この気持ちの名前
クレアが目を覚ますと、部屋の明かりが少し明るくてカチャカチャと音がする。クレアは重たい身体を起こすと、そこにはいるはずのないリーフとスピカとノエルがいた。
「おはようクレアって言っても夜だけど。ノエルたちがお土産持ってきてくれたの。早速食べましょう!」
そう言ってスピカはクレアの手を引いて椅子に座らせた。そこには、カラフルなマカロンとナッツが入ったブラウニーがあった。
「美味しそうだから、買ってみたんだ。ダメだったかな?」
表情が変わらないクレアを見てリーフが眉を下げながら効いた。
「ううん、嬉しいよ。うれ、しいよ」
クレアの目からポタポタと落ちる涙。カラフルなマカロンの中にピンク色のマカロンがあったのだ。まるでフィンセントの髪のようなピンク色のマカロン。それを見てクレアはお昼のことを思い出してしまったのだ。クレアが泣いていると、リーフがクレアの肩に手を添え、クレアにもたれかかるようにする。ノエルが空いている左手をそっと指を絡めて、スピカは後ろからそっとクレアを抱きしめる。
「教えて、なにがあったの?」
「少しは楽になるんじゃない?」
「お姉ちゃんに甘えていいんだよ?」
リーフたちの優しい言葉と温もりにクレアは首を縦に振りお昼ことを話した。話した頃には涙も落ち着いていた。しかし、リーフとノエルの顔はとても怖かった。
「俺らの大事な妹泣かせやがって。許さねぇ、あの皇子。今すぐ燃やし尽くしてやる」
「ノエル、落ち着きなよ。でも、こればっかりは俺も許せないよね。燃やすより毒の方が速いよ」
ノエルは手に炎をリーフは手に毒植物の束を持って「皇子暗殺計画」を練っていた。
「ちょっと、2人ともやめなさいよ」
スピカが間に入り、2人の計画を止めていた。その姿にクレアも思わず「うふふ」と笑ってしまう。
「クレア、どうして胸が苦しくなったか分かる?」
クレアは分からず、首を横に振る。
「それはね、クレアがフィンセント様のことが好きなのよ」
「え?」
クレアは固まった。
「びっしり集まること?」
「それはぎっしり詰まってる稠」
「味覚?」
「それは濃淡の濃い」
「昔、池とか泳いでたよね」
「それは魚の鯉!」
スピカもやれやれという表情になる。
「ラブだよ、クレアの初恋した時と同じだよ」
スピカの言った答えはまさかの「好き」そう「恋」なのだ。
「フィンセント様が他の人を好きになると思ったのが嫌だったでしょう?それが今回の胸が苦しくなった理由と涙の訳」
クレアは気付いた。ずっと自分より可愛い令嬢たちがフィンセントと話していているときのモヤモヤ。無意識にヤキモチを妬いていた。
「「あぁー!!!」」
急にリーフとノエルが奇声をあげる。でも、クレアとスピカは分かっている。クレアが恋を知った。いつか、リーフやノエルのもとを離れるのが寂しんだろう。その姿を見てクレアとスピカのお互い見つめ笑い合った。
「でも、フィンセント様は私のこと好きじゃない。タイプに当てはまらないもの」
「タイプと好きな人は違うわ、それにタイプが違うならクレアがフィンセント様をメロメロにすればいいのよ!そうよ、それがいいわ!」
スピカはルンルンになっているがクレアは口がポカーンと開いていた。
「私に出来るかな?」
「もちろん!私の妹だもの!私の手にかかれば、エルセノア1可愛くするわ」
「「絶対にするな!」」
クレアとスピカの会話を遮るかのようにリーフとノエルが大きな声で否定する。
「クレアの可愛さは俺らだけが知っていればいいんだ」
「そうそう、年々悪い虫が付くんだから」
クレアは身に覚えがなく不思議そうな感じをしているが、スピカは凄い共感があるのか首をめちゃくちゃ縦に振っている。
「、、、私やっぱりおしゃれしちゃダメなの?可愛くない?」
「「それはない」」
「くふふ」
クレアはどうしても兄2人の共感が欲しいので上目遣いで質問をするとすぐに否定の返答が返ってくる。それを見てスピカも思わず笑い出す。クレアも自然と笑みを浮かべてリーフたちも安心したような表情を見せた。すると、コンコンとノック音がして扉が開く。そこには4人分の紅茶とスコーンとサンドイッチ、籠には保冷剤とタオルを載せたカートを押すアンソニーだった。クレアはそっと立ちアンソニーに近寄る。
「リーフ兄たちを呼んでくれたのはアンソニーでしょ?」
「はい、私じゃお嬢様の力になれませんので。1番理解していらっしゃるリーフレット様たちをお呼びした方がいいと思いまして」
「ありがとう、アンソニー。でも、アンソニーもいつも私の力になってるわ」
部屋に入ってから顔をあげようとしないアンソニー。そこにクレアは優しい言葉をかける。アンソニーは顔をゆっくりあげると、目尻に少し涙が溜まっている。カートをクレアに渡し、一礼をしてアンソニーは部屋を出た。アンソニーが持ってきてくれた紅茶を淹れ、軽い夕食にした。アンソニーが持ってきてくれたのはアッサムだった。アッサムはクレアが落ち込んだ時に飲む紅茶だ。リーフはそれを知っている。
「アンソニーはクレアのことを1番に考えているんだね」
「うん!自慢の執事だよ」
そう言いながら、クレアは目に保冷剤を巻いたタオルを目に当てながらスコーンを食べた。その扉の前にはアンソニーがいてクレアの言葉を聞いて涙を1つ流した。




