クレアの落とし物
そんなことを考えながら、胸元のペンダントに触れようとしたそのとき、
『あれ、ペンダントがない。どうしよう、あれだけがあの人を見つける手がかりなのに』
クレアの心は乱れる。表ではニコニコと平然としているが相当焦っている。しばらくして、街の人々は仕事のため戻り、子供たちもお昼の時間なので家に帰っていった。クレアは急いで急いでサファイア邸に戻りさっき貰った果物やパンをアンソニーに渡し、驚くアンソニーを放置し薬局に向かって走った。すると、誰かにぶつかった。
「ごめんなさい、急いでてって・・・。皇子!?」
そう、クレアがぶつかったのはローズピンクの髪を持つコーラルシア帝国の皇子フィンセント・コーラルシアだった。
「馬鹿!誰かに気付かれたらどうすんだよ!」
フィンセントがクレアの腰を引き、口を抑えた。
「え!?皇子?まさか、アルベルト?」
「困ったわ」
エルセノアの人たちはクレアの言った「皇子」はフィンセントではなくアルベルトを連想させた。しかも、あの言われっぷりはどれだけアルベルトがエルセノアの人たちに嫌われているのかがよく分かる。
『やっぱり、国王にはリーフ兄がふさわしい!』
クレアが百面相をしているとフィンセントがクレアの手を引き人気が無いないところに行った。
「あの、皇子。色々と申し訳ありません」
「いや、いい。ぶつかった俺も悪い」
フィンセントの「ぶつかった」という言葉にクレアが自分がペンダントを探していると思い出した。
「申し訳ありません、私急いでて。これで失礼します」
「待て、これ探してたんだろ?」
走り出そうとするとクレアをフィンセントは止める。フィンセントはポケットを漁り出てきたのはクレアが探していたロケットペンダントを差し出した。
「どうして、これを?」
「噴水の前で拾った。お前のだろ?前に付けてたの見てたからすぐ分かったってなんで泣いてるんだ!?」
クレアはそれを聞いて涙を流した。そして、これでもかというぐらいに強く握りしめた。ペンダントが壊れてしまうのではかと思うくらい握り締めて。
「ありがとうございます、あり、がとう、、、ございます」
「もういいって。良かったな」
フィンセントは優しくクレアの頭を撫でる。リーフたちやサファイア公爵とは違う何処か懐かしい温もりを感じていた。すると、大きな腹の虫が鳴った。クレアの涙も止まりクレアが顔をあげる。フィンセントとクレアは目が合い、見つめ合うとフィンセントが顔を赤くした。すると、ぐぅ〜と音が聞こえた。どうやら、フィンセントの腹の虫が鳴ったらしい。
「すまん、腹が減ってつい」
「うふふ、皇子にもお可愛いところがあるんですね。お昼にしましょう、いいもの持ってますよ」
涙をむぐい笑いながらクレアは言った。フィンセントはまた顔を赤くして照れていた。




