抜け道
「クレア!ごめんな、もう少し優しくするからお父様のこと嫌わないで」
サファイア邸に戻るやいなやサファイア公爵に泣きつかれる。最初は分からなかったが後にアンソニーが聞くとサファイア公爵夫人から「やり過ぎ」「クレアはまだ幼い」「男と女では体格が違いすぎる」などとこっぴどく怒られたらしいのだ。
「私も急に飛び出してごめんなさい、心配かけて」
クレアの言葉にサファイア公爵もクレアをもっと強く抱き締めた。クレアもそれに答えるように抱き返した。その後はクレアを挟んでサファイア公爵とサファイア公爵夫人とアクアとみんなで川の字で寝た。それからと言うものクレアは夜にサファイア邸をそっと抜け出しその男の子と会っていた。
「クレアは5歳なのに凄いね。俺だったら、絶対に出来ない」
「ずっとやっていたから、最初は嫌だったけど今は、、、」
クレアはその男の子の顔を見た。その男の子は首を少し傾いてクレアを見る。クレアはその男の子と目が合って恥ずかしくなり目を逸らす。
「そういえば、クレアこんな時間に外出て大丈夫なの?危なくない?」
「大丈夫!アンソニーが少し離れたところにいるから!」
結局クレアは夜な夜なサファイア邸を抜け出していたことがアンソニーにバレた。しかし、クレアが初めてサファイア邸を泣きながら出ていったことを自分でも力になれなかったり、もっと早くにクレアの気持ちに気付くべきだと反省しているらしく、アンソニーが付いていくという条件の元来ているのだ。
「ずっと気になってたんだけど、いつも何処から来てるの?」
「え〜知りたい?」
その男の子はニヤニヤしながら、クレアを見る。
「ダメ?」
クレアは目をキラキラさせながらその男の子を見る。
「しょうがないな。、、、よっと」
「うわぁ!」
その男の子はクレアをお姫様抱っこする。
「しっかり、捕まっててね」
その男の子はクレアを抱えながら、凄い勢いで木にジャンプしてそのまま木をつたってどんどん進んでいく。進んでいく中ある所でその男の子は木から降りてクレアを下ろした。そこには藤の花に似た紫色の垂れ下がった花が咲き誇っていた。
「こっちだよ」
クレアの手を引き、花を手でそっと分けて中に入って行った。




