は絶賛だった。スピカの家族もみんなオムライスを気に入り、よく来るようになり、トパーズ公爵一家のお気に入りと噂が立ち人気になった。


「、、、とまぁこんな感じかな」

スピカは苦笑いをしている。

「1人で外に出るなとあれほど言ったよな?」

ここでとうとうスピカが夜な夜な1人で外に出ている事がバレた。ノエルの顔は物凄く怖かった。

「、、、だって、サプライズにしたかったんだもん。喜んでくれるって思って」

「、、、、、、、はぁ、今回はこのオムライスに免じて許してやる。次からは絶対に1人で出歩くなよ」

流石のノエルでもここまで言われたら怒れない。

「うん!」

スピカもノエルが怒らずそして喜んでくれた事に嬉しく思い笑った。

「スピアナ様のおかげでここまで人気になりました。これからも皆様も是非来てください。歓迎いたします」

店主は一礼をしてテーブルを離れた。クレアたちはケーキにフォークを指し口に入れる。口の中はふわふわのスポンジと甘すぎないホイップクリーム。甘酸っぱい苺に合うケーキだ。これ目当てで来る人もいるだろう。クレアたちはしゃべりながらケーキを楽しんだ。

「兄ちゃん、甘いの苦手じゃないよな?顔が怖いけど」

リーフの顔が強張っていたのだ。それにいち早く気付いたのはノエルだった。

「、、、あいつクレアにガチで気があるらしいようだよ。あ、クレア。クリーム付いてる」

「あ、ありがとう。って、はぁ!?絶対嫌なんだけど」

あいつというのはアルベルトのことだろう。リーフがクレアの口に付いたクリームをハンカチで拭き、クレアはリーフに口を拭いて持っているのでじっとしながら答える。

「嫌、ガチだ。ドレス姿の写真を見て「まぁ、これなら俺の花嫁にふさわしい。この俺の花嫁になるんだこれぐらいは当然だな」って顔を赤くしながら言ってた」

「待って、俺知らないんだけど」

ノエルも驚いていた。驚きのあまりコーヒーを落としそうになっていた。

「ノエルがちょうどトイレに行ってる時の出来事だったんだ」

「なに、その上から目線。写真?もしかして、この前の会議で!?」

スピカがケーキにフォークを差しながら、口に入れる。

「正解。サファイア公爵も勝手に写真を見られて驚いてた。おそらく、城の者が勝手にしたのだろう。しかも、やけにキョロキョロしていたからノエルを警戒してたんだろ」

「俺がそこに居たら厄介だったわけか。まぁ、否定はしねぇ乱闘仕掛けたかもな」

クレアは顔を青ざめる。これでは、相当なことがない限り婚約解消はない。

「、、、一目惚れ。シナリオ通りになってる、対象は違うし場面も違うけど」

クレアの目に涙が1つ流れた。

「恐れていた一目惚れが発動してしまったのね」

「、、、くそ!」

明るい店内とは違って空気がそこだけガラリと変わった。ちょうど全員食べ終わっていたのそれぞれが苦い空気を纏いながらで、そのままお金を払って4人でサファイア邸にクレアを送った。さすがの店主も気付いていたがあえて何も触れてこず、悲しそうに微笑んでいた。アンソニーにクレアを渡しパーティーの準備を始める。

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