大好きな家族
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「ただいま、アンソニー」
アンソニー・サファイア。アンソニーはクレアの専属の執事。7、3分けのリーフグリーンの髪にフルーティーオレンジの瞳を持つ高身長の優秀な執事だ。クレアの1歳上のいとこでクレアが小さいときから仕えている執事だ。クレアが王族であることも知っている。最初はクレアの弟に仕えさせようとしていたが、クレアが先にサファイア邸に来てしまったのでクレアに仕えている。
「夕食は食べてきたわ。お風呂に入る、それといつもの用意してくれる?」
「そう言うだろうと思いまして、お風呂も寝る前のカモミールティーもご用意出来ております」
クレアの一歩後ろを歩き、クレアについていく。すると、クレアの弟のアクアがやってきた。
「姉上、おかえりなさい。」
「ただいま、アクア。体調は大事なの?」
クレアの血の繋がりのない弟アクアジェード・サファイア。短髪のクレアと同じスカイブルーの髪と母譲りのローズレッドの瞳を持つ、クレアより2歳下の弟。アクアもサファイア家特有の水関係の魔法を使うことが出来る。アクアの場合、水に触れると水の声を聞き出すことができるのだ。しかし、生まれ付き身体が弱く寝たきりが多い。アクアはクレアのことを実の姉だと思っていてクレアが王族であることも知らない。それでも、クレアにとっては大切なの弟だ。
「お父様の所に行くの、アクアも行く?」
「俺も行く用事があるので是非」
アクアと一緒にサファイア公爵の部屋に行き、アンソニーを部屋の外に待たせて3回ノックして入っていった。
「おかえり、クレア」
「ただいま、お父様」
クレアの育て親でありサファイア家当主のサファイア公爵。凄腕の騎士だ。クレアの剣術の腕などはサファイア公爵の教えの影響だ。クレアはサファイア公爵に挨拶をして仏壇の前に行く。
「ただいま、お母様」
仏壇にはクレアの育て親であり、アクアの実母であるサファイア公爵夫人の写真があった。サファイア公爵夫人は不幸にも一昨年病気で亡くなった。王族であるクレアのことも実の娘のように愛していたし、クレアも大好きだった。
「どうしたんだい?クレアが来るなんて珍しいなぁ」
「明日、薬局行くから何か必要な薬があったら買おうと思って」
クレアはサファイア公爵の座っているソファーにアクアと座りながら聞いた。
「薬ではないが、のど飴が切れそうだから買って来て貰おうかな。アクアは明日の会議は行けそうかい?無理なら断るぞ」
「大丈夫、いけそう。最近調子が良くて」
その言葉を聞いてクレアとサファイア公爵はホッとした。それから少し家族の時間を過ごして、クレアはお風呂にアクアは寝るために部屋を後にした。
「なんやかんや、お風呂入るの遅くなっちゃった」
「うふふ、今日も1日お疲れ様です。カモミールです」
アンソニーは手際良く紅茶を用意し、クレアに渡した。
「いつもありがとう、アンソニー」
「いいえ、これが仕事なので。それにクレア様にお仕えすることが1番の幸せですから」
本来はアクアに仕えるアンソニー。王族で今頃は城にいるであろうクレア。王族と皆が知ればリーフ達と城に行かないといけない。クレアとしては一緒に来てほしいが少し難しいだろう。そんなことを考えながらカモミールを飲み干しティーカップを置いた。
「そんなこと言ったら、婚期逃すわよ」
「私のことはいいんですよ。逆にクレア様が結婚するときだってどこに行くときだって必ず着いて行きますからね」
さっきのクレアの考えが分かっていたかのように答える。リーフ達や家族の中でも1番に理解してくれる、理解者だ。アンソニーはきっとどこにでもクレアについていくだろう。例え、自分が不利になろうとも大切な主人様のために。
「それでは、私はこの辺りで。何かありましたらお呼び下さい。おやすみなさいませ、お嬢様」
ティーを片付けて、トレーに乗せる。扉の前で会釈をする。
「おやすみなさい、アンソニー。良い夢を」
アンソニーが居なくなり静かになったクレアの部屋。クレアは胸元のペンダントにそっと触れ、カーテンを閉めた。クレアの部屋のバルコニーには1匹の赤い蝶が止まっていた。




