氷の華
朝早くにクレアは起き、サファイア公爵とアクアを見送りエメラルド邸に足を運んだ。
「じゃあ、頼んだよ。少し重いからもしれないから気をつけて」
「ええ、分かったわ。旦那様も道中お気をつけて」
旦那様とはリーフの育ての親であり、エメラルド家当主のエメラルド公爵。サファイア公爵と昔からの友人らしい。よく、クレアのことも可愛がってくれる。
「いつもありがとう、クレアちゃん。これからもリーフのことよろしくね。あいつも元気かい?」
「はい、ピンピンしてますよ」
エメラルド公爵は優しい表情をしてクレアの頭を撫でた。エメラルド公爵の優しい表情はリーフに似ている。『親子だなぁ』と感じるクレア。
「そうだ、いっぱい作ったからあげる。お昼にでも食べて」
リーフはなにかが入った袋をクレアに渡す。その中はリーフ特製のハンバーガーだ。このエルセノアにハンバーガーは売ってない。それに貴族があんながっつくようなことはしない。しかし、前世では普通の一般人。某有名店のハンバーガーもたくさん食べている。ハンバーガーを食べて恥ずかしいなんて今更なんだって話しだ。
「ありがとう!後で食べてる」
クレアの笑みにリーフもつられて微笑んだ。
「それでは、旦那様、主人様どうかお気をつけて。いってらっしゃいませ」
クレアは態度を切り替え、手を胸の辺りに置きお辞儀をする。
「行ってきます」
エメラルド公爵とリーフは馬車に乗り、クレアは馬車が見えなくなるまで見つめた。馬車が見えなくなると持ってきていたトートバッグにハンバーガーを入れ、薬の入った荷車を引きながら、薬局へ行った。リーフの言う通り少し重かった。ゆっくり荷車を押すと街の少女たちに捕まってしまった。
「クレアお姉様、魔法見せて!」
いつもは交わせるのだが、大事な薬があるのと薬局へ行くのでベビーピンクのふんわりとしたワンピースを着ていたため出来なかった。クレアは少々苦い顔をする。この前、街を歩いてたら転んでいる少女を見つけ傷口を洗うために魔法を使ったのだ。そこから、街の少年に捕まると剣術や体術、街の少女に捕まると魔法をせがまれるのだ。
「ちょっとだけよ」
クレアは近くの噴水に荷車にストッパーを下ろし、腰を下ろした。クレアの周りに少女たちが集まる。クレアは噴水の水に手を触れ、一気に手を上げる。すると、上に上がった水は綺麗な魚の群れの形になり、円を描くように空を泳ぎ出し、クレアの手のひらに集まり一つの大きな水の玉を作る。そのままクレアの反対の手が上に上がると大きな水の玉は細長い蕾のような形になり、手を下げると同時に大きな花を開くように広がった。最後に、クレアがその花にふぅーと息を吐くとそのまま水の花は氷付き、指パッチンを1つすると氷の花は粉々になった。もう一回息を吐くと粉々になった氷の粒は少女たちの髪の間を通り耳の側に来ると氷の粒は薔薇の形となった。
「氷だから1日しか持たないけど」
それでも少女たちは可愛いだの凄いだの相当嬉しかったのかキャッキャしている。クレアも少女たちの喜んでる姿を見て微笑んでいる。
「「ありがとう、クレアお姉様」」
「どういたしまして」




